神戸の夏の風物詩、湊川神社の夏祭りで出会った日本伝統芸能・猿まわし。
3歳の娘が目を輝かせて見ていたのは、お猿のジャッキーと咲笑(さえ)さんによるコンビ「Besties(ベスティーズ)」でした。親友のように助け合う2人を目指して名付けられたというこのペアを育てた環境を知りたくて、神戸市内から車で約40分、道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢内にある「神戸モンキーズ劇場」を訪れました。


ここは関西初の日本猿による屋内型常設劇場で、迫力満点のショーを楽しめます。
運営するのは株式会社二助企画、所属コンビ数は国内最多クラスの14組(2025年10月時点)。千年以上の歴史を持つ日本の伝統芸能「猿まわし」を、現代に受け継ぐプロフェッショナル集団です。
屋内で体感する、迫力の猿まわし
全天候型の劇場内は冷暖房完備で、客席との距離も近く、表情の細やかな変化まで見ることができます。照明や大型ビジョンを駆使した演出で、路上パフォーマンスとは違った猿まわしの魅力を体感できます。観覧したのは、手話を取り入れた芸を披露するコンビ「アイノテ」。息ぴったりの演技に、観客席の赤ちゃんも思わず歓声を上げていました。公演後には写真撮影やグッズ販売もあり、観客とお猿さんが直接ふれあえる時間も設けられています。


芸歴30年のベテランから新人コンビまで
取材に応じてくれたのは、代表の二助(にすけ)さんとBestiesの咲笑さん。打ち解けたお二人のやりとりに、日頃からの関係性の良さが滲み出ています。
「動物の中でお猿さんが一番好き」で、動物の専門学校を卒業した咲笑さんの相方・ジャッキーは2023年生まれ。デビュー間もない頃、思うように芸ができずステージで思わず泣き出してしまった咲笑さんを、客席にいた二助さんが助けに入ったこともあるのだとか。
「人間の心を、お猿さんは敏感に察知する。絶対あきらめない!という気持ちが大切だと気づきました」と咲笑さん。舞台を支えるのは、技術だけでなく信頼と愛情だと感じさせてくれます。

「二助企画」の始まりと現在
代表の二助さんは20歳の頃、現・日光さる軍団代表の太郎さんのもとに住み込みで働き、その後周防猿まわしの会に入社。10年の修行と新人トレーナーの育成を経て2002年に二助企画を立ち上げました。
二助さんは「猿まわしの技術の奥深さ」に惹かれ、守りたいと、今も第一線で活躍しながら若手育成に力を注いでいます。若いトレーナーが多い理由を尋ねると、「動物専門学校と連携し、“猿まわし”という職業を知ってもらう機会をいただいたから」と話します。引退後の猿が穏やかに暮らせる「老猿施設」の運営や、社員の子育てと仕事の両立支援など、人とお猿がともに安心して働ける環境づくりにも力を入れています。


インタビュー後にお猿さんとの散歩に同行させてもらいました。ジャッキーと過ごす時間の中で、特に大切にしているのが散歩だという咲笑さん。広い園内を歩きながら、空や木を見上げてはしゃぐジャッキーの姿に、芸を超えた絆の深さを感じました。


開放感あふれる環境で、一日中楽しもう
劇場のある「神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」は、自然豊かな開放感が魅力。果物狩りや遊園地、温室、宿泊施設などが揃い、時期によってはプールやドッグランも楽しめます。神戸の中心地から少しドライブすれば出会える、動物にも人にもやさしい場所。
お猿の“えん”は、ご縁の“えん”。家族みんなで訪れてみませんか?


【二助企画 神戸モンキーズ劇場の情報】
所在地: 〒651-1522 兵庫県神戸市北区大沢町上大沢2150
アクセス:神戸電鉄「岡場駅」、JR「三田駅」よりバス・タクシーで約15分、JR「三ノ宮駅」から神姫バスで約35分(土日祝のみ)
電話:06-6654-8715
Instagram:https://www.instagram.com/nisukekikaku/
公式サイト:https://theater.nisukekikaku.com/