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もの・こと  |    2024.07.09

“まちごとホテル”でつくる地域の未来。SEKAI HOTELが描く地方創生モデルとは。

SEKAI HOTEL Fuseの看板

東大阪市・布施にあるSEKAI HOTEL Fuseは、古家をリノベーションした客室やフロントのほか、一般的なホテルの機能が街に点在している分散型“まちごとホテル”です。
「街をまるごとホテル化する」とは一体どういうことなのか?長期的な地域の資産となるビジネスの形を目指す、SEKAI HOTELのビジョンをご紹介します。

旅先の日常=“ORDINARY”に飛び込めるホテル

地域の古家や空き店舗を客室にリノベーションし、ホテル事業を展開しているSEKAI HOTEL。食事会場は周辺の飲食店、大浴場は街の老舗銭湯を利用するなど、地域のリソースを活用した宿泊施設です。宿泊ゲストは街を歩き回ることで、地域の日常=“ORDINARY”をありのまま体験できる仕組みになっています。

布施商店街を歩く家族連れ - 出典:SEKAI HOTEL(https://www.sekaihotel.jp/)
出典:SEKAI HOTEL公式Instagram

「一定のエリアに点在している空き家を再活用して、ひとつのブランドとして運営するのはどうだろう?」
そんな思いつきから生まれたまちごとホテルは、今や単なる空き家問題の解消だけにとどまらない、新しい地方創生のビジネスモデルです

第三者に届きやすい合言葉を発信する

2018年にオープンしたSEKAI HOTEL Fuseですが、開業当初はなかなか予約が埋まらない日々が続いたといいます。どうすれば観光地ではない布施に宿泊してもらえるのか。事業内容を根本から見直し、第三者に届きやすいコンセプトを再設計して生まれたのが、「景気よくいこう」という合言葉でした

布施商店街の看板「えべっさんの街・布施」

SEKAI HOTEL Fuseでは戎神社にちなんだおみくじや、ホテルのパスを提示するとおまけがもらえる特典など、ちょっとした嬉しい出来事・縁起の良さを体感できるコンテンツが用意されています。地域の個性を合言葉に乗せ、「布施ってなんか楽しいかも」と感じて街を周遊してもらう。これこそが、SEKAI HOTELが提唱している「旅先の何気ない日常に触れる体験が観光になる」ということ。

2024年現在、「SEKAI HOTEL Fuseに泊まるのが旅の目的」と答えた方が、宿泊アンケート回答者の6割を超えたそうです。

地域のため、子どもの未来のための取り組み“Social Good 200”

SEKAI HOTELが創業当初から行っているSocial Good 200は、宿泊代金のうち200円を積み立て、地域活性化や社会貢献のために活用する取り組みです。

Social Good 200 - 出典:SEKAI HOTEL(https://www.sekaihotel.jp/)
出典:“あなたの宿泊が、「ちょっといい未来」につながる?”Social Good 200″がもたらす力とは” | SEKAI HOTEL
  • 空き家や空き店舗をリノベーションして客室を創る
  • 地域の子どもたち向けのイベント「icoima」の運営
  • 学ぶことが難しい世界の子どもたちの教育支援

宿泊ゲストはチェックアウト時に、積立金の使い道を上記3つの選択肢から1つ選びます。泊まるだけで自動的に積み立てられるものですが、「ゲストの意思で選択してもらう」という部分を大事にしているとのこと。

子どもたちが多文化を知るイベント「icoima」

なかでも、宿泊ゲストの4割が選択するという「icoima」は、地域の子どもたちが世界各国の文化や言語に触れられるイベントです。多文化を知り、子どもたちの将来の選択肢を増やす目的で運営されています。SEKAI HOTELには海外での活動経験があるスタッフが多く、子どもたちの学びに一役買っているのだとか。

オリジナルのお面づくり - 出典:"icoima vol.13 イベントレポート 〜死者の日 Dia de Muertos〜" | SEKAI HOTEL
出典:“icoima vol.13 イベントレポート 〜死者の日 Dia de Muertos〜” | SEKAI HOTEL
出典:"icoima vol.12 〜みんなで作るオリジナル世界地図/南北アメリカ編〜" | SEKAI HOTEL
出典:“icoima vol.12 〜みんなで作るオリジナル世界地図/南北アメリカ編〜” | SEKAI HOTEL

保育園や学校とは違ったコミュニティで、多様な価値観に触れながら視野を広げていける場所。宿泊ゲストの協力なくしてはできないこのイベントで、地域の子どもたちは大きく成長していきます。

旅先の日常に飛び込んだら、次は「旅先の未来をつくる」。
Social Good 200の取り組みの様子は、ホテルの公式ブログやInstagramで知ることができます。

大人から子どもへの粋なおくりもの

フロントに併設されているカフェは、宿泊ゲスト以外の方でも利用可能です。毎日コーヒーを飲みに来てくれる方もいらっしゃるとか。そして、Social Good 200とは違った形で、地元の方々が「子どもたちのために」と寄付してくれることがあるといいます。

SEKAI HOTELフロント前、大人から子どもたちへ贈るドリンクチケットの写真

「カフェが子どもたちにとっても憩いの場になれば」という思いから、15歳以下の子どもが利用できるフリードリンクチケットをフロント前に設置。看板に留められたチケットには、大人から子どもたちへ向けたあたたかいメッセージが書かれていました。

SEKAI HOTELフロント前、ドリンクチケットに書かれたメッセージの写真
大人がチケットを購入し、子どもたちへプレゼント。

おわりに

SEKAI HOTELは学生向けのインターンシップを実施し、地域活性に携わろうとする若い人材の育成を積極的に行っています。また、国内20拠点を目指してパートナーシップ事業を展開。2022年には富山県高岡市にパートナーシップ1号店をオープンしました。
SEKAI HOTEL Takaokaの合言葉は「やわやわブルー」。“柔らかさ溢れる青の街、高岡”を打ち出しています。高岡という街には一体どんな魅力的な個性があるのかと、なんだかワクワクしてきませんか?

SEKAI HOTELを通じて、宿泊ゲストと地域住民がともに地域の日常と未来を育んでいく。あなたもぜひ、“まちごとホテル”が生み出す地方創生のかたちを体験してみてください。

SEKAI HOTEL株式会社

HP:https://www.sekaihotel.jp/

本社所在地:大阪府大阪市北区中崎2-5-18 中野ビル1F (クジラ株式会社内)
TEL:06-6375-7720

SEKAI HOTEL Fuse
大阪府東大阪市足代1-19-1

SEKAI HOTEL Takaoka
富山県高岡市末広町40

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この記事を書いた人

九重 十彩

生まれも育ちも東大阪市。カフェ巡りから一人飲みまで、美味しいものと共に在りたいWebライター。 実は調理師免許を持ってるけど、ほぼほぼ持ってるだけ。 大阪の中核市としての一面と、生駒山系の自然、振り幅の広~い「モノづくりのまち東大阪」の魅力を発信していきます。

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