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フード  |    2024.10.10

_SHIP KOMBUCHAにかける思いとは?オーガニックを多くの人に広めたい|株式会社 大泉工場(前編)

_SHIP アイキャッチ画像

埼玉と東京を経て東京湾に流れる荒川。
その荒川からほど近い物流倉庫の一角に、株式会社 大泉工場はあります。

埼玉県川口市に本社を構える大泉工場(以下、大泉工場)では、世の中を笑顔で満たしたいコンセプトのもと、人や環境に優しいオーガニック事業を展開しています。

今回紹介する_SHIP KOMBUCHA(以下、コンブチャ)は、2023年にコンブチャとして日本初の有機JAS認証を取得した同社を代表する商品です。

コンブチャをきっかけに多くの人にオーガニックを知ってほしいと話すのは、コンブチャブランド「_SHIP」で製造を担当する門田さん。

コンブチャとはどのような飲み物なのか。_SHIPと大泉工場の取り組みについて話を伺いました。

_SHIP KOMBUCHAとはどのような飲み物?

_SHIPコンブチャ
微炭酸を味わえる発酵スパークリングティー。左からORIGINAL、YUZU、SHISO、HOP BREEZE

What Is KOMBUCHA?(コンブチャとは)

コンブチャとは、お茶に糖類を加え酢酸菌と酵母から生まれた『SCOBY(スコビー)』を入れて発酵させた植物由来の微炭酸飲料「発酵スパークリングティー」です。

大泉工場がコンブチャを手掛けるようになったのは、ロサンゼルスのスーパーで初めて「KOMBUCHA」を見かけた2011年までさかのぼります。その後、コンブチャを作るためのブルワリーツアーや国際的なカンファレンスの参加を経て醸造研究を開始。原料や製法にこだわり抜いたことで、オリジナルコンブチャ「_SHIP」は誕生しました。

_SHIP公式サイトより

ーーコンブチャの由来について教えてください。

門田さん(以下、門田):コンブチャの名称自体は、アメリカで商品化された際に生まれたものです。ただ、起源はおそらくアジアにあると考えられています。古い茶葉を放置したり、完熟したフルーツが地面に落ちた際に空気に触れたりして発酵したものが、後にコンブチャへとつながっていったのではないでしょうか。細胞や微生物が成長しやすい環境が自然発生したと仮定すれば、発酵が起きるのも当然の流れだと思います。

ーーコンブチャという言葉を聞いたとき、日本の昆布茶だと勘違いしそうになりました。同じ響きですが、間違われたりはしませんか?

門田:そうですね。コンブチャは文字にするとカタカナですが、よく間違われる昆布茶は漢字で書かれています。名前で例えるなら、日本人の「えりか」とアメリカ人の「Erica(またはErika)」が偶然出会ったシチュエーションと同じですよね。日本人からすると母親は日本人なのかな?とつい勘違いしてしまうのが、コンブチャでも同様に起きるのだと思います。

_SHIPコンブチャ 説明

コンブチャは、アメリカではスーパーマーケットでよく見られる飲料の一つ。「コンブ」という言葉に聞き馴染みがあるからこそ、誤解も生じやすいのではないかと門田さんは話します。

また、コンブチャという名前も最初は違っていたのではないかと見解を述べていました。

門田:例えば「コンチャ」のような、より短い言葉だったのではないかと思っています。そこから伝言ゲームのように言葉が変わっていったのかと想像すると楽しいですよね。最終的に東洋を感じさせる響きが元々あったオリエンタルへのイメージと重なって、健康的な飲み物だとアメリカ人に受け入れられたのでしょう。そのような理由から、アメリカでコンブチャが広まっていったと考えています。

ーー確かに、コンブチャという言葉はアメリカにはない独特な響きを持っていますよね。そのコンブチャのブランドとして_SHIPは誕生しましたが、名前はどなたが考えたのでしょうか?_SHIPの前についている、_(アンダーバー)も気になります。

門田:名付けたのは、社長の大泉です。フレンドシップやクラフトマンシップといった言葉があるように、_SHIPと一緒になることで、きっかけや結びつきが生まれるようにとの願いで命名しました。また、コンブチャシップという言葉を広めたかったのも理由の一つです。コンブチャがハブになって、コミュニケーションが生まれたり仲間ができたりするイメージで考えてもらえれば、分かりやすいと思います。

世界大会のアワード受賞や有機JAS認証など、品質が評価された2023年

_SHIPコンブチャ 世界アワード受賞
_SHIP KOMBUCHAのうち、4種類のフレーバーがコンブチャの世界大会でアワードを受賞

「Kombucha Kup 」・・・2023年1月開催(アメリカ)

  • HARB部門:「SHISO」1位
  • ORIGINAL部門:「ORIGINAL」3位

「WORLD KOMBUCHA AWARDS」・・・2023年11月開催(スペイン)

  • HOPS部門:「HOP BREEZE」1位
  • SINGLE FRUIT部門:「YUZU」3位

ーー2023年に日本で初めてコンブチャの有機JAS認証を受け、その年には2つのアワードでも受賞されています。高い評価を受けたことから品質にもかなり注意されていると思われますが、原料の仕入れや製造過程ではどのような点を重視されていますか?

門田:コンブチャの原料は非常にシンプルで、主にベースとなるお茶とてん菜糖から構成されています。基本的にこだわっているのはお茶の部分であり、京都の懇意にしているお茶農家さんと契約しています。

ーー有機農法を営んでいるお茶農家さんということでしょうか?

門田:はい。コンブチャのベースはお茶を使用することが多いため、サスティナブルな有機農法を実践しているお茶農家さんを選んでいます。ただ、有機農法でお茶を作るのは手間がかかるのも事実です。例えば、隣接する農家が使う農薬が風に乗ってしまうと、意図せずに農薬の影響を受けてしまいます。専用の畑で有機栽培ができたら問題ないのですが、そのためには開墾から始める必要があります。今日から始めようと思っても、1〜2年といった短い期間で成果を出すことは難しいでしょう。そのような理由から、自分たちが求める茶葉と生産量を提供してもらえるお茶農家さんは自然と絞られてきました。現在契約させていただいているのは、昔から有機農法を営んでいるお茶農家さんです。オーガニックが注目される50〜60年前から有機農法をされています。

ーー有機のお茶を探すことは、とても難しいのですね。一方で、コンブチャの品質を支える専用のブルワリーも、非加熱製法で作られているなど注目の設備です。自社で管理するうえで気をつけていることはありますか?

門田:ブルワリーでは菌が正しくきれいに発酵するように、環境を整えることに注力しています。温度管理や不要な物質が混入しないよう気をつかわないといけないので「菌のディレクション」と言ってもいいかもしれません。現在は、専任のスタッフ(私を含めて)2人体制を中心に製造し、アルバイトの方にも協力いただいています。使用している機械は大型で目立ちますが、実際は少人数で作業しているんですよ。

_SHIPコンブチャ ブルワリー
月間約6,000リットルの生産量を誇る、コンブチャ専用ブルワリー。国内で唯一、非加熱製法にこだわって醸造されています
大泉工場 門田さん
コンブチャの製造を任されている門田さん

ーー微炭酸もコンブチャの特徴の一つですが、製造上で気をつけていることは?

門田:コンブチャは作り方次第では、発酵による一定量の炭酸ガスが見込まれます。ただ、清涼飲料として密閉容器で販売する際に、製造工程の都合でナチュラルなガスは抜けてしまうんです。それを元に戻すイメージで炭酸ガスを添加しています。

ーー炭酸好きな人向けに、ガス量を多めにして販売することもありますか?

門田:ガス量を増やすことは可能です。しかし、炭酸一つで飲み物の印象やジャンルは変わるため、ブランドイメージを崩さないよう設定しているガス量で提案させていただいています。それと、強炭酸だと価格帯のイメージともマッチしません。コンブチャの香りや味わいを一番感じられるガス量は、微炭酸が最適だと考えています。

ーー粉末や原液での販売は考えていないのでしょうか?

門田:効果・効能を優先するなら、粉末や錠剤タイプのほうが早くて安くて簡単だと思います。ただ、自分たちはコンブチャをワインや日本酒、ビールみたいにジェネラルな飲料の一つとして捉えています。粉末や錠剤とは別物として考えているんです。お茶でワインを作るといったイメージで扱っているので、効果・効能ではなく、嗜好品の一つと考えてもらえれば分かりやすいかもしれません。同じ酵母を発酵して作られるワインやビールも、腸内環境にいいという理由ではなく、純粋に美味しいから飲んでいるという人も多いのではないでしょうか?コンブチャも同じように、食事におけるワンシーンのお供や、味わいが美味しいからといった理由で選んでほしいと思っています。

_SHIP KOMBUCHAをきっかけにオーガニックを知ってもらいたい

_SHIPコンブチャ Taproom

ーー今後はコンブチャをどのように広めていきたいと考えていますか?

門田:コンブチャが体験できる場をどんどん増やしていきたいと考えています。色々な場所でコンブチャに触れてもらったり、お店で紹介したりと活動を広げていくことで、コンブチャ業界も盛り上がるのではないでしょうか。コンブチャを飲んで「美味しい」「料理に合う」「体調が良くなった」といった結果がオーガニックで作られているものだったと気づき、コンブチャが広まればいいなと思っています。また、そのようなきっかけ作りを今後も展開していく予定です。

ーーそれが会社のミッションでもある「地球を笑顔で満たす」にもつながるのでしょうか。

門田:私たちはコンブチャをミクロ、オーガニックをマクロの視点で捉えています。ミクロで考えたとき、体を良くする飲み物としてコンブチャがあります。一方、マクロの視点で見ると、コンブチャ(ミクロ)を展開していくことで、地球環境に優しいオーガニックが世の中に広まるはずです。コンブチャがきっかけにオーガニックが意識され、環境を良くすることにつながっていく。私たちが掲げる「地球を笑顔で満たす」というミッションも、そのような活動を続けていけば達成されるものと考えています。

「心と体を満たすだけでなく、地球にも優しい一杯を」

オーガニックと聞くと、有機栽培された食材だけに注目してしまう人も多いのではないでしょうか。

_SHIPを含む大泉工場ではオーガニック事業に取り組むうえで、素材以外に製造過程やリサイクルにも注目するなど、人や環境に優しい活動を続けています。

「サーバー提供による容器の削減」「食品残渣の再利用」「排水の中和」なども、大泉工場が持続可能な未来に向けたさまざまな活動例の一部です。

「心と体を満たすだけでなく、地球にも優しい一杯を」の言葉は、門田さんがコラムで名付けたタイトルであり、活動するうえでの理念とも言えます。

コンブチャをきっかけに、地球に優しいオーガニックを広めていく。門田さんや大泉工場の挑戦は続きます。

_SHIPでは4種類のコンブチャを飲み比べできます

(左から)ORIGINAL、YUZU、SHISO、HOP BREEZEの4種類を飲み比べできます

_SHIP内にはTaproom(タップルーム)と呼ばれる、コンブチャを楽しむためのスペースがあります。奥にはブルワリーもあり、ドラフト(直に飲むこと)でのコンブチャも提供しています。

コンブチャの紹介(公式サイトより)

_SHIPコンブチャ ORIGINAL

ORIGINAL

ブルワーの経験、感性が凝縮された_SHIPのフラッグシップです。白ぶどうや洋梨を思わせる発酵由来のフルーティーな香りと酸味、爽やかな微炭酸が特徴です。

_SHIPコンブチャ YUZU

YUZU

ORIGINALに分厚い皮が特徴の徳島県木頭柚子を漬け込みました。シャンパンのようなクリアなゴールド、グラスを口元に運ぶと柚子の香りが鼻を抜け、爽やかで清涼感溢れる味わいを感じられます。

_SHIPコンブチャ SHISO

SHISO

淡い赤色のロゼワインを思わせる外観。北海道産をはじめ国内で丁寧に栽培された、赤紫蘇の華やかな香りがふわっと口に広がります。

_SHIPコンブチャ HOPBREEZE

HOP BREEZE

アメリカ産のMosaicを使用したホップコンブチャ。ホップならではのグレープフルーツ、柑橘、ライチ、ハーブなど様々なアロマの香りを感じられます。ホップの苦みは控えめで、酵母の華やかな香りとしっかりとした酸味が特徴です。

Taproomではコンブチャの飲み比べもできます。

個人的におすすめしたいのは、HOP BREEZE。ビールに近い味わいを感じられます。体にも優しいうえ、ほどよい苦みと酸味が飲む人に充足感を与えてくれます。

コンブチャの楽しみ方は人それぞれであり、ストレートで飲む方もいれば、ジュースと混ぜたモクテルにして楽しむ人もいるそうです。

Taproomで直に飲むと、より一層コンブチャの味が楽しめると門田さんは話していました。

試飲もできるので、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

_SHIP Taproom
ゆったり座れるソファからは緑豊かな景色も眺められます

贈り物にも最適

_SHIPコンブチャ ギフト

コンブチャは_SHIPで取り扱っているほか、全国のレストランやオーガニックショップでも提供されています。

オンラインでは4種類が入ったアソートボックスのほか、12個入りのパッケージも販売中です。

贈り物にも最適なコンブチャを、ぜひ体験してみてください。

後編はこちら

身体と自然に優しいプラントベースメニューを体験してほしい|1110CAFE/BAKERY|株式会社 大泉工場(後編)

【10月12日、13日は「OKS UNPARALLELED OPEN CAMPUS」開催!】

入場無料のLiveやトークセッション、ファーマーズマーケットなど盛りだくさんのイベントを用意して皆様のご来場をお待ちしています。

詳しくはこちらをご覧ください。

https://oks-unparalleled.com

_SHIP バイク

施設情報

施設名_SHIP KOMBUCHA Taproom(株式会社 大泉工場内)
住所本社:
〒332-0004
埼玉県川口市領家5丁目4番1号
電話048-222-1171(代表)
営業時間10:00~16:00
毎週金・土・日祝のみ
アクセスJR赤羽駅東口より(赤23)国際興業バス乗車で12分
JR川口駅東口より(川21)国際興業バス乗車で13分
共に「梛木の橋」バス停留所に下車後、徒歩3分
公式サイトhttps://oks-kombuchaship.com/(_SHIP)
https://www.oks-j.com/(大泉工場)

※記事中の画像(一部)は大泉工場様より提供

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この記事を書いた人

成海 眞

埼玉県在住のライターです。地域や人が持つ魅力を届けたくライター活動を始めました。想いを言葉で発信したい方のお手伝いができればと思っています。趣味はコーヒー・神社仏閣・お城巡り・ドライブ・ゴルフ。家では家事全般を担当しております。

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