Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

もの・こと  |    2024.07.07

もっと気軽に、もっと自由に。新しい狭山茶の楽しみかた|埼玉県入間市 的場園【前編】

日本三大銘茶の一つとして知られている「狭山茶」。

その生産量一位を誇るのは埼玉県西部に位置する入間市。

住宅地のなかにお茶畑が広がっているここでの人々の暮らしには、日常のなかに「お茶」が存在しています。

入間市内だけでもお茶販売を営むお店は100軒近くあるとのこと。

茶園ごとに栽培、製造、加工が異なり、味わいもそれぞれ。

その多様性そのものが狭山茶の個性でもあるとお話してくださったのは、「的場園」四代目の的場龍太郎さん。

今回は、誰もが気軽に楽しめる狭山茶の美味しさの秘密と、的場園の考える日本茶のこれからについて、的場さんにたっぷりとお話をお伺いしました。前編と後編に分けてお伝えしていきます。

狭山茶とは

埼玉県と、埼玉に隣接する東京都の西部地域で生産されるお茶の総称を「狭山茶」としています。

「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」とも謳われるように、深い味わいが狭山茶の特徴。より加熱し、十分な乾燥を行う「狭山火入れ」という独特の仕上げ技術によって、甘くて香り高い濃厚なお茶が作られています。

狭山茶の美味しさの理由とは

「静岡や鹿児島、宇治と比べるとブランド力や生産量は劣るが、狭山茶の一番の特徴は自園・自製・自販を一貫して行っているという点。全部のお茶屋さんに味の個性があって、それぞれのストーリーと技術と思いでお茶を作っています」

お話を伺いながら的場園さんのお茶を早速いただきました。

ものすごく美味しい。綺麗な濃いお茶の色。お茶の香りはしっかりと、でも苦みや渋みがほとんど残らないすっきりとした味わい。とても飲みやすい。

「次世代に日本茶の文化を継承する」という大きな使命感を抱きながら、日々お茶に向き合う的場さん。

「次世代とは誰を指すのかというと、若い方や外国の方。そしてまだお茶を知らない方。そういった方々に飲んでもらうために“どんな味を求めているのか”をリサーチしました。特に若い方や外国の方は、苦みや渋みが極端に苦手で、甘いお茶を好む傾向にある。お茶は農産物なので、品種から変えていく必要があると思い、父親の代からあったお茶の木を植え替えることから始めました」

美味しさを探求するつくり手さんがいる一方で、求められている味を追求して美味しく作る。

この発想の柔軟さが的場園の魅力の一つで、最大の強みでもあります。

自分たちで一つ一つ栽培して、摘み取り、加工して商品化する。

これらを一貫して行えるからこそ、求められている味を美味しく作りだすことが可能なのです。

新しい狭山茶のたのしみかた

的場園で製造、販売している商品は、従来の日本茶だけにとどまりません。

お茶の歴史は800年ほど前まで遡り、人々の交流の場に欠かせないものとして長く飲まれ続けています。

時代の流れとともに、求められているモノも変化し、味の好みも人それぞれに。

伝統的なお茶の文化を残しつつ、時代に沿った新しい交流のカタチを求めて的場園から生まれた商品があります。

グリーンティー ジェノベーゼ

グリーンティージェノベーゼは、茶の実油と茶葉にガーリックを効かせた調味料です。

パスタはもちろん、白身魚やチーズ、パンとも相性抜群といった優れもの。

蓋をあけるとお茶の香りが漂い、お茶とガーリックの奥深い味わいが楽しめます。

実際に、ジェノベーゼパスタと、クラッカーの上にチーズや生ハム、トマトと合わせたカナッペを作ってみました!

的場さんに教えていただいた最強の組み合わせ。美味しすぎてリピート確定です。

お茶を食べながら、お酒が飲みたくなるという不思議な感覚。

”食べるお茶”という視点に加え、あえて洋食とコラボするという斬新さは、的場園ならではの発想です。

スパイスティー TeTe(テテ)

インド人留学生と共同開発で生まれたのは“スパイスティーTeTe”。

日本茶と世界のスパイスを組み合わせて、4種類の味が楽しめる新しいお茶も作られています。

日本茶の輸出がそこまで世界に広がっていないのは、世界にはすでに各国独自のお茶文化が存在しているからだそう。

「そうであれば、相手の国の文化と組み合わせることで、新しい交流を生むきっかけになるのではと考えました。そこで、世界の人に日本茶を知ってもらう足掛かりとして開発したんです」と話す的場さん。

スパイスを一つの国や産地に限定しないことで、多くの方に手に取っていただけるように考えられています。

「最終的には、日本人の方にお茶の魅力に気づいてもらいたいと思っている」

どういう切り口であれ、そこに繋がるのであればこれらの取り組みも手段でしかならない。

新しい商品を開発する背景には、日本茶を次世代に継承するという的場さんの並々ならぬ思いが込められていました。

もっと気軽に、もっと自由に

私たちの身近にあるお茶。

コンビニで買う方も、急須でお茶を淹れる方も、楽しみ方は人それぞれでしょう。

今回、的場さんのお話を伺って、お茶の知らない世界を少し垣間見ることができました。

そこには美味しい味と、つくり手さんの思いが詰まっていました。

お茶の楽しみ方は、一つじゃない。遊び心があって、自由な発想で楽しんでください。

今回そんなメッセージを的場さんから贈られた気がします。

みなさんも、自分好みの味とスタイルを求めて狭山茶を手に取ってみませんか。

的場園

住 所:埼玉県入間市南峯68

電 話:04-2936-0615

オンラインショップ https://matobaen.base.shop/

※今回ご紹介した商品やその他の商品の詳細はオンラインショップからご確認ください。

※詳細は直接お問合せをお願いいたします。

記事をシェアする

この記事を書いた人

ハネジユキエ

沖縄出身、埼玉在住のフリーライター。30代、二児の母。ものづくり、伝統芸能、暮らしを豊かにするモノ、地域を元気にするヒト、大人からこどもまで楽しめるコトを取材しています。

関連記事