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スポット  |    2025.11.06

幕末の歴史が息づく「神奈川宿」を歩く|横浜開港と領事館跡をめぐる歴史散歩

アメリカ領事館跡地

横浜といえば、開港の地・横浜港や赤レンガ倉庫、中華街などが観光名所として知られています。

それら定番の観光地から少し離れた所に「神奈川宿」という、
かつて重要な役割を担っていたとされる場所があることをご存知でしょうか。

神奈川宿は、東海道五十三次の宿場町として栄え、
1859年の横浜開港とともに、各国の領事館が設置された国際的な拠点でもありました。

今回は、そんな神奈川宿の面影を今に伝える歴史的スポットをめぐる散策ルートをご紹介します。

ルートマップ

最寄り駅は京急「京急東神奈川駅」「神奈川駅」、
JR京浜東北線・横浜線「東神奈川駅」、東急東横線「反町(たんまち)駅」です。

START:慶運寺(フランス領事館跡・浦島寺)
⬇ 徒歩約5分
浄瀧寺(イギリス領事館跡)
⬇ 徒歩約3分
宗興寺(ヘボン博士施療所跡)&神奈川の大井戸
⬇ 徒歩約7分
神奈川台場跡(神奈川台場公園)
⬇ 徒歩約10分
洲崎大神
⬇ 徒歩約5分
GOAL:本覚寺(アメリカ領事館跡)

慶運寺(浦島寺)|浦島太郎伝説とフランス領事館跡

神奈川宿の歴史散歩、最初に訪れたのは「慶運寺(けいうんじ)」

室町時代の1447年に創建された浄土宗の古刹でありながら、幕末にはフランス領事館として使用された歴史的背景を持つ、ユニークな寺院です。

慶運寺(浦島寺)の境内

1859年の横浜開港時、港の整備が不十分だったため、外国人たちは神奈川宿に仮の拠点を構えました。
その中で、フランスの初代領事ベルクールが滞在したのがこの慶運寺です。

また、慶運寺は「浦島寺」とも呼ばれ、浦島太郎伝説と深い関わりがあります。
境内には、浦島太郎が竜宮城から持ち帰ったとされる観音像「浦島観世音」が安置されており、手水台には亀のモチーフが施されるなど、伝説の世界観が感じられます。

慶運寺(浦島寺)の手水台

さらに、境内の「浦島父子の塔」には浦島太夫と太郎親子の名が刻まれています。

浦島父子の塔

浄瀧寺|イギリス外交官が暮らした、静寂の寺

次に訪れたのは、鎌倉時代創建の日蓮宗の寺院「浄瀧寺(じょうりゅうじ)」
横浜開港の際には、イギリス領事館として使用された寺院です。

浄瀧寺入り口
浄瀧寺の境内

宗興寺|医師ヘボン博士が施療所を開いた寺

住宅街に佇む「宗興寺」は、幕末にアメリカ人宣教師で医師のヘボン博士が施療所を開設した場所です。無料診療や入院患者の受け入れを行い、地域医療に貢献しました。

境内には石碑とレリーフがあり、当時の活動を今に伝えています。

ヘボン博士のレリーフ


ヘボン博士は、日本初の和英辞典の編纂者としても知られ、「ヘボン式ローマ字」の基礎を築いた人物でもあります。

神奈川の大井戸|将軍や天皇も使った名水

宗興寺のすぐ近くには、「神奈川の大井戸」と呼ばれる名水の井戸があります。
江戸時代から良質な水が湧き出ることで知られ、将軍の御用水明治天皇の行幸時の飲料水としても使われたと伝えられています。

神奈川の大井戸

神奈川台場跡|勝海舟が設計した海防の要

歴史散歩の終盤に訪れたのは、「神奈川台場跡」
ここは、外国の脅威に備えるために築いた海防の砲台跡です。

1854年の日米和親条約締結後、
海防強化の一環として、勝海舟の設計により伊予松山藩が建設しました。

神奈川台場跡

外交上の礼砲用として使われ、明治32年に廃止されるまで実戦には使用されませんでした。現在は石垣の一部が残されています。

神奈川台場跡の石垣

洲崎大神|源頼朝ゆかりの海の神社

続いて訪れたのは「洲崎大神(すさきだいじん/すさきおおかみ)」です。

洲崎大神の鳥居

洲崎大神の創建はなんと1191年(建久2年)。
源頼朝に所縁があることから、鎌倉幕府では直轄社であり、格式の高い神社でした。
かつては社前まで海が広がっており、神輿を海まで担ぎ出す「御浜下祭」も行われていたそうです。

緑に包まれた境内は、住宅街の中にいることを忘れてしまうような静けさに満ちています。

本覚寺|アメリカ領事館となった高台の古刹

最後に訪れたのが「本覚寺(ほんがくじ)」です。
高台に位置するこの寺は、幕末の開港期にアメリカ領事館として使用されたことで知られています。

アメリカの初代駐日公使タウンゼント・ハリスは、渡船場に近く、丘陵上にあり、湾内を見通せた本覚寺を自らアメリカ領事館に決めたといわれています。

本覚寺入り口

まとめ|神奈川宿で幕末の歴史を感じる旅へ

神奈川宿には、幕末の外交の痕跡が今も静かに息づいています。
横浜の観光地とはひと味違う、歴史散歩の魅力をぜひ体感してみてください。

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この記事を書いた人

はなぴき

1996年生まれ。「旅行はしたいけれど下調べが多くて大変!」こんな思いを解決できるよう、旅程づくりに役立つ情報を発信します。

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