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もの・こと  |    2024.09.08

無料で学べて山の即戦力に!研修中は給付金も!“ふくい林業カレッジ”のオープンキャンパスに参加してみた【 前編 】

突然ですが、クイズです。上の写真の木の断面は年輪に偏りがあります。この理由がわかりますか?「幅が広い方が南側」と思った人は間違いです。

私たちの身近にある樹木や木材ですが、意外と知らないことがたくさんあります。そして森林で仕事をする林業も、とても大切な仕事でありながら一般的にあまり知られていないため、担い手不足に陥っている仕事です。

福井県では、林業への就業者を増やすための無料研修“ふくい林業カレッジ”が毎年行われています。

“ふくい林業カレッジ”とは、福井県内の森林組合や林業関係の会社などへの就業を目指す人が、林業に関する知識や技術を無料で学べる研修機関です。林業に必要な重機の資格なども取得でき、年齢などいくつかの要件を満たせば、研修期間中は給付金という形で一定の収入を得ることもできます。

今回、このふくい林業カレッジを1日体験できるオープンキャンパスがあったので、体験取材に行ってきました。

知ってるようで知らない林業の仕事

オープンキャンパスは、午前中は座学と昨年度の修了生を囲んでの座談会、午後は作業用重機とチェンソーの体験というスケジュールです。

まず初めに林業カレッジの制度についての説明があり、その後林業の仕事とはどういったものかを学びました。

米作りは田んぼの下準備から苗を植えて収穫するまでを1年周期で行いますが、林業はその周期が50〜100年周期と途方もない長さです。その工程を分けると以下のようになります。

地ごしらえ植栽(伐採後数年)

木の伐採後に残った根や枝などを整理して、新たな苗を植えられるように土地を整理します。

下刈り・除伐(植栽後5〜8年)

下刈りとは苗木の成長を妨げる雑草や背の低い木を、年に1〜2回刈り払いします。下刈りの必要がなくなっても今度は他の樹木が生えてきて育てようとする樹木の成長を妨げるようになるため、除伐して育てたい樹木の成長を助けます。

枝打ち・間伐(除伐後40年程度まで)

節のない柱材の生産等のため、立木の枝を切り落とすのが枝打ちです。育てたい樹木どうしの競争を軽減するため、混み具合に応じて一部の樹木を伐採する間伐も行います。間伐した木も、間伐材として使い道があります。

主伐(植栽から50〜100年程度)

伐採時期を迎えた木を収穫するのが主伐です。間伐と異なるのは、伐採した後に植林など新たな森林を育てる作業を行う点です。

ふくい林業カレッジはなぜ手厚い?福井の山と林業の現状

日本は国土の67%が森林といわれますが、福井県は県土の75%が森林です。民有林の面積は12万ヘクタールで、そのうちの約40%が人工林。そのほとんどが昭和40年代に植林が行われているため、今、収穫時期を迎えているのです。

米作りに例えるなら、特に人手が必要な稲刈りの時期に入っていますが、林業従事者は長期的に減少中かつ高齢化しています。これから50年ほど続く収穫時期を支える労働力が足りません。

森林には水の確保や防災、環境保全など重要な役割があり、林業は社会的にも重要な意味を持つ仕事であることから、林業の担い手を育成するため、ふくい林業カレッジの制度が始まりました。

今、募集している令和7(2025)年度研修生で9期目となる取り組みです。

自然相手の仕事は残業もなく無理のない働き方ができる

午前中の後半は、昨年度林業カレッジを修了して福井県内の森林組合や民間の林業の会社で働く修了生2名を交えた座談会を行いました。

1人は森林組合勤務、もう1人の方は民間の会社勤務ということで若干働き方に違いがありますが、2名とも山に入って先輩と一緒に木を切ったり、重機を扱ったりしながら働いているとのこと。

夏は暑さや虫などの苦労もありますが、山で食べるお昼ごはんは最高の楽しみ。

街中のように外食できるお店はおろかコンビニもない山の中ですが、持参したお弁当を食べる時間は至福のひとときだなのだとか。

福井は積雪の多い地域のため冬はどうしているのかと聞くと、森林組合では冬も山の麓の方に入れるようにスケジュールを組んで作業するそうです。

民間の会社では、冬になると雪が降らない他県に出張する会社もあります。この日座談会に参加した修了生の方は、冬は他県に出張する会社に勤務。会社が用意した宿泊場所で寝泊まりし、食事は毎日みんなで取るため仲が深まるのだとか。また、冬の間ずっと自宅に帰らないわけではなく、1カ月に1〜2回は自宅に帰るそうです。

林業の仕事の働き方で共通しているのが、残業がほとんどない点です。

暗くなると作業ができないので、大体4時か5時頃には山を下りて事務所に戻り、5時か5時半ごろには退勤するのが一般的。仕事に追われてプライベートを犠牲にする人は、林業従事者にはいなさそうです。

後編では午後に行った重機操作やチェンソーの体験についてご紹介します。

ふくい林業カレッジ募集要項

【長期コース】

  • 研修期間:4月中旬~翌年3月中旬(約1,300時間)
  • 定員  :8名

【短期コース】

  • 研修期間:4月中旬~7月下旬(約430時間)
  • 定員  :4名

【両コース共通項目】

  • 研修日時:午前9時~午後4時
    ※原則土・日・祝日を除く平日(研修内容による変更あり)
  • 研修場所:ふくい林業研修センター(坂井市丸岡町楽間)および県内の林業現場等
  • 研修費用:無料
    ※防護ブーツ、ヘルメット等の防護資材は配布します。
  • ただし、研修受講に伴う自己負担があります。(個人の所有物となるチェーンソー等10万円程度、他各研修場所までの交通費等)
  • 詳細はこちら
    https://www.ffsc.jp/college/

【申込先および問い合わせ先】

ふくい林業カレッジ事務局

〒918-8567 福井市江端町20-1

TEL:0776-38-0345/FAX:0776-38-0379

E-mail:kikin@fukuimoriren.jp

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この記事を書いた人

サカイミハル

企業の広報担当歴10年以上。 Uターンで田舎の里山暮らしをしながら、健康・美容関連のコラム記事やSNS記事の執筆、会報誌の編集などに携わっているほか、サプリメントや化粧品などのプレスリリース作成、企業ブランディングのためのインタビュー記事の執筆も承っています。 Mediallでは、こだわりや想いの詰まったおいしいもの・品質の良いもの・楽しいことと、そういった商品やサービスに携わる人の魅力をお伝えします。

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