
「せっかく万博で関西まで来たし、他のイベントにも行ってみたい」と思う方は多くいるでしょう。奈良でも大阪・関西万博に合わせて多くのイベントが開催されています。中でも奈良クラフトEXPOは、奈良県のモノづくりが一挙に楽しめる大きなイベントです。
本記事では2025年3月22日に開催されたプレイベントの様子を紹介します。記事を読めば、奈良クラフトEXPOの楽しさや見どころがわかります。ぜひ、本イベントに参加する前の参考にしてください。
奈良クラフトEXPOとは

奈良クラフトEXPOとは2025年の大阪万博に合わせ、6〜10月の間で計3回開催されるクラフトフェアです。「ふれる奈良のモノづくり」をテーマに、奈良県の伝統工芸をはじめ、産業・食・体験などが展示や販売を通じて体感できます。ワークショップも充実しており、子どもから大人まで楽しめるイベントです。プレイベントでは以下の店舗が出店されていました。
【クラフトマルシェ】
- 赤膚焼販売・手作りワークショップ(赤膚山元窯 古瀬堯三・奈良市)
- 奈良墨体験・墨販売(錦光園・奈良市)
- わさび葉寿し等の販売(梅守本店・奈良市)
- 着物体験(タナカ美粧園・奈良市)
- 靴販売(オリエンタルシューズ・大和郡山市)
- お抹茶体験・茶筌販売等(谷村弥三郎商店・生駒市)
- 奈良県産ぶどうワイン等の販売(木谷ワイン・香芝市)
- アート体験、雑貨、お菓子の販売(グッドジョブ!センター香芝・香芝市)
- 地ビール等の販売(奥大和ビール・宇陀市)
- 刀鍛冶展示・名彫りキーホルダー販売(刀鍛冶 金田國真・山辺郡山添村)
- 天日干し番茶・ブレンドティーの販売(嘉兵衛本舗・吉野郡大淀町)
【キッチンカー】
- ホットドッグ(リトックスワークス)
- カレーパン(一輪)
- ワッフル(ワフカ)
- ケバブとトルコアイス(エストゥルカ)
開催直後から続々と人が

プレイベントの会場は奈良公園バスターミナルの施設内。開催前でも多くの人が集まっています。
開催後は絶えず人が訪れ、常に賑わっていました。しかし無料で出入りできるため混雑はせず、楽に歩き回れます。

各ブースには多くの商品が並べられ、見るだけでも楽しめます。また、抹茶や赤膚焼の陶芸などの伝統工芸が体験できるワークショップが数カ所ありました。特に親子連れや海外観光客の利用が多かったです。

取材中は運良く、錦光園による奈良墨の実演制作も見られました。
奈良の魅力は歴史や伝統だけじゃない
1300年以上の歴史や伝統工芸などで有名な奈良ですが、実は美味しい食べ物や質の高い日用品、面白い取り組みもたくさんあります。今回は見逃しがちな奈良の魅力が詰まった店舗をいくつか紹介します。
自分らしく生きるを靴で貢献「オリエンタルシューズ」

オリエンタルシューズは、奈良県大和郡山市にて70年以上靴づくりを続けている老舗メーカーです。「健康で美しい暮らしに貢献する」というスローガンのもと、なりたい自分に近づけるツールとして靴を作られています。
中でも日本製ならではの細やかさ・質の高さにこだわったブランド「YAMATOism」が人気を博しています。今回のイベントでは革靴だけでなく、デニム生地のスニーカーなどカジュアルな靴も販売していました。

ブースに並べられた靴の中には鹿革で作られた製品もありました。鹿の革は軽くて柔らかいのが特徴らしいです。思わず奈良の鹿なのか聞いたところ、ニュージーランドの鹿を使っているとのこと。革の加工(鞣し)と靴の制作を奈良で行っているそうです。スタッフも「奈良で出店しているとそう思われる方が多いんですよ」と笑っていました。
福祉と働くの両立をお手伝い「GoodJob!センター香芝」

GoodJob!センター香芝は個人・地域・企業をつなぐ福祉施設です。だれもが能力を発揮できる社会の実現を目指し、障がいのある人でも主体的に働ける仕組みを創っています。今回のイベントでは、障がい者の方々が作った張り子やパウンドケーキを販売していました。奥ではワークショップを開催しており、子どもたちが楽しそうに絵付けしています。

「張り子づくりの始まりは、最初は中川政七商店さんと一緒に伝統工芸の担い手を今後どうしていくかを考えながら、障がいのある方の仕事作りをしようと始まりました」と語る松本さん。現在は色々な企業やお店とコラボもしているそうです。張り子の製作段階も展示されていました。今は3Dプリンターで作った型を中に入れて和紙を貼ったり、着色したりして作っているそうです。
パウンドケーキも施設内のカフェで作られたものでした。筆者はくるみとシナモンのパウンドケーキを試しに購入。ほのかにシナモンの香りがしつつ、甘さ控えめで素朴な味が美味しかったです。香りがキツくないので、コーヒーや紅茶との相性も良さそうだと思いました。
天日干しから生まれた豊かな香り「嘉兵衛本舗」

嘉兵衛本舗は約170年続く老舗の茶農家。吉野の冷涼な気候と豊かな土壌を生かし、伝統的なお茶作りを続けています。
今回は看板商品の天日干し番茶を試飲させていただきました。飲んで即座にわかるのが香りの違いです。市販の火が通った香ばしい香りと異なり、みずみずしい植物の香りがふわりと鼻まで抜けます。
苦みもほとんどなく、真新しい畳の上でゆったりとお茶を飲んでいる気分になりました。スタッフの「機械と違って天日干しなので、野生っぽい日向の香りがしますよ」という説明にもすぐに納得できるほど違います。

さらに「天日干し番茶とマンデリン(インドネシア産のコーヒー豆)の香りが似ているのを生かして、コーヒーの香りにほうじ茶の余韻が味わえるようにしています」とコーヒーブレンドの新商品も紹介してくれました。
明日香村にある「トブトリノ焙煎所」とコラボし、コーヒーの選定から焙煎加減までこだわって作られているそうです。カフェインを99.9%除去したブレンド茶なので、気軽に楽しめるのもよいですね。筆者もお土産に一つ購入しました。一袋でティーポット2煎まで飲めるそうです。
お昼ご飯にうなぎづくし弁当「梅守本店」

いろいろと見て回った後はお昼ご飯。
普段の参考にもなるよう、今回は手に入りやすい梅守本店のうなぎづくし弁当を選びました。梅守本店は、手鞠わさび葉寿しで有名な奈良市の企業です。寿司や弁当の販売だけでなく、寿司学校やホテルなども運営されています。

全体的に甘辛く味付けされた弁当です。一見すると味が濃そうですが、クドさは全くなく、柔らかな甘さが絶妙でした。稲荷寿司にはわさび茎が混ぜられていますが、ほんのりと香りがする程度で辛さは全然ありません。わさびが苦手な筆者でも美味しく食べられました。
うなぎは柔らかく、骨もないので子どもでも食べやすくなっています。メニューによって部位を使い分けており、同じうなぎでも異なる触感が楽しめて飽きません。一方、お米はずっしりと詰まっていて見た目よりもボリュームがありました。子どもや小食の女性なら半分だけでお腹いっぱいになりそうです。弁当だけで満腹になったため、パウンドケーキは後日に食べました。
今回は奈良クラフトEXPOプレイベントの様子と出展店舗の一部を紹介しました。【後編】では、奈良県食農部 豊かな食と農の振興課 主幹の下浦隆裕さんに伺った自治体から見た奈良県のモノづくりについて紹介します。
イベント情報
公式サイト:https://naracraftexpo.pref.nara.jp/
第1弾「奈良クラフトEXPO in 下市」2025年6月6日(金)〜8日(日)
会場:KITO FOREST MARKET SHIMOICHI
住所:奈良県吉野郡下市町善城664-1
第2弾「奈良クラフトEXPO in 奈良」2025年8月22日(金)〜24日(日)
会場:奈良県コンベンションセンター
住所:奈良県奈良市三条大路一丁目691-1
第3弾「奈良クラフトEXPO in 橿原」2025年10月10日(金)〜12日(日)
会場:新沢千塚古墳群公園
住所:奈良県橿原市川西町858-1
※2025年3月22日時点では出店者は決まっていないため、詳細は随時公式サイトにてご確認ください。