愛媛県松山市に鎮座する雄郡神社は、古くから地域の守り神として人々の暮らしと歴史を見守り続けてきた神社です。静かな佇まいと深い歴史が感じられる境内は、訪れる人々の心をやさしく包み込みます。
歴史と由緒 — 雄郡の守護者として

雄郡神社の創建について、明確な記録はありませんが、地域名「雄郡(ゆうぐん)」と深く結びついています。地域一帯の産土(うぶすな)神として古くから崇敬されてきました。
江戸時代には既に人々の生活に根ざし、厄除け・家内安全・五穀豊穣など多様な願いを受けとめてきたと伝えられます。
その証として、江戸期から大切に受け継がれてきた棟札や社記が残っています。戦前・戦後を通じて何度も修復や再建が図られてきました。
特に昭和初期の松山空襲では多くが焼失したものの、地域の協力と信仰心によって再び社殿が整えられました。
ご祭神とご利益

雄郡神社のご祭神は、地元の守護神として信仰される神々です。特定の主祭神名が明記されないケースが多い一方で、地域の安全や生活安泰を司る神徳を持つとされています。以下のようなご利益が伝わっています。
- 家内安全
- 交通安全
- 厄除け・災難除け
- 商売繁盛
- 学業成就など
日々の暮らしの中で「無事に過ごしたい」「一歩前に進みたい」と願う人々の祈りを受け止め、雄郡神社は参拝者の思いを静かに見守り続けています。
境内社

雄郡神社には小さなお社が複数あります。道路拡張や宅地造営などによって、氏子地域内から移設されてきたものです。以下に一部を紹介します。
愛宕神社(あたごじんじゃ)
御祭神は火産霊神(ほむすびのかみ)、軻遇突知神(かぐつちのかみ)。伊邪那岐神・伊邪那美神の御子で、火を司る神様です。
古くから「竈(かまど)の神」として信仰され、家内安全や火難除けの守護神として親しまれてきました。
また、火の力に由来し、熱病や病気平癒のご利益がある神様としても知られています。
金砂神社(かねひさじんじゃ)
御祭神は金山彦命(かねやまひこのみこと)、天神様(てんじんさま)、和霊様(われいさま)。
金山彦命は、鍛冶・金属・土地を固める神として、産業やものづくりを守護する神様です。
天神様は菅原道真公を神格化した神で、学問成就や知恵向上のご利益で広く信仰されています。
和霊様は、宇和島藩の家老・山家公頼を祀った神で、産業発展や商売繁盛の神として親しまれています。
藤廼社(ふじのしゃ)
御祭神は木之花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。
愛媛県大三島に総本社がある大山祗神の御子で、天孫・瓊々杵尊の御妃神です。
火を放った産屋で無事に出産された神話から、安産や子育ての守護神として篤く信仰されています。
女性の人生の節目を見守る、やさしい神様です。
雄郡神社の文化財

雄郡神社は、地域の歴史を今に伝える文化財を所蔵しています。中でも、江戸時代に奉納された武具類などが注目されています。これらは往時の信仰と地域文化を今に伝える貴重な資料です。
短刀や太刀などは国の重要文化財として評価され、地域史あるいは武具史の観点からも価値が高いとされています。
これらの文化財は、雄郡神社が単なる生活守護の場を超えて、地域の歴史的アイデンティティにもなっていることを物語っています。
年中行事と地域とのつながり

雄郡神社では、季節折々の行事が地域の人々とともに行われています。代表的なものの1つは秋季例大祭です。
秋の実りに感謝する祭礼で、収穫や仕事の成果を神前に感謝する大切な催しです。旧友との再会、家族での参拝など、地域の交流の場として親しまれています。
年中行事は、単なる神事に留まらず、地域の絆を育む重要な場でもあります。
参拝の魅力と過ごし方

雄郡神社は、参拝するだけで心が静かになるような空間です。社殿前で手を合わせ、息を整えるだけで、日常の喧噪がやわらぎます。
小さな境内には季節の木々が寄り添い、鳥のさえずりや風の音が心地よく聞こえてきます。周辺には散策スポットやカフェも点在し、神社参拝を中心にした「日常の小さな旅」としても楽しめるでしょう。
また、Instagramなどで日々の風景や祭りの様子が発信されているため、行事や参拝の雰囲気をチェックしてから訪れるのもおすすめです。
所在地とアクセス


雄郡神社は松山市小栗に位置し、地域の生活圏の中にひっそりと佇んでいます。駐車場があるため、車でアクセスしやすいのもうれしいポイントの1つです。
松山市駅からは公共交通機関を利用するほか、徒歩でも約20分で到着します。地元の氏子や参拝者にとって、日常の延長線にある「身近な社」として親しまれています。
| 神社名 | 雄郡神社 |
| 住所 | 松山市小栗3丁目3-19 |
| 宮司名 | 高市 誠司 |
| 電話 | 089-921-3944 |
| 主祭神 | ・天宇受売命(あめのうずめのみこと) ・帯中日子尊(たらしなかつひこのみこと) ・息長帯姫尊(おきながたらしひめのみこと) ・品陀和氣命(ほむだわけのみこと) |
訪れる前に

雄郡神社は、豪勢な大社ではありません。しかし、その静かな佇まいの中に、地域の歴史と人々の想いが溶け込んでいます。大小問わず、誰もが立ち寄れる「癒しの場」として、人々の歩みを見守り続ける存在です。
参拝者は「神に願う」だけでなく、自分自身の内面と向き合う時間を得られます。日々の暮らしを支える存在として、雄郡神社はこれからも地域とともに歩んでいくでしょう。
松山市に足を運んだときは、少しの時間でも神社に参拝するとよい思い出になるでしょう。そこには、言葉にならないやすらぎが待っています。
一歩外に出た時、日常にある小さな幸せに気づきやすくなるかもしれません。




