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聖地  |    2026.07.02

真念庵。四国八十八箇所「唯一の打ちもどり庵」は意外と知らないお遍路の聖地|高知県土佐清水市

「真念庵に寄っていきます」

ある日お遍路さんに声を掛けたとき、会話の途中でその言葉が返ってきました。

「真念庵…確かに看板があった気がするけどあまり知らないな?」

お遍路さんに慣れ親しんだ地域で生まれ育った私ですが、札所となるお寺以外は意外と何も知りません。
両親に聞いても「そういえば何かあるけど、行ったことがないし何があるか知らない」とのこと。

これはきちんと調べないと!!

ということで、さっそく四国八十八箇所番外札所、真念庵に行ってきました。
そこは昔からある、辛い修行中のお遍路さんを支えるための大切な場所でした。

真念庵を作った人。お遍路の父、真念法師って何者?

真念法師は江戸時代に活躍した高野山の僧侶で、「四国遍路の父」や「遍路中興の祖」と呼ばれています。

それまでのお遍路は修行僧や一部の人たちのものでした。
しかし、一般の人でも巡礼しやすいように道を整えたり情報を発信した人が、真念法師こと「真念さん」です。

中でも有名なのが「四国辺路道指南(しこくへんろみちしるべ)」。

この本は、いわば江戸時代の「お遍路ガイドブック」です。

それまでは、お遍路の道筋や札所の情報は口伝えが多く、初めての人にはとてもハードルが高いものでした。
真念さんは実際に自分で何度も歩いて、道順、距離、宿、名所などを一冊にまとめたのです。これが大ヒットしたことで、一般の人がお遍路をすることが増えました。

また​道に迷わないように、四国各地にたくさんの石の道しるべ(石碑)を建てており、今でも四国を歩いていると真念さんが建てた石碑が残っています。

そして​​真念さんは、自分自身もお遍路をしながら、貧しい巡礼者が無料で泊まれる「善根宿」を運営するなど、巡礼者を支援をしていました。

今の四国に残る「お接待」の文化には、こうした精神が息づいています。

真念庵は現代のホテル?手荷物一時預かりできます!四国八十八箇所唯一の打ち戻り

高知県四万十町にある​37番札所岩本寺から、高知県土佐清水市にある38番札所金剛福寺へ向かう道は、昔は今以上に険しい道のりでした。37番から38番札所へと続く道は約90kmもあります。

そして38番札所金剛福寺まで行き、そこから高知県宿毛市にある39番札所延光寺へ向かうためには、その過酷な道を戻らないといけないのです。

これを「打ち戻り」と言い、四国八十八箇所の中でも特に大きな打ち戻りとして知られています。

昔の旅人にとって、重い荷物を抱えて足摺岬までを往復するのは命がけでした。またせっかく通った道を戻るのは、精神的にも辛いものがあるでしょう。

そこで真念さんはその3つの札所の中間地点に、

「足摺に行く間、重い荷物はここに置いていきなさい。疲れたらここで休みなさい」

として、真念庵を建てたのです。
先程の「善根宿」の一つが、この真念庵です。宿泊もできるのは、まさに現代でいうホテルや旅館のようですね。

片道だけで2~3日掛かる時代、足摺岬へと挑む前の心の拠り所となった真念庵。

これから挑む「いってきます」の想いと、帰ってきた時の安堵する「ただいま」の想いが交差する、唯一無二の場所でした。

手荷物を預かり、「いってらっしゃい」「おかえりなさい」と迎えてくれるこの真念庵は、どれほど昔のお遍路さんの支えになっていたことでしょう。

実際に行ってみた!真念庵の「今」の空気感

真念庵は高知県土佐清水市市野瀬にあります。
土佐清水市を走る国道321号線から三原村へ行く県道346号線に入って、徒歩でしたら10分程の場所です。

看板があるので迷うことはないのですが、入口は少し狭め。これは看板がなければスルーしてしまいそうです。

人家の間を抜けて行きますが、道が舗装されているので道は歩きやすいです。
2、3分程で真念庵の入口に到着。看板がありました。

ここからは真念庵に向けての階段です。普段あまり歩かない私にはきつい階段も、長距離を歩いてきたお遍路さんにはなんてことないのでしょうね。

そんなことを思っていたら途中から竹林に囲まれ、階段のきつさよりその風情にすっかり心奪われました。

階段を上りきると真念庵が姿を現します。竹林の静寂と相まって、とても神聖な空気を体感しました。

出迎えてくれたのはこちら、四国八十八箇所写し霊場石仏です。
ずらっと並んだ石仏はとても迫力がありました。

本来、四国八十八箇所をすべて巡るには1,200km以上の距離があり、昔の人にとっては命がけの旅でした。

そこで「遠くまで行けない人も、ここを巡ることで全札所を回ったのと同じ功徳が得られるように」と、各地にミニチュア版の霊場が作られました。それが「写し霊場」です。

真念庵の石仏は、まさにその「凝縮された四国遍路」を形にしたものです。
少し見にくいですが、石仏には札所の番数も記されています。

そして御堂がこちら。全国から寄付があり、令和2年に改修工事が行われ綺麗な御堂になっています。

全国、そして地元の方々から、真念さんがどれだけ愛されている人物かを感じられ、心が温かくなりました。

鍵が掛けられており中は入れないのですが、しっかりお参りさせていただきました。

真念庵には​写し霊場の他に、​「坂木屋佐吉供養塔」「六左衛門寄進手水鉢」「真念供養石仏」などの歴史ある物がいくつも置かれています。

供養塔の前には、瑞々しい樒(しきみ)が供えられていました。誰に頼まれたわけではない、それでも絶やされることのない樒は、地元の人たちが真念庵を大切に想う心です。

また境内からは38番札所金剛福寺への遍路道が続いています。
現在の国道や県道が開通する前は、この道を通ってお遍路参りをしていたのですね。

今も国道や県道を避けて、遍路道を歩いて周るお遍路さんも多くいます。
弘法大師や真念さんもこの遍路道を通ったのかと思うと、今と昔が繋がるようでした。

【お役立ち】真念庵、御朱印はどこでもらえる?駐車場は?初めて行く時のチェックポイント

最初に紹介したように真念庵は住宅地にあります。
歩き遍路の場合は問題ないのですが、車で行かれる場合は駐車場がないので注意が必要です。

車で訪れる際は周囲の状況に合わせて以下の場所を検討してみてください。

徒歩5分程の広場

土佐清水市市野瀬の国道321号線から三原村に入るための県道346号線へ入ってすぐ、車が数台停められる広場があります。

真念庵までは徒歩5分もない距離です。

元ドライブインの駐車場

少し離れますが、国道346号線に出ると、かつてドライブインとして賑わっていた広いスペースもあります。真念庵まで徒歩10分程。

こちらは駐車場が広く、トイレ施設、自動販売機もあります。

Googleマップには「下ノ加江水車横トイレ」と表示されています。真念庵にはトイレがないので、こちらをご利用ください。

東屋もあり、お遍路さんの休憩場所としても使用されています。

真念庵の納経場所はどこ?

お寺でいただく「御朱印」。お遍路の世界では、古くから「納経(のうきょう)」と呼ばれています。

真念庵のお納経は、庵から少し歩いたところにある、山本さん宅(0880-84-0233)でいただけます。お留守の場合もありますので、事前の電話確認がお勧めです。

真念庵から直接伺ってもいいですし、一度来た道を戻り県道に出て30mほど三原村側へ行くと張り紙があるので、すぐわかります。

まとめ:真念さんの素晴らしさを知れた場所

これまでお遍路さんに馴染みはあっても、真念さんや真念庵については全く知ることがありませんでした。

しかし今回、真念庵を訪ねることで、真念さんが作った四国八十八箇所の功績や、真念さんの想いが「お接待」の根源であることを知ることができました。

この素晴らしい真念庵や真念さん自身をお遍路さんだけではなく、多くの人に知っていただきたいです。

ぜひ高知県西部へ来た際は、真念庵にも足を伸ばされてくださいね。

【詳細】

真念庵:

高知県土佐清水市下ノ加江1227番、1229番、3068番、3070番地
※土佐清水市の文化財情報に基づく表記です。地図サービスでは異なる番地が表示される場合があるため、訪問時は「真念庵」で検索するとわかりやすいです。

下ノ加江水車横トイレ:

〒787-0242 高知県土佐清水市下ノ加江1080−3

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この記事を書いた人

月島 十瑚

高知県の西部で山に囲まれながら暮らしています。 地元の自然や人、おいしいものなどを紹介していきます。 2028年大河ドラマ「ジョン万」に決まりました!楽しみです!!

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