地方創生メディア  Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

もの・こと  |    2025.05.02

奈良クラフトEXPOプレイベント体験レポート【後編】|小さなモノづくりが地域を元気にする

大阪・関西万博開催中に、地域のモノづくりを通して奈良県の魅力を伝えるイベント「奈良クラフトEXPO」を奈良県各地で開催します。【前編】ではプレイベントの様子を主に紹介しました。

【後編】の本記事では、自治体から見た奈良県のモノづくりについて紹介します。記事を読めば、奈良県がモノづくりを通じてどのように地域振興に取り組んでいるかがわかります。

前編はこちら

奈良クラフトEXPOプレイベント体験レポート【前編】|奈良の良いモノ一挙公開

地方活性化の鍵は半歩戻った地域循環

奈良県食農部 豊かな食と農の振興課 の県職員さん
奈良県食農部 豊かな食と農の振興課 主幹の下浦隆裕さん

「県産のモノを地域で加工して、消費者にもこだわって食べてもらう。そんな良い循環を作りたい」と語るのは奈良県食農部 豊かな食と農の振興課 主幹の下浦隆裕さん。奈良クラフトEXPOでは食の分野で深く関わっている方です。今回は、下浦さんから食や農における奈良県のモノづくりについてお伺いできました。

輸出ばかりじゃ豊かになれない

輸出も外貨を獲得するのに重要な行為です。しかし、下浦さんは「輸出ばかりに力を入れても、自分が食べるものや材料を輸入していると、儲けているように見えて0かマイナスなんです」と語ります。

そのため近年では、外に支払う分と入ってくる分のバランスを取りつつ、地域内でもお金を回していくといった取り組みが行われているそうです。また自治体だけでなく、企業やお店側もいろんな理念を持ちつつ、地域循環を考えて経営している方が多いとも仰っていました。

中小企業だからこそ特色が生まれる

「最近は、地域オリジナルのものを作ろうというような動きが結構出てきています」と下浦さんは嬉しそうに語ります。中小企業が多い奈良の酒造メーカーなどは、小規模ならではの動きやすさを生かして、それぞれ特色のある製品を作られているそうです。飲食店などでも地域の食材を紹介して、ゆっくり食べてもらえるような動きがあると仰っていました。

地域産食材と企業ごとの技術・サービスの組み合わせによって、今後こだわりの味や地域の色が増えることが期待できます。製品が増えた分、消費者の選択肢も広がるため、選ぶ楽しさも上がりそうです。

地域循環は農業の保護につながる

豊かな食と農の振興課のロゴマーク
引用:豊かな食と農の振興課 公式ページ

地域に特化した特産品を1つ作るには、特産品の素材も地域で作らなければなりません。奈良県では、生産から加工、販売までそれぞれの分野で連携しながら支援活動をしています。特に農業はモノづくりの土台となるため、農地の保護や応援もしているそうです。中には特産品の素材になったことで村おこしにつながった例も。

「担い手不足もあるので、特産品に関わるやりがいを通じて農家を増やす仕掛けを作りたい」と下浦さんは語ります。「県産のものを使えば生産者の方が喜び、地域を応援できるので加工する方もこだわりを持てる。消費者も食べることで地域を応援でき、地域全体が元気になる」という地域循環の考えを広げることが、これからの未来には必要だとわかるお話でした。

木谷ワインも地域循環の一つの形

木谷ワインは地域に密着したブランドを目指して作られた奈良県初のワイナリーです。設立したのは、史上初の純奈良県産ワインでビジコン奈良2019最優秀賞を受賞した木谷一登氏。「地域の特徴を表せるワインの特性を生かして地域を応援できるのではないか」と考え、奈良産ワインを作られているそうです。

現在は奈良県明日香村で生産されている橘(柑橘類の一種)など、地域の特産品を使ったワインの受注生産もされています。他にも天理市でぶどう園を作るなど地域循環に寄り添った運営をされていると下浦さんに解説していただきました。

奈良県初のワイナリー「木谷ワイン」

木谷ワインのスタッフさん
快く取材に応じてくださった木谷ワインの皆様

下浦さんから詳しくご紹介いただいた木谷ワインのブースにもお邪魔しました。さっそく他のワインとの違いをお伺いしたところ「うちは酸味とかも大切にしていて、割と新ジャンルな感じになっています」との回答が。「甘い辛いだけでなく、酸っぱさも残しつつ、水のように飲めるワイン」らしく、赤ワインでも和食に合わせやすいそうです。アルコール度数も低めで、ブース内で最も高い赤ワインでも12.5%でした。厚生労働省が公表しているワインの目安(12%)と同等程度です。

ちょっとしたプレゼントにピッタリの価格

今回は赤ワインを試飲させていただきました。スッキリとライトに飲めるように仕上がっていると伺ったのでジュースに近いのかと思いましたが、しっかりとワインの味でした。ですが、酸味の方が先にくるので酒精の苦みがあまり気になりません。普段お酒を飲まない筆者でも飲みやすかったです。

ブースでは一般的なワインだけでなく、ぶどう以外の果実で作られたワインも販売されていました。ぶどう以外のワインは初めて見たので、試しにカップで購入。一口飲むとみかんの香りや酸味が強い炭酸に乗って一気に広がるため、爽快感があります。甘みよりも酸味が強いみかん果汁をそのまま発泡酒にした感じです。癖がなく、後味もさっぱりしているので、食事中に口の中をリセットするのにも向いていると思いました。

一通り巡って大満足!

下浦さんだけでなく、各ブースでも貴重なお話をたくさん伺えました。気になった商品も購入できて大満足のイベントです。購入したブレンドティーやパウンドケーキは自宅でじっくり味わいました。味も香りも良く、機会があればリピートしたいです。

ワークショップでじっくり遊んだり、ふらりとブースを見回ったりなど楽しみ方は人それぞれ。無料で出入りできるので地元の方だけでなく、観光の合間にちょっと立ち寄るだけでも十分楽しめそうなイベントでした。本格的な開催はこれからなので、気になる方はぜひ遊びに来てください。

イベント情報

公式サイト:https://naracraftexpo.pref.nara.jp/

第1弾「奈良クラフトEXPO in 下市」2025年6月6日(金)〜8日(日)
会場:KITO FOREST MARKET SHIMOICHI
住所:奈良県吉野郡下市町善城664-1

第2弾「奈良クラフトEXPO in 奈良」2025年8月22日(金)〜24日(日)
会場:奈良県コンベンションセンター
住所:奈良県奈良市三条大路一丁目691-1

第3弾「奈良クラフトEXPO in 橿原」2025年10月10日(金)〜12日(日)
会場:新沢千塚古墳群公園
住所:奈良県橿原市川西町858-1

※2025年3月22日時点では出店者は決まっていないため、詳細は随時公式サイトにてご確認ください。

記事をシェアする

この記事を書いた人

吉田 乃り子

生まれも育ちも奈良市の取材・SEOライター|主に食・物・イベントを中心に発信します|夜になると寂れる商店街や店舗の激しい入れ替わりを何とかしたいと地方創生活動に参加しました。奈良市の魅力をもっと知ってもらえるように活動します。

関連記事