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もの・こと  |    2024.08.05

妖怪が商店街を救う!?今話題の地域活性プロジェクト【妖怪あつめ編】|東大阪市

布施商店街「妖怪あつめ」ー商店街を歩く妖怪
写真提供:高津寫真感

近年の社会問題のひとつであるシャッター通り商店街。空き店舗問題を抱える東大阪市の布施商店街では、かつての賑わいを取り戻すため、「妖怪」をテーマにしたユニークなアイデアで地域活性化を図っています。

地元を盛り上げる妖怪コンテンツを2回に分けてご紹介。
今回は、布施の秋の風物詩になりつつあるイベント「妖怪あつめ」をピックアップします。

布施を「妖怪の街」にして地域活性化を目指す。

布施商店街「妖怪あつめ」ーフラワーロードほんまちのアーケード看板

近鉄布施駅の南北と高架下に広がる「布施商店街」ですが、実際にその名がついた通りがあるわけではありません。複数の商店街と大型店から成る商業エリアの総称のようなものです。

東大阪市内で最大の商店街といわれているものの、近年は空き店舗が増えつつあり、全盛期に比べると集客力が落ちているのが現状。布施の街を盛り上げるべく商店街全体が一致団結し、さまざまな地域活性化事業に取り組んでいます

そんな中、地域おこしのひとつとして生まれたのが「布施を妖怪の街にしよう」というアイデアでした。
発案者は、布施商店街で妖怪専門店「ビリビリモンスター」を営むぎんさん。

布施商店街「妖怪あつめ」ービリビリモンスター・ぎんさん

若かりし頃、ふらっと立ち寄った布施を気に入り、そのまま定住して今に至るという稀有なエピソードの持ち主です。

なぜ妖怪なのか?その答えは「好きだから」

布施商店街「妖怪あつめ」ービリビリモンスターの外観写真

万物には霊魂が宿るという信仰は日本でも古くから根付いていますが、不可思議な現象や畏怖の対象をキャラクターとして具現化した「妖怪」もそのひとつ。子どもの頃から目に見えないものや不思議なことが好きだったというぎんさんは、自然と妖怪に惹かれていったそうです。

布施商店街「妖怪あつめ」ー妖怪ラグマットがひしめくビリビリモンスター店内の様子
好きが高じてオープンしたお店は「妖怪専門店」だけあって妖怪だらけ。ラグマットやアパレルアイテムを取り扱っている。

商店街を盛り上げるためのアイデアを求められた際も、ぎんさんは妖怪を猛プッシュ。布施という場所に息づく目に見えない個性を、妖怪というかたちでアピールしようと考えたのです。プレゼンを重ねに重ねて、2017年「妖怪あつめ」というイベントが実現しました。

妖怪をあつめて賞金ゲット!経済効果は「めちゃくちゃある」

布施商店街「妖怪あつめ」ーお店の前でポーズをとる妖怪
写真提供:高津寫真感

妖怪あつめのルールはいたってシンプルです。「布施商店街に潜んでいる妖怪たちをすべて見つけ出してツーショット写真を撮ると、抽選で賞金が貰える」というもの。
妖怪あつめ賞金総額が20万、妖怪コスプレ賞が総額3万で、計23万円。商売繁盛の神様・えべっさんの街ならではの景気の良さを感じます。

布施商店街「妖怪あつめ」ー賞金授与式の様子
賞金授与式の様子 – YouTube「第4回布施商店街妖怪あつめ」より

参加者は布施に長時間滞在するため、休憩したり食事をとったりと、周辺の飲食店にもかなりの経済効果があるようです。
みんな妖怪あつめのマップを持ってるから、一目で参加者やって分かるんです。商店街の端から端まで歩いてもらえるんで、貢献度は高いと思いますね

人々の協力で成り立つ妖怪たち

妖怪の造形を製作しているのは、京都・嵯峨美術大学の学生とOBの皆さん。数々の妖怪イベントを手がける河野隼也さんの協力によるものです。

布施商店街「妖怪あつめ」ーぎんさんの指示を受ける妖怪たち
妖怪たちに指示を出すぎんさん – 写真提供:高津寫真感

妖怪役の経験がある、ビリビリモンスターのスタッフ・mojaさんにお話を伺いました。

「お面タイプの妖怪と、マスクタイプの妖怪がいるんです。マスクだと熱がこもるし、視界が狭くて苦労しますね。いろんな人に声をかけられて、何枚も写真を撮って、アイドルみたいな気分。でもほんまに大変で、テーマパークの着ぐるみの人に優しくしなあかん!と思いました」

なかでも“見越し入道”は長い首が特徴の妖怪で、これを装着して9月の夜を練り歩くのは骨が折れるようです(ゆえに、見越し入道は出現率がちょっとだけ低いらしい)。

布施商店街「妖怪あつめ」ー見越し入道に遭遇する子どもたち
写真提供:高津寫真感

アナログな集客方法は「意外と強い」

妖怪あつめは大々的な宣伝をしておらず、商店街のあちこちに貼られたポスターと、子どもたちの口コミで評判が広まっていきました。2023年にはおよそ3700人の参加者が布施に集まったそうです。
子どもはためらわず果敢に妖怪に声をかけていくようで、賞金獲得者の割合は小中学生が多いのだそう(※15歳未満の場合、賞金の受け取りには保護者の同伴が必要)

布施商店街「妖怪あつめ」ー自動販売機横に貼られている2023年妖怪あつめポスター
2023年開催時のポスター。マスコット妖怪は「はじっかき」

「2017年のときは妖怪らしく潜む感じで、少し難しめの場所に配置しました。でも『子どもらが楽しく集めてくれたらいっか』と思って、難易度を下げていったんです」と、ぎんさん。
その言葉どおり、妖怪あつめ開催日の夜には、堂々と商店街を歩き回る妖怪たちが見られます。

「今年は普通に歩くだけじゃなくて、もっと妖怪らしい動きを取り入れようと思ってて。ぼくが演技指導せなあかんのですわ(笑)」
妖怪大好きなぎんさんによる指導とあれば、ますます本格的な妖怪のお祭りになりそうですね。

妖怪あつめの今後の展望とは

布施商店街「妖怪あつめ」ー写真撮影に応じる妖怪
写真提供:高津寫真感

徐々に認知度が上がり、遠方からの参加者も増えてきたという妖怪あつめ。これまではアナログな集客方法が主でしたが、今後はSNSでの発信を強化していきたいとのこと。

「店舗への動線も増やして、商店街とのつながりをより強くしたいと思ってます。布施を妖怪だらけにして、海外から『日本の奇祭』と呼ばれるぐらいまでいきたいですね

大阪万博が開催される2025年には、なんと妖怪100体を目指しているのだとか。文字どおりの百鬼夜行が、布施の街で実現するのが楽しみです。

動画提供:ビリビリモンスター
布施商店街 妖怪あつめ

6回目となる今年もシルバーウィークに開催!
最新情報はInstagramでご確認ください。

開催日:2024年9月22日(日・祝)
開催時間:15:00~19:00
エントリー受付:13:00~(布施クレアホールにて)

主催:布施商店街 妖怪あつめ実行委員会

BIRIBIRI MONSTER

Instagram:@biribirimonster

住所:大阪府東大阪市足代1-11-15
営業時間:13:00~20:00 木曜定休

布施商店街「妖怪あつめ」ー鬼とはじっかきのラグマット

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この記事を書いた人

九重 十彩

生まれも育ちも東大阪市。カフェ巡りから一人飲みまで、美味しいものと共に在りたいWebライター。 実は調理師免許を持ってるけど、ほぼほぼ持ってるだけ。 大阪の中核市としての一面と、生駒山系の自然、振り幅の広~い「モノづくりのまち東大阪」の魅力を発信していきます。

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