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フード  |    2023.11.30

「美味しいコーヒーをつくる」終わりなき探求|Brunfelsia Roasteryー横浜市青葉区【後編】

横浜市青葉区(こどもの国駅近く)にある「Brunfelsia Roastery」のオーナー伴憲作(ばん けんさく)さんへのインタビュー。

【前編】では、Brunfelsia Roasterのお店の魅力についてご紹介しました。

【後編】は、伴さんがコーヒーの世界に足を踏み入れたきっかけや、これからの夢についてお伝えします。ぜひ続けてご覧ください。

常にワクワクしている|「1mmも飽きない」コーヒーの世界へ

伴さんが仕事で大切にしているのは「常にワクワクしていること」だと言います。

「僕が目指すのは『絶対に飲む人を飽きさせないコーヒー』です。コーヒーは、焙煎や抽出の仕方、使う機材を変えると、同じ豆なのに味が変わるので、ずっとびっくりさせることができるわけですよ。どうやったら飲む人を飽きさせないか考えるってワクワクしますね」(伴さん)

コーヒーは本当に面白いです。1ミリも飽きないんですもんね」そう語る伴さんは、コーヒーと向き合って13年。なぜ今の仕事を選んだのか、伴さんとコーヒーとの出会いを伺いました。

2015年、ポートランドでラテアートの世界大会が開催された時に手に入れたカップ。

伴さんは、高校生の頃までは海外で仕事をする父親の影響もあり、通訳などの仕事につきたいと考えていました。

高校卒業後は「色々なところを見てみたい」と日本や海外を転々として2年ほど過ごします。その後地元に戻り、大学に進学した伴さんに運命の出会いがありました。

お店に並ぶカップ。買ったのは一つもないそう。大会でもらった品など、どれも思い出が詰まっている。

「大学1年生の春に町田の本屋さんでラテアートの本を見たんです。すごい失礼なんですけど『うわ。これ描けるな』と思って。そのまま町田の家電量販店に行って、エスプレッソマシンを購入しました。でもやってみたら書けなかった。今思えば当たり前なんですけどね。そこから『半年で世界大会に出るぞ』と決めて、ひたすら練習しました」(伴さん)

世界大会を目指すには、タイトに思えるスケジュール。

しかし「1年後、2年後に世界大会に出ようって先延ばしにするのはよくあるパターンだから」という伴さんは、あえて半年後という厳しい条件で挑戦を決めました。

「人生の仕事にしたい」運命を変える一杯

当時20歳だった伴さんは、ニューヨークで開催された世界大会に当時世界最年少で出場します。

しかし、結果は一回戦敗退。

「『まぁ、そうだよな』って。緊張もそうだし、知識もなくて。タンパーって言う、エスプレッソを抽出する時に使う道具があるんですけど、それすら本当に恥ずかしい話『なんだこれ?』みたいなレベルでした」(伴さん)

負けてしまったものの、大会出場という目標はクリアし、次の目標を考え始めていた伴さんは、その時開催されていたコーヒーのイベントで、スペシャルティコーヒーを試飲する機会に恵まれます。

▼スペシャルティコーヒーとは

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。(略)具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。

引用元:
スペシャルティコーヒーの定義 « SCAJについて | 一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会

「食べ物や飲み物で衝撃を受けて、人生が変わったという話を聞くじゃないですか。正直それまでは『食べ物、飲み物でそんなことある?』って思っていたんです。でもその時コーヒ一を一口飲んで『なんだこの飲み物は!』と本当に衝撃を受けて『自分で作りたい!』と思いました」(伴さん)

これを人生の仕事にしよう、これを探求しようーー。

そう決めたという伴さんは、大学在学中に海外に行って勉強し、SCA(Speciality Coffee Association:スペシャルティコーヒー協会)の資格のうち8割を取得します。

「ラテアートに関しては、世界大会に3年連続で出場しました。予選で世界3位になったんですけど、結局入賞は逃しています。もうその頃は正直ラテアートっていうより、コーヒーに興味が移ってしまっていて。ラテアートは『綺麗だね』で終わってしまうものが、コーヒーに関しては無限に可能性があるのを感じてハマっちゃったんです」(伴さん)

その後、伴さんは日本と海外とを行き来してコーヒー関連の仕事を続けながら、カフェ事業を行っている出版社に就職します。

店長・マネージャー職を経て、27歳で独立。自宅のガレージで焙煎所を開きました。

コーヒーの探求は終わりがない

一口飲んだあとお話に夢中になっているうちに、すっかりぬるくなってしまったコーヒー。

再び口にすると、そこにあったのは「冷めてきたコーヒーは酸っぱい」というイメージを覆す、華やかな甘みでした。

冷めてきた時の味には、豆の鮮度や焙煎、抽出のやり方が関係していて、コーヒーによっては冷めてきた方が美味しくなる時もあるくらいだと伴さんは言います。

「コーヒーは温度変化で味が変わるのでめちゃくちゃ面白いんですよ。うちのは特に。『冷めるとコーヒーは美味しくなくなる』ってみなさん言うじゃないですか。でも、それは飲んでいるコーヒーの問題です。今飲んでいるコーヒーは温かい時はナッティ感があって、温度が落ちてくると花の蜜感が出てくるんですよ」(伴さん)

温度変化で違った表情を見せるコーヒーは、最後までゆっくりと楽しむことができます。

味は温度だけでなく、時間の経過によっても変わってくるのだそう。

伴さんは、もともと販売用に焙煎したものを、そこからどう味が変わるかを確かめるために、少しだけ取っておいていると言います。

「だいたいのコーヒーは2、3ヶ月以降に味の変化が止まって、そこから劣化してしまうんですよね。でも、劣化した結果、美味しくなる豆がこの世にあってもいいじゃないですか。それを考えて取っておいて並べているんですよ」(伴さん)

焙煎機のドラムの中の温度やスピード、圧力など、データを見ながら焙煎の調整をしていく。

コーヒーの探求を続ける伴さんに、これからの夢を伺うと「クリアできるのかな?」と前置きをした上で、「美味しいコーヒーを作ること」だと教えてくれました。

「本当にその一個しかなくて。『かっこよく言わなきゃ』と思ったんですけど、言いようがない。店舗を増やすとか、焙煎機をもっと大きいのにするとか特にないんですよね。飲んだ人に『なにこれ!美味しい!』って言ってもらいたいだけ。『うわ、うまいな』っていう瞬間をどれだけ感じてもらえるか、ですね」(伴さん)

これからも、ただ豆のポテンシャルを引き出す研究を続けていくだけだと伴さんは言います。

「今、これが一番美味しいっていっても、もっと上があるかもしれない。いや、あるんでしょうね。コーヒーの探求は終わりがないんですよ。だから楽しいんですよね」(伴さん)

果てなく続く挑戦を前に、ワクワクとした明るい表情の伴さん。

Brunfelsia Roasteryには、遊び心を忘れず、終わりなきコーヒーの探求を楽しみながら、ひたむきにコーヒーと向き合ってきた伴さんが作り出す、コーヒーの新しい世界が広がっていました。

Brunfelsia Roasteryの情報

店名:Brunfelsia Roastery(ブランフェルシアローステリー)

住所:〒227-0038 神奈川県横浜市青葉区奈良1丁目22−8

電話:03-6450-7667

営業:土日(営業時間は公式LINEでお知らせ)

メール:brunfelsia.roastery@gmail.com

Instagram:Instagramへ

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この記事を書いた人

Takano

フリーライター。元WEBエンジニア。社会福祉士の資格をもつ。SEOライターを経て、現在は主に取材記事を執筆。文章を通して、魅力あふれる企業・人・お店・自然・食べ物・イベントを紹介。旅先で植物園、美術館、博物館を訪れるのが好き。 感情が伝わる文章を目指しています。ぜひ、PRのお手伝いをさせてください!

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