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ライフ  |    2023.09.20

真水が湧き出る不思議なビーチ|釜磯海岸の湧水

東北の夏は、短い。山形の夏も然り。
お盆を過ぎたあたりから海水浴場は一気にさみしくなり、カレンダーを1枚めくる頃には、秋の気配がすぐそこまで来ています。

さて、そんな山形ですが、みなさんは遊佐町(ゆざまち)をご存知でしょうか。山形県の最北端に位置し、秋田県に接する県境の町です。
鳥海山(ちょうかいざん)の伏流水が豊かな湧き水となって地元民の生活を支え、その様子は町のあちらこちらで見られます。

中でも、吹浦(ふくら)地区の湯ノ田にある「釜磯(かまいそ)海岸」では、砂浜から水が湧き出ているというので行ってきました!

釜磯(Kamaiso)

酒田市から遊佐町に入ると道路わきに見える畑は砂地になり、防砂林のクロマツの木が近くなります。車で向かう際は海岸沿いを道なりに。ビーチとは目と鼻の先にある「十六羅漢岩」を目指しても良いでしょう。道路わきに見える「釜磯(Kamaiso)」の案内に従うとビーチのすぐそばまで車で入れます。

車を降りるとすぐ、海風に乗って磯のにおいがしました。

夏には海水浴客でにぎわう海岸も、この日は浜遊びに来ていた親子と数組の観光客のみ。早くも“いつもの”静けさを取り戻していました。

砂浜に湧き出る水

湧き出るポイントを探して歩き、寄せてくる波をよけようと後ずさりすると後ろにも水たまりが……! 砂浜のあちらこちらで湧き出た水が水たまりを作り、やがて海へと流れていきます。
初めて見る光景に思わず海と水たまりを見比べてしまいました。

さらに驚いたのは、水がとても澄んでいること!
それもそのはず。海底から湧き出し流れ続けているのですから濁るはずもありませんね。

ちなみに、場所は砂浜ですが湧き水なので海水ではなく真水。しかも、海岸だけでなく沖合5km地点でも湧いているのが確認されています。

湧水ポイント

窪みの端に筋状に見えるのは、じわじわと染み出した水が流れを作った跡です。真ん中の丸くマーブル状になっているところからコポコポと水が湧いているのが見えるでしょうか?よーく目を凝らして見るか、“水が湧いている”と知らなければ気づかないほど、静かに静かに湧いています。

興味本位で渦の中に手を入れてみたところ……冷たい!こんなに冷たいとは!手首まで見えなくなったころにはキーンと冷えてきました。
さほど抵抗なく手が入ったので、うっかり歩いて踏んでしまっては大変です。小さいお子さんは特にご注意くださいね。

海岸で湧く理由

鳥海山は火山活動によって流れた溶岩が重なり合ってできた山で、釜磯海岸も鳥海山から海中まで流れ込んだ溶岩でできています。

実は、鳥海山の積雪量は世界有数と言われるほど。
豊富な雪解け水が、冷えて固まった溶岩に蓄えられ、地下水となって遊佐町全体を潤しているのです。

鳥海山・飛島ジオパーク

平成28年9月に遊佐町は、山形県酒田市・秋田県にかほ市・秋田県由利本荘市とともに「鳥海山・飛島ジオパーク」に認定されました。「釜磯の湧水」もジオサイトになっています。

「ジオパーク」とは、地球や大地を意味する「ジオ」と公園を意味する「パーク」を組み合わせた言葉で「地質や地形から地球の過去を知り、未来を考え、活動する場所」のことです。

例えば。
近所の小学生が「どうしてこんなところから水が出ているのだろう?」と疑問に思い、調べたとします。そして「鳥海山が火山」だったことや「鳥海山に降った雨や雪が何十年もかけて湧水になって出てくる」ことを知るでしょう。

すると、昨日まで何気なく見ていた景色が全く違うものに見えるかもしれません。
さらに、成長した彼・彼女たちが生まれ育った遊佐町を守ろうと思い、行動してくれるなら、こんなにステキなことはないですよね。

スポット情報

住所:山形県遊佐町吹浦
料金:無料
アクセス:JR羽越本線「吹浦駅」から車で10分、
     日本海東北自動車道「酒田みなとIC」から秋田方面へ25分
駐車場:有(50台程度)
公式サイト:遊佐鳥海観光協会

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この記事を書いた人

hana

山形県に住む副業ライター。 自然と美味しい食べ物豊かな山形。 私が好きな山形の魅力をたくさんご紹介します☆

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