松山市民に長年親しまれている「ひぎりやき」。素朴でどこか懐かしい味わいは、また食べたくなる魅力にあふれています。
しかし、そのやさしい甘さやしっとりとした食感は、長年積み重ねてきた職人の工夫によって生み出されています。
今回は、澤井本舗の代表・澤井さんに、ひぎりやきの味づくりへのこだわりや、人気No.1の小豆あんの魅力、自宅でおいしく味わう方法まで詳しく伺いました。
時代に合わせて少しずつ進化する伝統の味

100年以上の歴史を持つひぎりやきですが、誕生当時とまったく同じ製法を守り続けているわけではありません。
昭和36年には手焼きから機械焼きへと変わり、時代とともに製粉技術や製糖技術も大きく進歩しました。
澤井さんは、「昔は甘ければ喜ばれる時代でした。でも今は違います」と話します。

現在は甘さを控えめにし、素材本来のおいしさを感じられる味わいへと少しずつ改良を重ねてきました。
また、生地のしっとり感やもちっとした食感も、その時代に合わせて何度も試行錯誤を繰り返した結果だそうです。
「昔ながらだから変えない」のではなく、「伝統を守るために少しずつ進化させる」という姿勢が、100年以上愛される理由の一つなのでしょう。
毎日変わる小豆と向き合う職人の仕事

現在、製造の中心を担っているのは澤井さん自身です。特に重要なのが、人気商品の命ともいえる「あんこ」づくり。
実は、小豆は毎年同じ品質ではありません。
同じ品種でも収穫年によって状態が変わり、さらに気温や湿度によって豆が含む水分量も変化します。

そのため、「今日は暑い」「今日は湿度が高い」と、その日の気候を見極めながら炊き方を毎日調整しているそうです。
長年積み重ねた経験があるからこそ、その日の小豆に合わせた絶妙な火加減や炊き時間を判断できます。
「もし明日、自分がいなくなったら今の味は出せないと思います」
澤井さんがそう語るように、「ひぎりやき」の味はレシピだけでは再現できない、職人の経験によって支えられています。
素材を厳選し添加物を極力使わないやさしい味わい

素材選びにも妥協はありません。小麦粉や卵は、数多くの種類からひぎりやきに合うものだけを厳選しています。
また、添加物は極力使用していません。
人気の小豆あんも自社で炊き上げており、ひぎりやきに最も合う炊き方を追求しています。
「保存料を多く使えば日持ちは長くなりますが、本来のおいしさが損なわれます」と澤井さんは語ります。
そのため、店頭で販売されている焼きたてのひぎりやきは、賞味期限が約1日と短くなっていますが、それも「できたてのおいしさを味わってほしい」という想いの表れです。
人気No.1「小豆」を実食!

今回いただいたのは、一番人気の「小豆」です。
手に取ると、生地はふんわりとしながらもしっとり。口に運ぶと、もちっとした食感が心地よく、焼きたてならではの香ばしさが広がります。中には粒感をほどよく残した自家製の小豆あんがたっぷり。
甘さは驚くほど上品で、小豆本来の風味がしっかり感じられました。後味が軽く、「もう一つ食べたい」と思えるやさしい甘さも印象的です。粒あんが苦手という方でも食べやすいという声が多いのも納得のおいしさでした。
派手さはありませんが、長年地元で愛され続けてきた理由が、一口食べただけで伝わってくる一品です。
自宅でも焼きたてのおいしさを楽しむ方法

澤井さんおすすめの食べ方も教えていただきました。まずは電子レンジで20秒ほど温め、中までしっかり温めます。
その後、トースター、または油を引かないフライパンで軽く表面を焼くと、外側はカリッと香ばしく、中はふんわりとして、焼きたてに近い食感が楽しめるそうです。
購入した当日だけでなく、自宅でもぜひ試してみてください。
「変えない」のではなく「守るために進化する」

100年以上続くひぎりやきの味は、昔とまったく同じではありません。
時代に合わせて甘さを調整し、素材を見直し、その日の気候に合わせてあんこの炊き方を変える。そうした小さな積み重ねが、長く愛される味を支えています。
「変えないこと」が伝統ではなく、「おいしいと思ってもらえる味を守り続けること」が伝統。
澤井さんの言葉や仕事ぶりからは、その強い想いが伝わってきました。
松山市民にとって、身近な存在であり続けるひぎりやき。これからも変わらない安心感と、時代に寄り添うおいしさで、多くの人に愛され続けていくことでしょう。
基本情報
澤井本舗 ひぎりやき
所在地: 〒790-0012 愛媛県松山市湊町5丁目4−1
営業時間:9時30分〜売り切れ次第終了
電話番号: 089-933-0915
公式サイト:澤井本舗
SNS:Instagram




