大量生産と大量廃棄が深刻な問題となっているアパレル業界。悲しいことに、日本だけでも年間100万トンにものぼる衣料が廃棄されている。その大半は、家庭で使わなくなった服や店頭に残った在庫の処分品。また、衣料品を作る過程で出る生地の端切れ「残布(ざんぷ)」も廃棄物の一部だ。
そんな状況に対し、残布を活かした靴下を展開しているのが群馬県伊勢崎市にある「MarinaKarna(マリーナカーナ)」だ。
チラッと見せたくなるようなカラフルな色使いや個性的なデザインが特徴で、SNS上でも大きな人気を集めている。
今回は、MarinaKarnaの松岡さんに靴下の制作裏話やこだわりを伺った。
ひらめきで生まれた「SOKUSEKI SOX」
―「MarinaKarna」は犬用のアパレルブランドだと聞きました
松岡:そうですね。「MarinaKarna」は犬用のアパレルブランドとしてスタートしました。もっとブランドの認知を広げていきたいと思っていたある日、冷房が強く体の冷えを感じ、犬服用に用意していた生地を使って思いつきで靴下をつくってみたんです。そしたら、すごく履き心地がよくて。「これなら喜ばれるのでは」とピンときました。
即席でつくった靴下なので、名前はそのまま「SOKUSEKI SOX(即席ソックス)」に(笑)
今ではSOKUSEKI タイツやハイソックス、足袋など…さまざまな種類があります。
ーそれぞれの靴下に個性があって、見ているだけで楽しくなるデザインですね
松岡:ありがとうございます。中学生のころ某セレクトショップで花柄のプリントが全体的に施されたインポートの靴下を見つけたんです。
その靴下との出会いがとても衝撃的で「こんな靴下もあるんだ!」と驚きました。中学生の私には少し高かったのを覚えています。とてもかわいくて今でも大切にしています。
今振り返るとその靴下との出会いで「楽しく履けるような靴下」という考えが頭の中にあったのかもしれません。
ー靴下へのこだわりや思いをお聞かせください
松岡:残布を別の製品にアップサイクルすることで新たな製品を生み出し、手に取ってくださった方が楽しくワクワクするような物作りがしたいです。
わたしは群馬県桐生市出身で土地柄生地を扱う機屋さんが多く、幼少期から生地を使って物作りをすることが好きでした。
生地と触れ合う機会が多かったので、残布を活かしたいという想いが自然とありました。
残布を使っているため大量生産はできませんが、デザイン・裁断・縫製まですべて手仕事で一つひとつ丁寧に作っています。
ー最近はユナイテッドアローズでも取り扱っていると聞きました。どんな種類が人気なのでしょうか
松岡:人気があるのはTabi(足袋)タイプですね。
それから、季節に合わせた素材も人気です。特に夏はシースルー素材のものが人気で、冷房で足が冷えやすいときでも即席で(笑)冷えを予防できます。
ーかわいいだけでなく機能的なのはとても魅力的ですね
松岡:ありがとうございます。性別や年齢問わず履いていただけるように素材にもこだわって選んでいます。
ー最後に、今後の展開を教えてください
松岡:犬用のアパレルブランドなので、今後は犬服にも力を入れていきたいと考えています。SOKUSEKI SOXは関東圏で販売する機会が多いので、今後は他の地域でのポップアップや出店などもしていきたいです。
海外展開にも目を向けて発信していこうと思っています。イベント出店するとアップサイクルの靴下ということで、海外の方にも興味を持っていただけることが多くなりました。
特に、足袋の形をしている「Tabi socks」は日本ならではのデザインで好評です。今後も手に取ってくださる方々が楽しくなるような物作りをしていきます。(了)
MarinaKarnahana(マリーナカーナ)の情報