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フード  |    2026.09.05

100年以上愛されるソウルフード「ひぎりやき」誕生秘話【愛媛県松山市】

松山市駅前で長年親しまれている「ひぎりやき」。待ち合わせ場所として、買い物帰りのおやつとして、多くの松山市民に愛され続けてきた銘菓です。

しかし、ひぎりやきという名前の由来や、100年以上受け継がれてきた歴史を知っている方は意外と少ないかもしれません。

今回は、ひぎりやきを製造・販売する澤井本舗の代表・澤井さんにインタビュー。名前の由来や戦後復活のエピソード、そして松山市民のソウルフードとして愛され続ける理由を伺いました。


善勝寺の「日切地蔵」が由来

ひぎりやきという名前は、お店の東隣にある善勝寺に祀られている日切地蔵尊に由来しています。

もともとは善勝寺の境内で販売されていたお饅頭で、お地蔵様の名前をいただき、「ひぎりやき」と名付けられました。

誕生は大正初期。100年以上親しまれてきた歴史あるお菓子です。現在では、松山市を代表するソウルフードの一つとして知られていますが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。


松山空襲で一度途絶えたひぎりやき

第二次世界大戦中の松山空襲によって、市街地は焼け野原となり、「ひぎりやき」も一度その歴史が途絶えました。当時、澤井さんの家は善勝寺の住職を務める家柄だったそうです。

通常であれば長男が寺を継ぎますが、次男だった澤井さんの祖父が「ひぎりやきを復活させてほしい」という地域の声を受け、戦後に新たな形で販売を再開しました。

「地域の皆さんから『ひぎりやきを復活してほしい』という声がお寺に寄せられたことがきっかけでした」

その想いを受け継ぎ、澤井さんの祖父が立て直したことが、現在の澤井本舗につながっています。

地域の人々の願いがなければ、現在のひぎりやきは存在していなかったのかもしれません。


松山市民の思い出とともに歩んできた100年以上

100年以上続いてきた理由について尋ねると、澤井さんは「戦後、甘いものが少なかった時代だったことも大きい」と話します。

当時は現在のように気軽にスイーツが食べられる時代ではありませんでした。

松山市へ買い物に来た家族が、お土産としてひぎりやきを買って帰る。祖父母に連れられて食べた思い出が、そのまま子どもや孫へ受け継がれていく。

そんな日常の積み重ねが、100年以上続く歴史を支えてきました。

「子どもの頃、おじいちゃんやおばあちゃんと買いに来た」

「松山へ来たら必ず食べていた」

澤井さんのもとには、今でもそんな思い出話をしてくださるお客様が少なくないそうです。

味だけではなく、人それぞれの思い出も一緒に受け継がれていることが、ひぎりやきの大きな魅力なのだと感じました。


松山市民のお菓子であり続けたい

現在では観光客にも知られる存在となったひぎりやきですが、澤井さんが何度も口にしていたのは、「観光土産ではなく、松山市民のお菓子でありたい」という言葉でした。

店頭で販売されているひぎりやきは、保存料を極力使わず、賞味期限は焼き上がりから約1日ほどです。

そのため、遠方へ持ち帰るお土産というよりも、「その場で買って、その日のうちに味わってほしい」というお菓子です。

「ここで買って、すぐ食べてもらう。それが一番おいしい食べ方なんです」

大量生産や長期保存を目指すのではなく、おいしい状態で食べてもらうことを何より大切にしている姿勢が印象的でした。

松山市民の日常に寄り添い続けること。それこそが、ひぎりやきが100年以上愛されてきた理由なのかもしれません。


100年以上受け継がれる伝統を未来へ

現在、澤井さんは製造の中心として現場に立ちながら、伝統の味を守り続けています。

一方で、今後の課題として挙げたのが事業承継です。

「新しいことに挑戦したいというより、次の世代へ残していくことが、これからの一番のチャレンジですね」

100年以上続いてきた歴史を未来へつなぐこと。それは、お店だけでなく、松山市民の思い出や文化を受け継ぐことでもあります。

善勝寺の日切地蔵から名付けられた「ひぎりやき」は、これからも松山市民の日常に寄り添う、かけがえのないソウルフードとして愛され続けていくことでしょう。

基本情報

澤井本舗 ひぎりやき

所在地: 〒790-0012 愛媛県松山市湊町5丁目4−1

営業時間:9時30分〜売り切れ次第終了

電話番号: 089-933-0915

公式サイト:澤井本舗

SNS:Instagram

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この記事を書いた人

世界のわたなべけん

地域に眠る人・場所・会社を取材し、 世界に向けて発信しています。 現場に足を運び、丁寧に伝えることを大切にしています。 地域の価値を最大化し、世界に届けるのがテーマです。

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