Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

人  |    2023.11.15

「Uターンするなら手を差し伸べてくれる人たちが多い鹿児島へ」|時に構成作家、舞台監督のラジオパーソナリティ・DJ GOさん

先日、「燃ゆる感動 かごしま国体」が開催された。本大会は当初2020年に開催予定だったものの、新型コロナウイルスの影響で延期となり、3年越しに開催が実現した。

鹿児島での開催は、昭和47年の太陽国体以来の51年ぶり。それに加えて、来年からは国体から国スポへと生まれ変わることで、鹿児島が最後の国体会場となった。

県民にとって、歴史的にも貴重で節目となる大々的な国体。その開会式と閉会式の会場からラジオ番組を届けた「DJ GO」こと、中村宏一郎(なかむらこういちろう)さん。

かごしま国体の開会式にてアナウンサー・有賀 真姫さんと(写真提供:中村宏一郎さん)

国体と10月28日から始まったかごしま大会の間の多忙な中、DJ GOとして活動するに至るまでの経緯や今年で6年目となるご自身の番組「シネマスケープ」についてお話を聞かせていただいた。

人生のプランには全くないところから始まった鹿児島暮らし

大学時代、演劇部の仲間たちと(写真提供:中村宏一郎さん)

中村さんは長崎市生まれ。長崎北陽台高等学校を卒業後、1年間の浪人生活を経て、進学のため鹿児島にやってきた。

幼少期に観た映画「スターウォーズ」に衝撃を受けて以来、映画や演劇の世界に憧れを抱いていた。そんなこともあり、将来は役者になるため、高校卒業後は上京し関東の大学進学を目指していたが、縁あって鹿児島大学でのキャンパスライフを過ごした。

「当時は鹿児島で過ごすことになるとは思ってもなかったですね。鹿児島のことを何も知らない状態からのスタートでした」と話す中村さん。

いざ、鹿児島での暮らしが始まると、住みやすさと大学生活の楽しさを実感した。大学では演劇部に入り、勉強は二の次。演劇部の活動に夢中だったという。夢中になりすぎて、4年間の大学生活が想定を大幅に超え、結果6年間過ごすことになったのは今となっては良い思い出のようだ。

2度の入院を経て決意した「好きなことをしよう」

卒業後は損害保険会社に入社した。映画や演劇の世界に憧れ、映画配給会社の最終面接まで進んだものの、「浪人や留年を経験しこれ以上親に迷惑をかけられない」と最終面接を辞退し、いわゆる安定した就職先を選んだ。

就職後は3年間、その会社の宮崎支店にて勤務。その間、激務で体調を崩し、2度の入院を経験した。2度目の入院で「好きなことをしよう」と思い立ち、退職。再び、役者の道を目指して上京した。

鹿児島に戻るきっかけとなった2011年の東日本大震災

役者時代(写真提供:中村宏一郎さん)

上京してからはアルバイトをしながらオーディションを受けたり、ドラマや映画に出演したりと役者の卵として10年ほど過ごした。

その間、大学時代からお付き合いしていた彼女と結婚。子宝にも恵まれた。家庭を持ち始めたことで「いつまでも自分の好きなことばかりを追いかけて、ふらふらしていられない」と感じ、俳優業から職を変え、派遣社員として働いた。

そんな矢先、東日本大震災が発生。当時、息子はまだ1歳。放射線がもたらす人体への影響も懸念された。何が正しいかも分からないが、リスクのある暮らしを我が子にはさせたくないとUターンを決意。自分の地元長崎か、妻の地元であり大学時代を過ごした鹿児島かと検討した際に、「手を差し伸べてくれる人たちが多いのは鹿児島だ」と感じ、家族で鹿児島に移住した。

表を経験してきたこれまで。今度は裏方として

帰鹿直後(写真提供:中村宏一郎さん)

「表を経験してきたから、裏もできるでしょ」と大学時代の後輩がラジオ番組の構成づくりの仕事を振ってくれた。また、チンドンなどパフォーマンス業を営む地元の友人を手伝うため、鹿児島での営業活動を担当。

「マクガフィン」という屋号で、大きくこの二つの柱で活動している。

知識のない分野の番組づくりが常に不安だったからこそ気づいたこと

2019年日本民間放送連盟賞の「ラジオCM(第2種)」部門で優秀賞を受賞(写真提供:中村宏一郎さん)

以前、野菜をテーマにしたラジオ番組の構成を2年ほど担当した。植物に関しては番組を構成し媒体で発信できるほどの知識がなく、常に不安だったという。そんな経験から「知識の浅いジャンルの番組づくりより、知識も経験もある映画にまつわる仕事をさせてもらえないか」とラジオ局に提言。

すると、企画が通った。さらには「自分で話してみたら」とパーソナリティとしての役割も担うことになった。そうして映画のことしか話さない番組「シネマスケープ」が誕生した。

この番組も6年目に入り、スポンサーもついて映画ファンからの支持も厚い。

トランスフォーマーやコンフィデンスマンJPでもロケ地となった香港のモンスターマンション(写真提供:中村宏一郎さん)

本当に好きなことをやらせてもらっているなと感じます。好きなことだからこそ妥協は絶対にしたくないし、サボらず極めてしまうんですよね。映画を見返したり、英語で紹介されたネットや洋書の内容を翻訳したりとカロリーを使います。先日、旅行と仕事を兼ねて香港に行ってきたのですが、映画のロケ地にも足を運び、次回の番組ではそのことも取り上げる予定です。ある意味、好きなことを仕事にするって大変だなと実感しますね

と、番組に対する情熱や映画愛を語ってくれた。

今や人生の半分を過ごしている鹿児島について思うこと

鹿児島の好きな風景(写真提供:中村宏一郎さん)

「鹿児島で過ごすことが自分の人生のプランにはなかった」と冒頭で話した中村さん。いつの間にか人生の半分を鹿児島で過ごし、今や鹿児島には運命的なものを感じるという。

鹿児島は農業大国でどれを食べても美味しい。野菜や肉、魚…何でも豊富にあるからこそ突出した『これ!』というものがなく、全体的にぼやけてしまったり、恵まれた環境に県民が気づいていなかったりしていると感じます。マルチにいろんなものがあるからこその悩みなんでしょうね

と中村さんなりの見解があった。

DJ GOとしてお届けする番組「シネマスケープ」は毎週金曜日15時15分から30分までの15分間、エフエム鹿児島にて放送されている。ラジオ視聴アプリ「radiko(ラジコ)」ではタイム、エリアフリーで視聴することもできるので、気になった方はぜひご視聴を。(※一部の機能は有料)

記事をシェアする

この記事を書いた人

きゃんまり

鹿児島出身、関東在住。広告代理店に勤務し、ライターとしても活動中。取材ありの記事執筆やイベントレポートの作成が得意。一歩鹿児島を出ると、「鹿児島の本当の魅力が知られていない」「鹿児島と無縁の人が多い」と痛感しています。大好きなふるさと鹿児島を一人でも多くの人に知ってもらい、ファンになってもらうために、鹿児島のモノ・コト・ヒトに関する情報をお届けします。

関連記事