
千葉県木更津市にあるサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」。
アートと食と農をテーマにしたこの場所の一角に、ぽっかりと地面に開いた入口があります。
その名も「地中図書館」。
まるで土の中に空いた洞窟のような外観は、まわりの自然にすっと溶け込むような、控えめな佇まいです。
はじめは「秘密基地を見つけたみたい」と、ワクワク。けれど中に入ると空気が一変。静けさに包まれた空間には、教会のような荘厳さがあり、思わず背筋が伸びます。
ここは、ただ本を読む場所ではなく、自分の内側と静かに向き合う「知の場所」。
心を落ち着かせ、想像力を育てる──そんな、大人のための静かな基地のような空間です。
地中に広がるやさしい建築

扉を開けて中に入ると、まるで地中に潜り込んだような静寂に包まれます。
天井は低く、壁は土に近い色味で仕上げられていて、やさしいぬくもりが感じられます。

天井は奥へ行くほど低くなり、本棚もそれに合わせて段々と低くなる構造。まるで地層のように、本が静かに並んでいます。

この図書館は”晴れた日は畑に出て、雨の日には本を読む”という「晴耕雨読」の考えから生まれました。
植物が土の中で栄養を蓄え力をつけるように、人もここで本から知恵を蓄え、想像力を育てていく「農夫の書庫」です。
思いがけない出会いを楽しむ本棚

地中図書館の本棚は、「専門書」「児童書」といったジャンルごとではなく、テーマに沿ってゆるやかに並べられています。
一見ランダムに見えて、眺めているうちに、さまざまな本のつながりが見えてくるはず。
ジャンルを超えて本同士がゆるやかにつながっていることで、思いがけない出会いが生まれやすくなっています。
一冊手に取ると、隣の本にも引き寄せられる。そんな偶然の出会いが、この図書館の醍醐味です。
命の源のようなホールへ

最奥部には、天井が高く開けたホールが広がります。この空間は「母胎」をイメージして設計されました。
天窓からはやわらかな光が差し込み、地中にいながら太陽の存在を感じられるようになっています。
心が静かに整っていくような、そんなゆったりとした時間が流れています。
農・食・アートとつながる「創造の場」

「地中図書館が、なぜ農場の中に?」と不思議に思うかもしれません。
けれど、KURKKU FIELDSの世界に触れていくと、その存在が自然に感じられてきます。
ここは、農・食・アートをテーマに、自然と人が調和しながら“循環”する暮らしを体感できる場所。
畑に出て野菜に触れ、動物と共に過ごし、採れたての食材を味わう。そうした日常の営みが、場内のあちこちでつながっています。
その中で地中図書館は、「心を耕す場所」として存在しています。
本を通して考えを深め、感じる力を養うことは、農や食、アートをより豊かにする土台になります。
この図書館は、そんな「創造力」や「想像力」の入口のような場所。
本を読んで、考えたり、心がふっと動いたり。
そんな体験がまた、食や農やアートにつながって、新しい何かが生まれていく。
KURKKU FIELDSの地中図書館は、そんな“循環”の中にある、もうひとつの畑のような存在だと思います。
知と感性を深める、静かなひとときを

地中図書館は、本との偶然の出会いを楽しみ、自分と向き合う時間を過ごす場所。
日常から少し離れて、静かに思考を深めてみる。そんな時間が、未来への一歩につながるかもしれません。
木更津を訪れた際は、ぜひ一度、この非日常な世界を体験してみてはいかがでしょうか。
KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)
住 所 : 〒292-0812 千葉県木更津市矢那2503
営業時間 : 10:00-17:00
定休日 : 毎週火曜日、水曜日(祝日を除く)
入場料 : 中学生以上 800 円 / 小学生 400 円
※KURKKU FIELDS MEMBERSHIPへ入会するとお得に入場可能
オフィシャルサイト : https://kurkkufields.jp
Instagram:https://www.instagram.com/kurkkufields
<地中図書館 Library in the Earth>
営業時間:12:00-17:00
宿泊者利用可能時間:17:00-翌11:00
《利用時の注意事項》
・地中図書館の入館にはKURKKU FIELDS MEMBERSHIPへの登録と予約が必要
・メンバー登録、暗証番号カードの受け渡し、当日枠での予約手続きはインフォメーションにて