「いつか、このまちでフェスを開催したいです。壮大な夢ですが……」
そう語るのは、滋賀県長浜市余呉町在住のJAZZシンガー木原鮎子さん。自身はプロのJAZZシンガーとして活動するかたわら、年代ごとに『うたごえキッズ』『ココオト』『楓グループ』の3つのグループレッスンと個別指導を行っています。
今回はJAZZシンガーの木原さんに、3つのグループレッスンの特徴や魅力を伺いました。
3歳から中学生までが所属する『うたごえキッズ』
『うたごえキッズ』は3歳から中学生までが参加するコーラスグループです。2023年には10周年を迎えました。幼児クラスと小中学生クラス、英語の歌を歌うクラス、ソロシンガーを目指すクラスの4つで、現在のメンバーは約50名。地元の長浜市内だけでなく、敦賀市(福井県)、米原市、彦根市などからも参加しています。
多くの子どもたちが時間をかけてまで通う『うたごえキッズ』には、どのような特徴があるのでしょうか。
一人ひとりの歌い方を大切にするコーラスグループ
『うたごえキッズ』はコンクールを目標としたレッスンではなく、歌を楽しみ一人ひとりの歌い方を大切にするレッスン内容です。一般的な合唱では声質を合わせますが、『うたごえキッズ』ではわざわざ声質を合わせることはありません。
「私自身がシンガーというのもありますが、その子の歌がもっと輝けるようにと思いながらレッスンをしています」
木原さんは個を大切にしつつ、それぞれが歌を楽しむことにこだわり続けています。とくに、小中学生クラスのソロパートは子どもたちの自信と成長につながり、木原さん自身の喜びにもつながっているとのこと。
「今まで、絶対にソロなんかやらないと言っていた子が、ある日突然『ちょっとソロをやってみたい』と言ってきたことがありました。レッスンをしていると、子どもたちの成長を肌で感じられるのが嬉しいですね」
『うたごえキッズ』はプロの音楽に触れられる
『うたごえキッズ』では、通常のレッスンだけでなく、プロのミュージシャンと共演することもあります。2024年5月19日(日)には、NHK連続ドラマ小説「ブギウギ」に出演していたジャズバンド「今西佑介セクステット」とのセッションが開催されます。
子どもたちには、本物に触れてもらいたいとの願いから開催しているイベントです。
『うたごえキッズ』の詳細情報
『うたごえキッズ』の詳細は下記のとおりです。
- 場所:余呉まちづくりセンター
- 日時:第1第2第3土曜日の午後
子育てママが中心のコーラスグループ『ココオト』
『ココオト』は子育て真っ最中のお母さんたちが中心になったコーラスグループです。うたごえキッズに送迎しているお母さんも多く在籍しています。
子育て中や社会ではストレスが蓄積されることも少なくありません。ストレス発散に最適な方法が、大きな声を出したり、歌を歌ったりすることです。しかし、一般社会では声を出す機会は少なくなります。とくに子育て中は孤独を感じる方も多いかもしれません。
『ココオト』では、大きな声で一緒に歌い、ハモることもできます。心地よい歌声に癒やされることも可能です。
心配なのは、レッスン中のお子さんではないでしょうか。安心してください。『ココオト』はお子様連れで参加ができます。
『ココオト』の詳細は下記のとおりです。
- 場所:木之本まちづくりセンター
- 日時:毎月第1・第3木曜日 10時〜12時00分
- 料金:1回1,000円
平均年齢75歳のパワフルなコーラス『楓グループ』
『楓グループ』は地元のおばあちゃんたちが集まったコーラスグループです。平均年齢は75歳なのに、年齢を感じさせないパワフルな歌声が魅力。笑いながら楽しくレッスンをしています。
『楓グループ』ではデイサービスセンターや地元の文化祭などにも参加しているため、地元では人気のコーラスグループです。
『楓グループ』の詳細は下記のとおり。
- 場所:古民家小劇場 弥吉(長浜市余呉町坂口)
- 日時:毎月第1・第2・第3水曜日 9時〜11時(変更することもあります)
- 会費:お問い合わせください
日常に溶け込んでいる音楽は生活に必要
コーラスグループや個人レッスンは、ずっと活動を続けられたわけではありません。コロナ禍においては、一切の音楽が禁止されたような状態でした。
「まず、施設が使えなくなってしまったために音楽どころではありませんでした。すべてのレッスンも中止せざるを得ない状況です。音楽は人々の生活には必要が無いものだと、真っ先に切られました。もちろん、何の保障もありません」
新型コロナ感染症が落ち着き、それぞれのレッスンが再開され鮮やかな色を取り戻したとき、多くのレッスン生からは感謝の言葉を述べられたそう。木原さんは、日常に溶け込んでいる音楽は生活に無くてはならない必需品だと再認識します。
ドイツの詩人ツェーザル・フライシュレンが「くちびるに歌を持て」と言ったように、歌は多くの人を勇気づけ奮い立たせる、心のよりどころです。
いつの日か余呉でフェスを開催したい
とくに大きな夢は無かったと語る木原さん。ただ、木原さん自身は情報発信が苦手なため、もっと多くの人に『うたごえキッズ』の活動を知ってもらいたいと言います。そのうえで、新たな夢を語ってくれました。
「余呉でフェスを開催したいと思っています。じつは、『うたごえキッズ』の10周年イベントでは小さなフェスのような感じでマルシェとライブを開催しました。出演者は『うたごえキッズ』の子どもたちと『ココオト』『楓グループ』のメンバーだったのですが、とても楽しかったので、いつかはフェスを開催できればいいと思っています」
『うたごえキッズ』の10周年イベントでは、300人以上の来場者に驚いたと言います。不便な田舎でも人は来てくれると確信した瞬間だったとのこと。ただし、野外フェスは天候に左右されるため、企画自体が難しいと難色を示しつつも楽しそうな表情です。
いつの日か、余呉で大きなイベントが開催されることを期待しています。