約1年間*で林業に必要な知識と技術、資格を身に付けるための研修を無料で受講でき、県内の林業事業体への就業も斡旋してくれる“ふくい林業カレッジ”を1日体験できるオープンキャンパスに参加してきました。後編は午後に行った重機操作とチェンソーの体験です(前編はこちら)。
*長期コースの場合
重機の操作体験
重機操作の前に、まずは屋内で簡単に部位の名称などの説明を聞きます。
その後、車に乗ってグリーンセンター敷地内の実習スペースへ移動。
お天気がよく、とにかく暑い日でしたのでテントや扇風機を用意していただいていました。
さて、いよいよ乗車です。
講師の方が隣に立って教えてくださり、恐る恐る操作します。
少し操作すると重心が変わって座席が揺れるので最初はビクビクです。
座席の正面にあるレバーで車輌を前後に動かし、左右にあるレバーで旋回したりショベルのついたアームを動かしたりするのですが、すぐには操作を覚えられないのでやりたい動きとは違う動きになったり、車輌の動きがぎこちなかったり。
それでもなんとか砂をすくったり、コーンに沿って8の字に走行できたりすると楽しくなってきました。初めての操作とは思えないほど上手に操作する人もいました。
チェンソー体験
続いてはチェンソーの体験です。希望者のみということでしたが、全員希望して体験しました。
まずはエンジンのかけ方から。
この日は県内に熱中症警戒アラートが出される暑い日。
暑すぎるとチェンソーのエンジンがかかりにくくなることがあるため、なかなかすんなりエンジンがかかりませんでした。
続いて、実際に丸太を切ってみます。
力はいりませんが、刃の入れ方や力加減によって途中で止まってしまったり、意外と難しい作業でした。
山の中で垂直に生えている木を切り倒すのは、もっと難しそうです。
午前中の講義で講師の方がお話しされていましたが、本講座ではひたすら基本操作を繰り返すことで、技術を身に付けていくそうです。繰り返し練習することが大切なのでしょう。
安全対策
重機操作とチェンソー体験では、安全のために必ず装備を身に着けます。
重機に乗るときはヘルメット、チェンソーを使うときにはヘルメットとフェイスマスク、チェンソーパンツ、防振手袋を着けて行いました。
林業は危険な仕事といわれますが、今の林業ではこういった装備の徹底や、機械化などによって事故は大幅に減少しているそうです。
ふくい林業カレッジでは、知識として知っているだけでなく、安全に作業を行えるようになることを目的として講義や実習を行っています。
ふくい林業カレッジで学べること
林業カレッジでは、大まかに以下の内容を学び、技術と資格を身に付けます。
- 林業や木材等、森林に関する幅広い基礎知識と林業機械の安全な操作方法
- 林業事業体へのインターンシップを通して、現場でプロから指導を受けながら、就業に必要な測量や伐採・搬出等の技術
- 林業の就業に必要な最低限の各種機械操作の資格(チェーンソー、車両系建設機械、玉掛け等)
福井県内の林業の会社の中には入社希望の問い合わせがあると、まずはふくい林業カレッジを案内する会社もあるようです。
山での爽快感と達成感、高揚感は他の仕事では味わえない
林業の仕事の醍醐味は、仕事の達成感や山の環境で汗を流すときの爽快感だといいます。
木を切ると、大きな地響きとともに木が倒れます。間近にその迫力を感じると気持ちも高揚するそうです。
自然を相手にした仕事なので同じ現場、同じ木は2つとないため、安全性や合理性を考えながら作業を進めるというのも林業の大変さであり、面白さといえます。
例えば、同じように1本の木を切るにしても、斜面の山側に倒すか、谷側に倒すか、また枝のつき方などによってかかる労力が異なります。
例えば、山側に倒すのは重力に逆らうため大変。また、枝がたくさん付いている方向と逆に倒すのも重心が枝が生えている方にかかっているため、これも大変。とはいえ、現場によってはそういった大変な作業を行うこともあります。気合いと根性で木を切り倒した時の達成感もひとしおです。
木を切る作業以外でも、下刈りの作業が済んだ後に、雑草がきれいに刈り払いされた山を見渡した瞬間は、とても気分がいいそうです。
森林の大切な役割
林業の仕事は、社会的にも大きな意義を持つ仕事です。森林には次のような役割があるからです。
地球温暖化を防ぐ
森林の樹木やその下の層にある多くの植物たちは温室効果ガスである二酸化炭素を吸収します。また、光合成で二酸化炭素を吸収して炭素固定も行います。木が切り倒されて木材になっても、炭素が閉じ込められた状態です。適切に森林を管理し木材を生産する林業は、地球温暖化を防ぐことに貢献する仕事です。
水資源を確保する
森林の土は、有機物やさまざまな生物によってスポンジのような構造になっています。そのため、裸の土に比べてはるかに雨水を地中に浸透させます。土に多くの雨水がため込まれていると、川へ流れ込む水の量を一定に保つことができ、洪水や渇水を防ぐのです。また、森林の土壌を通り抜ける間に水が浄化され、飲み水などに利用することができます。
土砂災害を防ぐ
森林には樹木だけでなくその下に低木やさまざまな草が生え、枝や葉っぱも落ちています。これらは雨や風などによる土の表面の侵食を抑制します。さらに、樹木は地中にしっかり根を張って幹を支えているため、大雨が降ってもその根が土や石を斜面につなぎ止め、流れ出てしまうのを防いでくれるのです。
その他の役割
他にも、植物・動物・菌類などの生物の多様性を保ったり、ちりやほこり、汚染物質を吸収してくれたり、木の蒸散によって夏に気温が上がりすぎるのを防いでくれたりします。さらに、木材は燃料や建築材料、家具などの木製品、パルプの原料など石油のように多くの用途がありますが、石油とは違い、適切な森林管理によって半永久的に生産し続けることができるものです。
林業カレッジ生は年齢も性別も出身地も経歴もさまざま
やりがいがあって社会的にも大きな意義を持つ林業の仕事は、全国的にも注目されています。過去の卒業生の中には、県外からのUターンやIターン者も多数。福井県出身の奥さまと共に福井に移住した方、新卒で林業がやりたいと林業カレッジに飛び込んで来た方など、年齢や経歴、背景もさまざまです。
近年は作業の機械化が進んで林業が力仕事ではなくなり、女性の希望者も少なくありません。
この記事を読んで林業やふくい林業カレッジに興味が湧いたら、事務局までぜひ問い合わせてみてください。
ふくい林業カレッジ募集要項
【長期コース】
- 研修期間:4月中旬~翌年3月中旬(約1,300時間)
- 定員 :8名
【短期コース】
- 研修期間:4月中旬~7月下旬(約430時間)
- 定員 :4名
【両コース共通】
- 研修日時:午前9時~午後4時
※原則土・日・祝日を除く平日(研修内容による変更あり) - 研修場所:ふくい林業研修センター(坂井市丸岡町楽間)および県内の林業現場等
- 研修費用:無料
防護ブーツ、ヘルメット等の防護資材は配布します。 - ただし、研修受講に伴う自己負担があります。(個人の所有物となるチェーンソー等10万円程度、他各研修場所までの交通費等)
- 詳細はこちら
https://www.ffsc.jp/college
【申込先および問い合わせ先】
ふくい林業カレッジ事務局
〒918-8567 福井市江端町20-1
TEL:0776-38-0345/FAX:0776-38-0379
E-mail:kikin@fukuimoriren.jp