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もの・こと  |    2024.08.17

いいぜ!飯山!!奥信濃の文化とテロワールを巡る旅【文化編】

長野県飯山市。新潟県と境を接する長野県北部・人口約18000人(令和6年4月時点)の小都市ですが、戦国時代から続く城下町として栄えた歴史があり、訪ねてみると北陸新幹線飯山駅から徒歩圏内に、あるわあるわ面白いところや楽しめるところ。東京近郊はもとより、北陸新幹線延伸で福井や敦賀の皆様も、奥信濃の地を満喫できること間違いなしです。

今回は、【文化編】【テロワール編】の2編に分け、まずは【文化編】より飯山の魅力をお伝えします。

【旅のキッカケ】

「水尾」醸造元 長野県飯山市・田中屋酒造店 田中匠専務

2024年5月に浅草ビューホテルで開催された銘酒イベント YOMOYAMA NAGANO で飯山市田中屋酒造店の堂々たるアフロヘア・田中専務さんと出会い、この記事づくりがスタートしました。
「公共交通機関だけですぐに行けるような酒蔵を探しているんです」というこちらの呟きに

「ウチの蔵は北陸新幹線の駅から徒歩15分ですよ!」「マジですか?!」

そんな便利な酒蔵さんがあるなんて...と、それでも記事にするなら

この目で確かめなきゃあね から 飯山初めてだし午後から行くのもったいない!

と北陸新幹線08時16分長野県飯山駅着のはくたか号に乗って、さぁ午前中からエンジン全開です!!

1.そもそも、長野県飯山市はどこにある

長野県飯山市は長野市の北、新潟県境に位置する人口約18000人の都市です。長野市から新潟県十日町方面へ走るJR飯山線に加え、平成27年3月の北陸新幹線延伸による北陸新幹線飯山駅の開業で、東京駅から最速で1時間40分前後で到着する交通至便な地域となりました。

2.飯山駅構内の観光案内所に教えを請う

JR飯山駅構内の「信越自然郷 飯山駅観光案内所」が午前8時30分に開くため、そこで「お勧め先を丸飲みしよう」と尋ねてみました。案内所のお二人に教えてもらったのは

「仏壇通り」と言われる仏具店が軒を連ねる一帯と、その通りに積雪下に通行を確保する古くからの町家の庇「雁木(がんぎ)」を見ることができる
伝統産業展示試作館で仏壇を間近に見ることができ、そこには 面白いもの がある
■2010年4⽉開館の「高橋まゆみ人形館」はとても人気がある

これがJR飯山駅から徒歩16分で仏壇通りに到着し、240m程度で見て回れるのだから好都合。

まずは仏壇通り(Google Mapsには「雁木通り」と入力しましょう)を目指しましょう!!

2.飯山仏壇通りを巡ってみる

さぁJR飯山駅から徒歩16分で、飯山仏壇通りにやって来ました。ご覧になって分かります?それぞれのお店からせり出した雪を避ける庇が「雁木(がんぎ)」。新潟県や青森県など主に日本海側で見られる雪国で生み出された生活の知恵のひとつです。

仏壇通りに行くにあたり、「なぜ仏壇通りができたのか?」「飯山の仏壇はどこがスゴイのか?」を案内所のお二人に「親切な仏具屋さんは?」という条件で推薦をもらった。

創業1712年の飯山仏壇上海本店(じょうかいほんてん)11代目 上海一徳さん

に、アポなし訪問にも関わらず「飯山仏壇を知ってもらえるなら」と説明役を快諾していただきました。

ーー人口2万に満たない飯山で仏具のお店が数十店舗も軒を連ねているのはなぜですか?

(上海さん)飯山は城下町で、江戸時代の頃に城主のお殿様が国替えで代わってしまうことが何回もあり、その都度新しい城主が自分の信仰するお寺さんを連れてくる。そのお寺が仏具を扱い始めたことがキッカケで、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗本願寺派・浄土真宗大谷派・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗といった仏教の代表的な八つの宗派の寺院と、仏具の職人さんやそれを商う者が一カ所に集まったんです。

ーー多くの宗派の寺院が集まり、それが伝統工芸として洗練される素地になったのですね。では、飯山仏壇にはどのような特徴がありますか?

(上海さん)飯山は山に囲まれた盆地で、いい木材が手に入ることに加え、湿気の強い気候が漆塗りに適しています。また、仏壇の作りも他の地域と異なる特徴があります。例えば

仏壇の戸を閉じた状態から、これを開けると内側に金の蒔絵が施されているのは飯山と金沢の仏壇にみられる特徴です。また、仏壇の中にも

お寺さんを模した「宮殿(くうでん)」をよく拝めるようにと、他では直線であるはずの「長押(なげし)」という部分を上に凹ました「弓長押(ゆみなげし)」という作りにしてあるのが、飯山仏壇独特のものですね。

ーーありがとうございます。最後にお知恵を拝借したいのですが、一般の観光客はお仏壇について「見たい知りたい」と思った時に、仏壇を買いに行く訳ではないので、どこに行けば良いのかわからないかもしれません。お店以外で気軽に立ち寄って知識を得る場所は、どこかにありますか?

(上海さん)仏壇通り中ごろの「伝統産業展示試作館」(Google Mapsには「お休み処奥信濃」と入力)に行くといいでしょう。
そこは飯山仏壇事業協同組合が市から運営を委託され、仏壇の実物もあり、歴史についても詳しい説明が聞けます。面白いものもありますので、是非行ってみて下さい。

3.俗っぽい興味で「金箔トイレ」を見せてもらう

さぁ、展示試作館の前に来ましたよ~。

お、面白いとは「金・箔・ト・イ・レ」これのことなのか...

伝統工芸とトイレがどうリンクしているのか、いざ!確かめん!!

あれ、あれ、あれれ~?!

建物に入るなり「トイレはどこですか?」と興味津々の顔で入っていったのを覚えていてくれたのか、がっかりした顔を見て係の人が

(係の人)皆さんね、まず便器が金だと思って入るようなんです。でもね、金箔は湿気に弱くって、冬は温かい便座であることも必要なので、便器は普通のものなんですよ。

みんな、考えることは同じだな...と、そう思いました。

その後係の人がお茶を出してくださり、仏壇について色々教えていただきました。仏壇通りで「雁木」を眺めた後は、こちらで仏壇の実物を間近で見てみましょう。

テレビCM(養命酒製造㈱)で見たあの人形館にも行ってみる

仏壇通りが北側で途切れるところからすぐの場所に、飯山在住の高橋まゆみさんの人形を展示している「高橋まゆみ人形館」があります。館内の3つのギャラリーに常時100体前後が展示されているので、味わい深い人形たちに癒されてみてはいかがでしょう。飯山は伝統工芸ばかりじゃないんですね。

また、館内と外にこのようなカフェスペースがあり、そこから鉄路柵に囲まれていないむき出しの線路を通過するJR飯山線(非電化)を間近に見られることから、鉄道がお好きな方には嬉しい場所でもあります。

3か所巡ってこの日のお昼になりました。午後は日本酒「水尾」の酒蔵・田中屋酒造店さんにお邪魔して、酒造りの現場を見学します。その様子は【テロワール編】でご紹介しますので、是非、そちらもお楽しみください。

(画像協力:高橋まゆみ人形館)

伝統産業展示試作館「奥信濃」

所在地: 〒389-2253 長野県飯山市大字飯山3222-1
営業時間:9:00〜17:00 
定休日:(毎週月曜日、12月1日から翌年3月31日)
料金:無料
電話番号:0269-63-2950

高橋まゆみ人形館

所在地: 〒389-2253 ⻑野県飯⼭市飯⼭2941-1
営業時間:夏季(4月〜11月) 9:00〜17:00 冬季(12月~3月) 10:00〜16:00
定休日:毎週水曜日(祝日は開館)、臨時休館あり(10月無休)
料金:一般620円 学⽣証をお持ちの⽅520円 ⼩・中学⽣410円
電話番号:0269-67-0139

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この記事を書いた人

Kunie

20代で首都圏エリアの情報誌のライターをしていました。その後、一般企業に転職。東京から長野へ移住、単身赴任、親の介護を経て子供の独立を機に退職。地元誌のインタビュー記事を担当させていただいたご縁から、20代から長いトンネルを経て、またライターで働いてみようと日々奮闘中です。

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