2026年に創立80周年を迎えた久米中学校では、記念事業として初めて田植えを実施しました。地域の方々やPTA、「畑のがっこう」の協力によって実現した今回の取り組み。田植えに込めた思いや実現までの舞台裏について、教頭の濵田伸哉さん(以下、濵田先生)にお話を伺いました。
久米中学校80周年の節目に初めての田植えを実施

記念事業として田植えを企画した背景には、学校と地域とのつながりがあります。当初は学校のすぐ前にある田んぼを活用する案もありましたが、長期間使用されていなかったため、実施が難しい状況でした。
そこで協力したのが、久米中学校の卒業生の保護者でもある「畑のがっこう」代表・門田ひろこさんです。濵田先生が他の地域でも活動していた門田さんに相談し、今回の田植えが実現しました。
食べ物の大切さや感謝の気持ちを育む

濵田先生は、田植えを通して生徒たちに普段食べているものの大切さを感じてほしいと話します。
日頃、何気なく食べているお米も、自動的に作られるものではありません。実際に田んぼへ入り、自分たちの手で苗を植えることで、お米が作られるまでの大変さを体験できます。

さらに、自分たちで植えた苗を育て、11月頃に収穫したお米を食べることで、達成感も味わってほしいと期待しています
「お米一つを作る経験から、他のものも自動的に作られているわけではないと気づき、感謝の気持ちを持って食事をすることにつながればと思います」と濵田先生。

田植えは、食べ物だけでなく、日常生活では少なくなった自然に触れる機会にもなりました。
最初は泥の中へ足を踏み入れることをためらっていた生徒もいたといいます。
濵田先生自身も裸足で田んぼへ入り、生徒たちと一緒に田植えを体験しました。泥や自然に直接触れることで、昔の人々の苦労や食事のあり方について考えるきっかけになると話します。
雨の中、田植えの準備に奮闘

今回の田植えが実現するまでには、地域の方々やPTA、「畑のがっこう」など、多くの人の協力がありました。
濵田先生も、水をせき止めるための板作りを担当しました。
長年使われていなかった田んぼには板がなかったため、8ヵ所に設置する16枚の板を一枚ずつ作るところからスタートします。
しかし、それぞれ微妙にサイズが異なっていたため、作業は想像以上に難航しました。

土砂降りの雨の中、田んぼと作業場所を何度も往復。午前中から始めた作業は、午後1時過ぎまでかかったといいます。
「最初は16枚中3枚くらいしか入りませんでした。ぴったり作りすぎましたね」
大変だった準備を振り返りながら、濵田先生は笑顔を見せます。
地域の方々が草の生えていた田んぼを耕したり、「畑のがっこう」の門田さんが中心となって準備を進めたりしたことで、無事に当日を迎えられました。
生徒たちの笑顔に、やってよかった

当日は、特別支援学級の生徒たちが最初の田んぼを担当しました。
その後、1年生から3年生までがそれぞれの田んぼに分かれ、地域の方々に教わりながら苗を植えていきます。
参加した生徒たちは田植えを楽しみにしており、当日も明るい表情を見せていました。
生徒たちの姿を見た濵田先生は、「やってよかった」と感じたといいます。
「生徒たちが喜ぶ機会は、たくさんあればあるほどいいと思います」

80周年という節目をきっかけに、久米中学校では新たな取り組みも始まっています。
その一つが、体育大会の応援合戦の復活です。
コロナ禍や熱中症対策による練習時間の減少などを背景に行われなくなっていましたが、80周年を機に復活を目指して活動をスタートしています。
来年もやるんですか?生徒の声から次の活動へ

今回の田植えを体験した生徒からは、「来年もやるんですか?」という声も聞かれました。
今後、生徒たちにアンケートを実施し、田植えを続けたいという声が多ければ、活動がさらに広がる可能性もあります。
「今回やって楽しかった、やってよかったという子の声を聞いた友達が、来年は自分もやってみたいと思ってくれたら、参加する生徒も増えていくのかなと思います」

PTAも学校の活動に協力的で、新しいことに挑戦する際には力強くバックアップしてくれる存在です。
田植えをきっかけに、学校と地域の新たなつながりが生まれようとしています。
9つの米が並ぶ久米中学校の校章

久米中学校とお米には、実は深いつながりがあります。
久米中学校の校章は、田園地帯だった久米の里をイメージし、「米」の字を9つの円形に配置。中央には「中」の文字が据えられています。
校章が制定されたのは昭和22年。当時の教諭・加藤功さんによって考案されました。
校章には、実り豊かな久米の里の文化の中心として、久米中学校が発展してほしいとの願いが込められています。

学校周辺には多くの田んぼがあり、古くからお米が作られてきました。
地域とお米とのつながりは、久米中学校の歴史にも刻まれています。

今回植えた苗は、田植えが終われば完成ではありません。
今後も水の管理などを行い、生徒たちが参加できる作業には積極的に関わってもらう予定です。特別支援学級では、授業の一環として稲の世話を続けていくことも考えています。
一人ひとりが活躍できる学校へ

久米中学校は多くの生徒が通う学校です。
濵田先生は、80周年を迎えた学校について、「一人ひとりが活躍する場面が増えたらいい」と話します。
部活動で活躍する生徒がいる一方、今回の田植えのような活動を楽しみにしている生徒もいます。
さまざまな経験ができる場所を作ることで、それぞれの生徒が学校生活を楽しみ、活躍するきっかけにつながります。

「この経験をしたことがある子とない子では、いろいろなものの見方や考え方も変わってくると思います。中学生の間にこういった経験ができるのは、貴重なことです」
地域の方々やPTA、「畑のがっこう」の協力によって実現した初めての田植え。
濵田先生は「非常にいい機会を与えていただき、感謝しています」と話しました。
80周年を記念して植えられた小さな苗は、これから生徒や地域の人々とともに成長していきます。
まとめ

久米中学校の80周年という節目に実現した初めての田植え。生徒たちにとって、食べ物の大切さや地域とのつながりを体感する貴重な機会となりました。これから苗の成長や収穫まで続く米作りを通して、生徒たちがどのような経験を重ねていくのか楽しみです。
基本情報
【松山市立久米中学校】
・〒791-1102 愛媛県松山市来住町689番地
・TEL:089-975-0501
【畑のがっこう】
・代表・門田ひろこ
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