桜の木が桜色から黄緑へ色を変える頃、訪れたのは小さな古民家のカフェギャラリー。身体と心にたっぷりと栄養が欲しくなったとき、足を運びたくなるそんな場所。
カフェを営むのは、食べる人にすこやかさを届けたいと思う人。発酵食品をふんだんに使用したランチ&スイーツを提供する、発酵カフェ「発酵日和」のランチ風景をお届けします。
発酵日和のランチは、私にとって心を癒す「ご褒美」
発酵日和は、埼玉県伊奈町の古民家ギャラリーカフェ「あら草香しら(あらそうかしら)」で月に2回のオープン
私は朝から心がうきうき。
なぜなら今日は発酵日和のランチを頂ける日だから。
埼玉県伊奈町にあるこの場所へは、車で行くのが楽だけど、あえて駅から歩いて行きたくなる道。四季の移ろいをじかに感じながらの15分は、日頃の忙しさを忘れられます。
菜の花の絨毯と、梨の花。
目にも癒しを貰いながらの発酵日和までのひとときです。

ここは、カフェギャラリー「あら草香しら(あらそうかしら)」


古民家の佇まいはそのままに、配置された小道具をひとつひとつ見るのが楽しい。


発酵日和の店主、鈴木美穂さん。
東大宮のカフェギャラリーでの出店を経て、現在は「あら草かしら」で月に2回のオープン。
美穂さんの作る、麹をはじめとする自家製の発酵調味料が使われたランチを楽しみに、この日を待ちかねている人のなんと多いこと!私もそのひとりです。
発酵日和|麹や薬膳の知識が生かされたランチメニュー
ひとりでも、大切な人とでも豊かな時を過ごすことができる発酵日和。ランチメニューは2品から選べます。

どちらも麹調味料を使ったランチ。私が本日頂くのは「米粉のお食事シフォンサンドプレート」(スープ、ラペつき)
待っている間に「どうぞ」と、発酵日和のホールを担当する美穂さんの友人、三部優子さんがお水とピーチルイボスティーを。
三部さんは理学療法士。美穂さんがフルタイムの仕事を辞めパートで働いていた時の元同僚です。同じ職場で出会ったことをきっかけに、こうして発酵日和を手伝うまでの仲に。
お茶を出してくれる際の三部さんの笑顔に、よりリラックスした気分になります。

優しく温かいピーチルイボスティーにも、癒されます。
「おまたせしました」と美穂さんがランチをお客さんへ提供するたびに、「わぁ!」という感嘆の声。思わず写真に収めたくなるほどの美しさ。
私のところへも、やってきました。

小松菜のシフォンは小松菜の美味しさを感じつつ、他の食材を邪魔しない優しい甘み。使用されているマヨネーズは自家製の麹ヴィーガンマヨネーズ。
玉ねぎ麹と焼き芋のスープの中にはピンクペッパー。味もさることながら、この鮮やかな色味も楽しんでほしいと思う美穂さんの粋な計らい。

ブロッコリーとキノコのキッシュは、食べ応えもありつつお腹にズシンとこない軽やかさ。人参のラペの中にはクコの実。ここに美穂さんの「薬膳エッセンス」が取り入れられています。
店内を見回すと、お客さんの多くは女性。訪れる人は「ここのランチが食べたくて」予約をしてやってくるお客さんたち。「人気になってしまうと、予約が取りづらくなるからSNSへアップしないことにしている」という人がいるほど。
美穂さんが作る発酵ランチは、その一つひとつをいただくと、おいしさだけでなく、身体も心も癒される実感を得られます。

例えば、
元気がない時
仕事で疲れてしまった時
ここでお食事をいただくと、力が沸いてくる。
そんな発酵日和のランチです。
すこやかであることの大切さ|麹調味料を使用したランチづくりの「きっかけ」とは
これまでは家族のためだけに作っていた食事。それをお客様へ提供することになった最初のきっかけは、ご自身の病気です。
当時、フルタイムの病院勤務、育児、家事にフル回転で自分のことが疎かになりがちだった美穂さんは、病気になり療養を要することになります。
半年の療養を経て、病気から回復した美穂さん。この経験から、自身の食を含めて生活を見直さなければと気づき、発酵と薬膳を学び、資格を取得しました。
その後フルタイム勤務を辞め、カフェ等のワークショップを開催。そこでの出会いにより、ご縁が少しずつ広がっていった結果、発酵日和の開店へつながりました。
「いつも店を手伝ってくれる三部さん、この場所との出会いをくれたオーナー…。お客様の帰る時の笑顔、空っぽのお皿、『また来ますね!』の言葉…。いろんな人に支えられたからこそ、存在するこのお店です。だからこそ、これまでいただいた恩をお客様へ『恩送り』したいと思っています」と美穂さんはしみじみ話します。
ランチもワークショップも、「日常生活に溶け込む料理」を提案したい
発酵日和では、ワークショップも開催しています。発酵食品を実際に作り、食べることもできるワークショップは毎回大人気。
私自身も「中華麹ワークショップ」に参加しました。簡単で日々の食事づくりに活かすことのできる麹調味料は、日々の暮らしには欠かせないもの。
「発酵食品を日常の中に」と願う、美穂さんの思いをかなえているワークショップです。


コーヒーを淹れることも「心豊かな時間」にしてほしい
店内にある「お知らせ」

発酵日和では、セルフでコーヒーのハンドドリップができます。ひょんなきっかけから、始めることになった「セルフハンドドリップ」これがお客さまに大変好評です。
私もこれをやってみたかったのです。
美穂さんが手網焙煎したコーヒー豆。
淹れ方を伝授していただいて、いざドリップを…!
コツを教わり、自分好みの味にするために淹れていくコーヒー。


膨らみゆくコーヒーと漂ういい香りがマインドフルネス。
濃いめに淹れたコーヒー。
自分のために自分で淹れるコーヒータイムは、贅沢な時間です。
美穂さんが摘んできた蓬の葉で作られた『米粉の蓬ロールケーキ』は、一つひとつ選ばれた食材に「食べてくれる人のすこやかさ」への祈りを感じます。
おいしいコーヒーと、蓬のロールケーキ。
一口いただくたびに、笑顔になれるそんな味。

最後の最後まで、心が満たされていく時間。
「ああ、きっとまた来よう」
そう決意してしまえるほどに、心が豊かになれる。そんな、発酵日和で過ごすひとときです。

店舗情報
発酵日和
Instagram(お問い合わせはDMにて)
あら草香しら(店舗所在地)
住所:埼玉県北足立郡伊奈町大針1225-7
駐車場有(1台につき100円)
Instagram