2024年9月15日・16日にかけて宮城県で開催される「ハンズホールディングスCUP 2024東日本大会」(以下、ハンズホールディングスカップ)。
ハンズホールディングスカップは、日本知的障がい者ソフトボール連盟が主催する知的障がい者ソフトボールの東日本大会です。
この大会は、知的障がい者スポーツの認知度向上と魅力発信を目的としており、8チームが参加して熱戦を繰り広げます。各チームには1企業が応援サポーターとして付き、大会を盛り上げます。
参加する8チームのうち、栃木県から出場するのは栃木県知的ソフトボール部です。
大会を間近に控え、優勝に向けて練習に打ち込む栃木県知的ソフトボール部を取材しました。
練習は熱中症対策のため予定より1時間早い朝8時から始まりました。取材日は、最初こそ曇り空で過ごしやすい気温だったものの、次第に晴れ間が見え夏の日差しが照りつけてきます。
暑さが増していくなか、選手たちは黙々とランニングから準備運動、投球やバッティングなどの基礎練習を重ねていました。
アットホームで仲の良いチーム
栃木県知的ソフトボール部は、ソフトボールの普及を目的に約15年前に創立され、2022年に栃木県で行われた「いちご一会とちぎ国体」をきっかけに本格的な練習が始まりました。
チームは総勢16名。高校生から50代まで幅広い年齢層の方が在籍しています。その時々によってメンバーの入れ替わりはあるものの、10年以上在籍されているメンバーもいます。
チームを率いる藤平監督は、もともと自身が勤務していた障がい者施設のソフトボールチームでコーチをしていました。そこでの手腕が評価され、栃木県知的ソフトボール部のコーチに招かれました。栃木県知的ソフトボール部でコーチとして活躍したのち、前監督が他界されたことをきっかけに監督に就任されたのです。
チームは選手同士が優しく声を掛け合うアットホームな雰囲気。藤平監督も「アットホームな雰囲気のなか、選手たちはのびのびと活動しています」と話されていました。
チームを支えるソフトボール経験者のコーチ陣
チームの練習を支えるのは黒川コーチと坂主コーチ。二人とも女性でソフトボールの経験者です。藤平監督も「女性ならではの視点でいろいろ気づいてくれるので頼りにしています」と二人のコーチに絶大な信頼を寄せています。
コーチ陣がソフトボールの指導で気をつけていることは、指示の出し方。言葉だけの指示ではわかりにくいため、自分がやってみせたり、時には図に書いたりするなどわかりやすく指導することを心がけていると言います。
また、いいところはなるべくほめて指導することも徹底しています。ミスをしてもポジティブな言葉で励まし、選手の気持ちを支えるように気をつけています。特に試合の時はネガティブな言葉は避けてポジティブな言葉かけを意識していると教えてくれました。
このようなきめ細やかで選手に寄り添った指導のもと、選手たちは練習に取り組んでいます。練習の間も二人のコーチが熱心に選手たちに声をかけている姿が印象的でした。
次第に強さを兼ね備えたチームに成長
アットホームな雰囲気が持ち味の栃木県知的ソフトボール部。しかしその反面、優しさが甘えとなることもあり、なかなかソフトボールの実力が伴いませんでした。そのため、選手たちに試合を経験させたくても試合の相手が見つからず、練習試合を組むことができなかったと言います。
しかし、監督やコーチのほめて伸ばす指導やわかりやすい指導が功を奏し、次第に実力をつけ強いチームへと成長していきます。今では社会人チームと練習試合が組めるまでの技術が身につきました。
黒川コーチは「5年前にコーチに就任した時は守備が甘いなと感じていました。それが練習を積み重ねるにつれて上達してきましたね」と選手たちの成長を振り返ります。
坂主コーチも「長年の練習の成果が出てきたのだと思います。新しく入ってきたメンバーも動きがよくこれからが楽しみです」と選手のさらなる進歩に期待を込めていました。
そして、これまで選手それぞれの成長を目にしてきた藤平監督は「選手たちが今までできなかったことができるようになった姿を見ると本当にうれしいですよ」と顔をほころばせていました。
試合を経験しさらなる高みを目指す
実力を身につけ大会に出場できるチームへと成長し、今回のハンズホールディングスカップでもその力を発揮しようとチーム一丸となって一生懸命練習に励んでいます。
エースをつとめるピッチャーの星野選手も大会に向けて頑張るメンバーの一人です。チェンジアップが得意という星野選手は、練習でも力強いピッチングを見せてくれました。今回の大会でも「自分の持ち味を活かして頑張りたい」と意気込みを語ります。
監督やコーチは、「試合でしか得られないものがある。選手たちには試合に出てさまざまな経験を積んでほしい」と口をそろえて言います。
ハンズホールディングスカップのような大会に出場することは、選手たちにとって練習の成果を発揮する場であるとともに、試合を通してさまざまな感情や体験を味わえる貴重な場でもあるのだと感じました。
ハンズホールディングスカップをはじめとした試合の経験を重ね、ますます力をつけていくであろう栃木県知的ソフトボール部の今後の活躍が期待されます。
クラウドファンディング開始「希望のバットを振れ!」
8月15日より支援スタート!「希望のバットを振れ」知的障がい者ソフトボール東日本大会を応援してください!
クラウドファンディング「希望のバットを振れ!」は、知的障がい者スポーツの未来を切り拓くために立ち上がりました。
9月に宮城県で開催されるハンズホールディングスカップは、選手たちに自己実現と希望をもたらす貴重な機会です。この大会を通じて、知的障がい者スポーツの魅力を広く発信し、社会の理解と支援を促進することを目指しています。
このクラウドファンディングは、単なる大会運営支援にとどまりません。知的障がい者の余暇活動の充実、指導者への支援、そして将来的には西日本大会や全国大会の実現まで視野に入れた壮大なプロジェクトです。
皆様のご支援が、知的障がい者スポーツの新たな章を開く力となります。このプロジェクトにご注目いただき、共に知的障がい者スポーツの未来を創造しませんか?
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