四国の街角に、ふわりと現れる水色のヴィンテージトラック。その正体は、1940年代のクラシックカーを改装したクレープキッチンカー「calulu truck(以下、カルルトラック)」です。SNSのフォロワー数は3.5万人を超え、出店場所には行列ができることも多くあります。
単なる「美味しいクレープ屋」では片付けられない、この圧倒的な集客力の裏側には、計算し尽くされた「視覚戦略」と「食感の革命」がありました。前編では、カルルトラックの「見せ方」と「商品の魔力」を徹底解説します。
70年の時を超えた「ブルーの相棒」:1941年製フォードCOEが放つ存在感

カルルトラックを語る上で欠かせないのが、その車両そのものが持つ圧倒的なアイコン性です。店主・宇高信吾さん(以下、宇高さん)が相棒に選んだのは、1941年製のピックアップトラック、フォード「COE」。
アメリカから直輸入した「奇跡の1台」

宇高さんは、アメリカの中古車サイトでこの車を見つけ出し、現地での整備に2ヶ月を要して日本へと呼び寄せました。1940年代特有の「いかつさ」と、丸みを帯びた「かわいらしさ」が共存するそのフォルムは、性別を問わず「絶妙なかわいらしさ」を感じさせます。
「広告塔」としてのキッチンカー

この車両は単なる移動手段ではありません。その存在自体が「移動する広告塔」として機能しています。ニュアンスカラーのブルーと清潔感のある白のバイカラーは、公道を走っているだけで「昨日走っていましたよね」と声をかけられるほどの認知度を誇ります。
宇高さん自身も、この車に乗る時は自然と姿勢を正して運転すると語るほど、ブランドの象徴となっているのです。
「撮られること」を前提とした劇場型キッチンカーの設計

SNS時代の今、行列を作るには「美味しい」だけでなく「撮りたくなる」仕掛けが必須です。車両改造をすべてプロに任せ、宇高さんは徹底的に「見せること」にこだわっています。
焼き台を「観客席」に向ける工夫

最も大きなこだわりは、お客さんが目の前でクレープを焼く工程を見られるように、焼き台を配置したことです。オーダーが入ってから一枚ずつ、熟練の技で生地を伸ばしていく様子は、待ち時間さえもエンターテインメントに変えてしまいます。
特に、焼きたての香ばしい匂いと、流れるような宇高さんの焼き技は、多くのユーザーに動画に収められ、InstagramのリールやTikTokで拡散される強力なコンテンツとなっています。
ワンオペレーションが生む「究極の動線」

車内の配置は、宇高さんが一人で効率よく動けるよう、1センチ単位でソースの配置などが考え抜かれています。この無駄のない動きそのものが、プロフェッショナルな「職人芸」として、訪れる人の満足度を高めているのです。
「サクサク」から「もちもち」へ:食感のグラデーションという発明

「見た目だけでしょ?」という先入観を、最初の一口で打ち砕くのがカルルトラックのクレープです。多くのファンを虜にしているのは、生地への並々ならぬこだわりです。
魔法の生地の秘密

一口目は、軽やかで香ばしい「サクサク」とした食感。しかし、食べ進めていくうちに驚くほど「もちもち」とした弾力に変化していきます。この食感のグラデーションこそがカルルトラックの真骨頂です。
宇高さんは「焦げ方も大事。焦げていなければビジュアルが良くないし、焦げすぎれば苦い」と語り、絶妙な火加減を追求しています。
生地が主役のクレープ

中身のクリームやフルーツとのバランスを考え抜き、最後は「重たくなくて、また食べたい」と思わせます。この生地の力があるからこそ、「ここのクレープを食べたら、他では物足りなくなる」という熱狂的なリピーターが生まれます。
SNSはお客様とカルルトラックをつなぐコミュニケーションツール

カルルトラックのSNS活用術は、マーケティングの視点からも極めて秀逸です。単なる告知ツールを超え、「フォロワーであることの優越感」をデザインしています。
秘密のメニュー「フォロワー限定」

通常のメニュー表には載っていない、Instagramフォロワーだけが注文できる「限定メニュー」が随時登場します。
- 「いちごスペシャル恋みのり」:大粒のいちごが4粒も乗り、まるでお花のような盛り付け。
- 「いちごマスカットスペシャル」:季節のフルーツを贅沢に盛り付けた、宝石のような一品。
これらの限定メニューは、「今、ここでしか食べられない」という希少性を生み出し、口コミで人気を集め続けています。
地方を跨ぐ「ワクワク」の移動

四国のほかにも、岡山、広島など瀬戸内一円に出店予定を告知しています。結果として、各地に点在するファンが「次は自分の街に来る!」というドキドキ感を抱き、出店を心待ちにする状態が生まれています。
地方創生のヒントは「移動する非日常」にある

カルルトラックがもたらしているのは、単なるスイーツの提供ではありません。70年前のトラックが運んでくる「懐かしさと新しさ」、目の前で焼き上がる「ライブ感」です。これらがSNSという拡散装置と組み合わさることで、地方にいながら全国区の熱狂を生み出しています。
「自分が楽しいかどうか。ワクワクしなくなったら、この仕事は辞める」
そんな純粋な情熱が、ブルーの車体を通じて街を彩っています。続編では、この熱狂を支える宇高さんの「1秒を削るストイックな裏側」と、仕事にかける想いを深掘りします。
| 項目 | 内容 |
| 店名 | calulu truck(カルルトラック) |
| 代表者 | 宇高 信吾(うだか しんご) |
| コンセプト | ドキドキ、ワクワクをお届けする |
| 使用車両 | 1941年製フォード「COE」(ヴィンテージトラック) |
| 車両カラー | ブルー系のニュアンスカラー×ホワイト |
| 公式SNS | Instagram:@calulu.truck |
| フォロワー数 | 約35,000人(2026年4月時点) |
| 主な出店エリア | 四国、岡山、広島の瀬戸内一円 |
| 看板商品 | クレープ(サクサクからもちもちに変化する独自生地) |
| 人気メニュー | クリームアイスブリュレ、季節限定スペシャルメニューなど |
| SNS限定施策 | Instagramフォロワー限定メニューの提供 |




