四国八十八箇所、38番札所の金剛福寺から39番札所の延光寺までの道のりは、距離が約50kmから70km以上と非常に長いです。そのため「修行の道場」と呼ばれる高知県の中でも屈指の難所といえるでしょう。
約50~70kmと距離が大きく違う理由は、38番札所から39番札所に行くルートが複数あるためです。
今回ご紹介するのは、江戸時代から多くのお遍路さんが歩いてきたとされる、土佐清水市市ノ瀬から三原村を通るルートにあるお遍路さん休憩所。
そこには、地元の人々のお遍路さんへの「お接待」を感じる温かい場所がありました。
こんなところにお遍路さん休憩所!?山の中のオアシス!
四国八十八箇所は、弘法大師(空海)ゆかりの四国にある88のお寺を巡る、世界でも珍しい円環状の巡礼道です。この修行の道を辿る人々は、「お遍路さん」として古くから地域に親しまれてきました。
昔は歩いて回ることが一般的でしたが、現在は歩き遍路の他に自転車や車、また観光バスで回るような巡礼の仕方もあります。また、日本人だけではなく近年では海外のお遍路さんも多く見かけるようになりました。
最初にお伝えしたように、38番札所の金剛福寺から39番札所の延光寺までは、距離が約50〜70kmです。また土佐清水市足摺方面にある金剛福寺まで行ってから打ち戻り(一度通った道を戻ること)をしなければならないので、お遍路さんとしてはより辛さを感じるのではないでしょうか。
土佐清水市市ノ瀬から三原村へ続く道に入ると人家が少なく、県道とはいえ、まさに山の中の道を歩くことになります。道路も一車線であり、中には車のすれ違いがかなり難しいような場所もあります。
やっと山の中にある道を抜け、三原村に入るとぽつぽつと人家が見えてきますが、39番札所延光寺まではまだまだ遠い……。
そんな想いがある中、ふと目に入ってくるのがこのお遍路さん休憩所です。



突然現れるので、知らない人は驚くかもしれません。
小さな小屋とでもいいましょうか。都会の人からすると、ちょっとしたバス停のような感じです。
しかし、ずっと山の中にある道を歩いてきて、疲れを癒す休憩所としてはまさにオアシスのような存在でしょう。
お遍路さん休憩所の設備について
こちらの休憩所、決して大きくはありませんが、ベンチと机があり、机の上には綺麗な生花が飾られています。
ベンチは詰めたら5~6人は座れる広さで、ご飯を食べたり、お茶を飲んで休憩するには充分です。
また古いながらも綺麗に掃除をされており、野外ではありますが女性でも安心して休憩できるでしょう。



ベンチから見上げると石造の弘法大師像が目に入ってきます。
墓所の一角に建てられているようですが、四国八十八箇所を回るお遍路さんにとって弘法大師像を拝めるのはとても心強いものになるでしょう。

お遍路さん休憩所の近くにトイレあり!自動販売機や水道も!
この四国八十八箇所、歩き遍路での心配はなんといってもトイレではないでしょうか。特にこのようなお店も人家もない道が続くと、トイレは計画的に行かないといけません。
こちらのお遍路さん休憩所自体にはトイレはありません。
しかし、休憩所の正面にある建物、その背後にこの地区の集会所があり、そちらのトイレが利用可能です。集会所正面玄関の右側が、外用のトイレになります。
トイレの外には水道もあります。外にある水道ですが、地元の方によると飲用も可能とのことです。

またトイレの次に必要なものといえば飲み物ですね!特に暑い季節になると、歩き遍路をされている方は熱中症や脱水症に注意が必要です。
こちらについては土佐清水市市ノ瀬から来たお遍路さんであれば、休憩所より先に、真っ赤な自動販売機が目に飛び込んで来るのではないでしょうか。
休憩所の斜め向かいに自動販売機があるので、飲み物を買ってゆっくり休憩所でいただけます。休憩所のすぐ近くにトイレや水道、そして自動販売機があるのは嬉しいですし安心です。

お遍路さんノートと地元の人の想い
このお遍路さん休憩所、地元の方に伺うと、15年ほど前にこちらの地元の方々によって作られたそうです。昔から多くのお遍路さんを見てきた地元の方の「お接待」の表れになります。
掃除やお花を生けることも地元の人がおこなっています。お花は家に咲いているものや、野山に咲いている季節の花を飾っているとのこと。
休憩所に置いてあるお遍路さん用ノートを見せていただきました。ノートは3冊目になっており、日本全国からはもちろん、海外からの声もありました。
「疲れたところに綺麗な休憩所があり、ゆっくり休めた」
「かわいいお花に癒された。励みになります」
そのような言葉がノートにたくさん書かれています。



「毎日はできんときもあるけど、1日空くと掃除に行かないかんと思うて気になる。ノートを見るとお遍路さんに喜んでもらいようけん、うれしいです」
地元の方は、お遍路さんへのお接待は子供の頃から日常にあったと言います。
お遍路さんの多い地域だからこそ、「お接待」を身近な存在として受け入れ、行動することが自然となっていることを感じました。
山道を抜けた先にあるお遍路さん休憩所。綺麗なお花には、地元の人のお遍路さんへの「お接待」の想いが込められています。
そして、お遍路さんもしっかりその「お接待」を受け取って、次の札所への一歩をまた踏み出します。
お遍路さん休憩所と看板がありますが、誰でも休んでもらって大丈夫とのことです。通りかかったときはぜひ一度立ち寄ってみてください。
施設の情報
住所:高知県幡多郡三原村成山
アクセス
土佐清水市市ノ瀬から車で約7分。徒歩で約55分。
三原村農業構造改善センターから車で約13分。徒歩で約2時間。



