余市にある西崎山環状列石をご存じですか。
丘陵地帯にあるストーンサークルスポットとして知る人ぞ知る遺跡で、北海道指定史跡にもなっています。丘の麓には岩壁にたくさんの刻画があるフゴッペ洞窟も存在しており、パワースポットとしてもひそかに人気です。
また、海の向こうにシリパ岬を眺めることができる見晴らしのいい場所としても有名!今回は、余市の丘陵にある史跡、西崎山環状列石をご紹介します。
西崎山環状列石とは
西崎山環状列石は、北海道の縄文時代後期の遺跡と言われており、土器なども出土している北海道指定史跡です。余市と小樽市の境界にある西崎山の丘陵上にあり、楕円型に多くの自然石が配置されています。
発掘調査の結果、西崎山環状列石は人為的に置かれたものであることがわかっています。さらに立て石の下には直径50㎝、深さは70㎝ほどの穴が存在していました。そのため、遺体を埋葬していた墓だったのではないかと推測されています。
なぜこのような高台にわざわざ重い石を運んで墓をつくったのか、はっきりしたことはわかっていません。しかし、なんらかの祭祀の場であったことは間違いないようです。
入り口はどこ?西崎山環状列石の案内板を見過ごしてはいけない!
西崎山環状列石への入り口は山の麓にあるため、車で行くとうっかり見過ごして走り去ってしまいそうになります。しかも案内板は半分くらい木の枝に隠れているのでより注意が必要です。
丘の上にある史跡に辿り着くには急こう配の階段をひたすら上る!
入り口に近づくと目の前には階段が見えました。見晴らしの良い場所にあるのですから当然ではありますが、急な高さにちょっと腰が引けます。しかし、この階段をクリアしなくては史跡にたどり着けません。
頑張って上り始めたものの、急な階段を上るのは思ったよりきつく、日ごろの運動不足を反省する筆者でした。しかも時々なんだか獣のような声も聞こえるではありませんか。
古代の人々は、なぜこのように険しく、さらに獣も現れそうな山の上にストーンサークルを立てようと思ったのだろう。
きっと天上に近いほど亡くなった方の魂が慰められると思ったに違いない。
という感慨にでも浸りながら上らないと、色々な面できつかったことを白状します。
樹々の間を抜けるとそこには古代のストーンサークルスポットが!
階段を上りきると樹々の間に飛び石が配置されており、その先に柵が見えます。近づくと柵の中に密集した石の数々がありました。西崎山環状列石の登場です。
大小さまざまな石は全体が楕円形に配置されています。ところどころに突き出るように大きめの石が立った形で配置されており、そこがお墓なんだとわかります。
墓石として使用されている立石は、丸いものや四角いもの、細長いもの、さまざまな形のものがありました。
自然石そのままの形を使ったのでしょうが、見ているとなんだか埋葬した人のこだわりを感じるような気がしますね。墓石の形を見て「あれは私の家族の墓」と思いながら古代の人々も、亡くなった方を悼んだのでしょうか。
それにしてもこのような、歴史的な遺跡が素のままで公開されているのはすごいことだな、といつも思います。一応柵はありますが、盗まれるとか荒らされるとかそういったことを想定しているとは思えず、何かあったらどうするんでしょうか。
まあ、これまでそのようなことがなかったみたいなので余計な心配でしょうが。
ところどころ文字が消えかかっている説明版も、時の流れを感じさせますね。肝心の注意部分が見えなくなっているのは何とかしたほうがいいと思います。
海の向こうにはシリパ岬が見える!
西崎山環状列石のある丘からは、海の向こうにシリパ岬が見えます。シリパとはアイヌ語で「海に突き出している山の頭」という意味。約600万年以上前に海底火山が噴火し海底の地表が噴出してできたと言われています。
夏にはこの場所からシリパ岬の頭に沈む、優美な夕日の姿が見られるそうです。美しく神秘的な光景が見える場所は、まさに死者を悼むのにふさわしい場所だったのかもしれません。古代の人々もそのように考えたからこそ、ここに死者を埋葬したのでしょうか。
環状列石で古代に思いを馳せつつそこから見える景観を堪能した後は、階段を下る作業が待っていました。階段は下るほうがキツイということを、運動不足の筆者は改めて感じました。ちなみに得体のしれない獣の声は下りでも聞こえましたが、なんの獣だったのか深く追及はしたくありません。
ストーンサークルスポット好きでさらによい景色を眺めたい方には、西崎山環状列石は最適なスポットです。ぜひ古代を感じるストーンサークルと海の向こうに見えるシリパ岬の美しい景観を楽しみたい方は、西崎山環状列石を訪ねてみてくださいね。
また、余市のお隣小樽市忍路(おしょろ)のストーンサークルを紹介したこちらの記事も併せてぜひご覧ください。小樽や余市の遺跡についてより興味が深まりますよ。
忍路のひっそりストーンサークル(環状列石)を訪ねて|北海道小樽市
写真撮影:文
西崎山環状列石情報
参考サイト:余市町