Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンがそこにある 応援の循環を作る 地方創生メディア

スポット  |    2023.11.08

「とちおとこ」って知ってる!?栃木県真岡市の国産バナナ農園「ラフファーム」前編

栃木県真岡市に、国産バナナの農園「ラフファーム」があります。
「とちおとこ」という特徴的な名前のついたバナナは、香り高くもっちりとした食感が魅力です。
そんな「とちおとこ」を生み出した、ラフファームの豊田さんにインタビューしました。

農業未経験から始めたバナナ農園

左から代表の豊田さん、長谷川さん、佐藤さん

「いつか起業したい」を現実に

ラフファームの代表は、栃木県真岡市で生まれ育った豊田さん。
進学で大阪に出てからは、大学時代の友人である長谷川さんと「いつか起業しよう」と決めていました。
農業とはまったく関係のない仕事をしながら、夢を膨らませていたそうです。

2020年に新型コロナウイルスが流行し、国民は自粛生活を余儀なくされました。
家で過ごす時間が多くなったことで「衣・食・住」の大切さを強く感じたという豊田さんは、「起業するなら『農業』にしよう」と決心したそう。

豊田さんの地元の友人である佐藤さんを誘い、未経験の3人で農業を始めることにしました。

バナナに可能性を見出した豊田さん

豊田さんが生まれ育った栃木県真岡市には、多数のいちご農園があります。
いちご農園ならば県や農業団体からのサポートを受けられますが、豊田さんたちは「すでに有名ないちご農家を始めても、埋もれてしまう」という考えでした。
ゼロから始めるならば新しいことを、地元をもっと知ってもらえる、新しい名物を作るのが目標だったのです。

そこで目を付けたのが、バナナでした。
バナナは日本人が大好きな果物ですが、そのほとんどが海外からの輸入品です。

スーパーに並ぶバナナはどれも似たような味だと感じた豊田さんは、日本国内で生産している愛知県の農家さんに突撃したそう。
のちに豊田さんの師匠となる農家さんで食べた国産バナナは、これまで食べたことのない美味しさだったとか。
こうしてバナナに可能性を見出した豊田さんたちは、2021年に「ラフファーム」を立ち上げたのです。

動き出したバナナ農園、苦節の1年目

茄子農家さんが使っていたハウス

まずは農場をと、真岡市をはじめ近隣でハウスを探し始めた豊田さん。
運よく見つかったのが、茄子の水耕栽培をしていた現在のハウスです。
水耕栽培設備の撤去からはじまり、まずは50本の苗を植えたのが2021年のこと。

温暖な気候を好むバナナには、本来暖房設備が必要です。
しかし自己資金で運営していたラフファームにとっては、コストがかかりすぎてしまいます。
ストーブや石油ヒーター、ウォーターカーテンなどさまざまな方法で、ハウスの温度を下げないよう工夫しました。

越冬できたのは、たったの5本

2021年の冬は、例年に比べ寒い日が多くありました。

バナナの苗は寒さに耐えきれず、越冬できたのはたったの5本だったそう。
その5本のうち1本は実がなりましたが、食べられるものではなかったんだとか。

失敗から得たものが大きかった

残念ながら失敗に終わってしまった越冬ですが、得たものは大きかったといいます。

枯れてしまったバナナの苗からは、子株がたくさん出ていました。
子株の存在は、絶望の中に見えた希望の光として、豊田さんたちを奮い立たせます。
すぐに子株を定植したところ、ぐんぐんと大きく育っていきました。

2021年の冬に温度管理に失敗したことで、ハウス内の温度とバナナの生育状況の関係を学べたのもメリットです。
1℃の差によって状態が大きく変わるバナナにとって、温度が何よりも重要だと把握できました。

クラウドファンディングで資金を集める

「ラフファーム」は、バナナ農園という前例の少ない事業であるため、現在は行政や農協からの支援を一切受けられないのだそうです。
3人は現在もそれぞれが別の仕事を掛け持ちしながら、農園の管理を続けています。

越冬するまではすべて自己資金で賄っていましたが、暖房設備には高い費用がかかります。
そこでクラウドファンディングを利用して、暖房設備の資金を集めたんだそう。
多くの支持者の協力を経て、次の年は無事に越冬できました。

貴重な国産バナナ「とちおとこ」

苦労を超えて完成したラフファームの「とちおとこ」。
もっちりした食感と深い甘味がクセになる、貴重な国産バナナです。
後編では「とちおとこ」という名前の由来や豊田さんが目指す未来について、ご紹介します。

国産バナナ農園「ラフファーム」

【住所】栃木県真岡市西高間木
【オンラインショップ】https://www.tochiotoko.com/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/laugh_farm/
※イベントや出店情報は公式Instagramをご覧ください

記事をシェアする

この記事を書いた人

島 六実

栃木県生まれ、栃木県育ちのライター兼3歳男児の母。2022年にフリーランスとして独立し、グルメや旅行、育児などライフスタイルに関する記事を執筆しています。栃木県の魅力を全国の皆さんにお伝えすべく、Mediallのライターとして活動を始めました。

関連記事