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スポット  |    2023.09.24

東京で夜の熱帯を疑似体験!神代植物公園大温室夜間公開に行ってきたよ【後編】|東京都調布市

本稿は、神代植物公園で2023年8月25日・26日に開催された「大温室夜間公開」の様子をレポートした記事の後編です。前編は[こちら]よりご覧ください。

夜の大温室に到着

ランタンと大温室|神代植物公園大温室夜間公開より
ランタンのガイドのおかげで無事に到着

寄り道していたら思いのほか時間が経ってしまい、大温室に到着したのは19時半。閉園まで、残り1時間しかありません。急いで入館します。

温室内の照明は必要最小限でした。足下や展示植物のスポットライトと、月明かりだけがたよりです。

大温室内熱帯花木室|神代植物公園大温室夜間公開より
入り口付近から見た熱帯大温室内の様子

遅くなったことが功を奏したのか、メイン展示のサガリバナの待機列はそれほど長くなく、時間も長くて10分ほどとの案内がありました。

一夜限りの花、サガリバナ

並んで待つことおよそ5分。ついに順番がまわってきました。

サガリバナの花|神代植物公園大温室夜間公開より
暗闇の中でも僅かな光を反射してぼうっと光る

こちらがサガリバナ。咲き方は藤の花に似ていて、棚から垂れ下がった長い花序に、上から順に花を咲かせていくようです。展示に添えられていた解説には、このように書かれていました。

サガリバナ/ Barringtonia racemosa /サガリバナ科
東南アジア原産。陽が落ちる頃に咲いて夜明けには散ってしまう幻の花。多数のおしべが目立ち芳香を放ちます。

展示に添えられていた説明書きより

また、参考サイトによると、サガリバナの開花期は6~8月で、日本国内での自生地は奄美大島以南とのこと。夜にだけ咲くサガリバナの花を見られるのは、本当に貴重なことなのですね。

参考サイト:
神代植物公園のホームページ
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>サガリバナ

写真の撮影時間は、19時38分。この日の日没は18時19分でしたので、夕暮れ頃から咲き始めたとして、たったの2時間程度でこの状態まで開いたということでしょうか。

サガリバナの花|神代植物公園大温室夜間公開より
筆者はこれを見て試験管洗浄用のたわしを思い出した

花の香りも、説明のとおり、まさしく「芳香」。品のある香水のような香りで、5メートル程度離れた場所でもしっかりと感じられました。一夜にすべてをかける——そんなおしべの気合いを感じます。

サガリバナの花|神代植物公園大温室夜間公開より
おわかりいただけるだろうか

ちなみに、白いもしゃもしゃとしている部分は花びらではなくおしべで、めしべはもしゃもしゃの中に紛れているピンク色の筋です。写真のピントが甘いためわかりにくいですが……どうぞ探してみてください!

まだまだあるよ!夜の大温室

夜の大温室の見どころはまだまだ続きます。

夜の熱帯花木室

熱帯花木室には、サガリバナの他にも夜だけの姿を見せてくれる植物がいくつもライトアップされていました。

シクンシの花|神代植物公園大温室夜間公開より
シクンシの果実は生薬の「使君子」として利用される
マツリカの花|神代植物公園大温室夜間公開より
「アラビアンジャスミン」の別名もあるマツリカ

写真上はシクンシという熱帯アジア原産の植物。夜に花を咲かせ、甘い香りを放ちます。ピンク色の小さな花びらが可憐な雰囲気です。写真下は、ジャスミンティーの香り付けに使われるマツリカという植物で、夜に白い花を咲かせます。近づくとふんわりとよい香り。体の緊張がふわ〜っとほぐれるような気がしました。

タマリンド|神代植物公園大温室夜間公開より
葉の形がかわいらしいタマリンド
ヒコウキソウ|神代植物公園大温室夜間公開より
たくさんの飛行機が飛び立つようでカッコいいヒコウキソウ

マメ科のタマリンド(写真上)とヒコウキソウ(写真下)は、夜になると葉をぴったりと閉じて眠ったようになる植物です。私が観察したタイミングでは、タマリンドはうとうとと入眠中。一方、ヒコウキソウの方はビンビンに覚醒中ダゼぇ! といった印象でした。

大温室休憩室

熱帯花木室を後にすると、大温室休憩室があります。こちらには、8月上旬に開催されていた食虫植物展の展示の一部が残されていました。

食虫植物のテラリウム|神代植物公園大温室夜間公開より
食虫植物のテラリウムは、我が家のキッチンにも置きたい…
食虫植物のテラリウム|神代植物公園大温室夜間公開より
小バエを食す草

冷暖房完備の休憩所は、夜間公開時の園内ではここだけ。自販機が置かれているので、食虫植物たちが小バエを食べる様子を観察しながら、コーヒーやおやつで一服できます。

夜の熱帯スイレン室

続いて、熱帯スイレン室です。

熱帯スイレン室|神代植物公園大温室夜間公開より
夜の熱帯スイレン室はデートにも良さそう

ここでは、熱帯地方のスイレンの他に、もはや熱帯スイレン室のシンボルツリー的存在ともいえる大きな赤バナナにも注目です。

熱帯スイレン室の赤バナナ|神代植物公園大温室夜間公開より
天井まで届くほどの赤バナナの木…もとい、草

天井付近から長〜く垂れ下がっているのがバナナの花房で、最下部にある赤紫色の塊を「苞(ほう)」と呼びます。夜になると苞が1枚ずつめくれ、中から花が現れるのだそう。

上方に見えるパンパンにふくらんだ実は、そろそろ食べ頃なのでは……? そう思って職員の方に聞くと、こちらは東京都の公共物なので、食べることはできないのだそうです。残念!

夜の小笠原植物室

熱帯スイレン室の後には、小笠原植物室が続きます。

小笠原植物室|神代植物公園大温室夜間公開より
小笠原植物室では暗闇の中に6種の生物が隠されていた
小笠原植物室のヤコウタケの模型|神代植物公園大温室夜間公開より
緑色に光るヤコウタケの模型を見つめるオオヒキガエルのイラスト

小笠原植物室には、小笠原諸島の夜にみられる生き物たちが、夜間限定の展示として紹介されていました。植物の展示の中に、ウミガメ、オガサワラオオコウモリ、オオヒキガエルなどの6種類の生き物のイラストが置かれていました。

夜の乾燥地植物室

大温室の最後の展示エリアは、乾燥地植物室です。

乾燥地植物室|神代植物公園大温室夜間公開より
大きなサボテンが天井に届きそうな乾燥地植物室
ゲッカビジンの花の標本|神代植物公園大温室夜間公開より
ゲッカビジンは標本になっても美しい

ライトアップされたサボテンたちの傍らに、サボテン科のゲッカビジンの花のアルコール漬け標本が展示されていました。こちらも夜に咲き朝にはしぼむ花。いつか咲きたての様子を見てみたいものです。

神代植物公園は夜もすてきだった!

月明りと大温室|神代植物公園大温室夜間公開より
月(月齢8.7)と大温室の風景

夜間公開ではエリアが限定されているとはいえ、たくさんの見どころがあり、筆者には時間が足りないくらいでした。大温室の外に出店していたキッチンカーも楽しみにしていたのですが、残念ながら立ち寄れずタイムアップ。

もっと余裕をもって訪れればよかったと反省しつつも、次回のお楽しみがひとつできたことをうれしくも思います。今年の公開は終了してしまいましたが、また来年も開催されることを祈って楽しみに待ちましょう!

そして職員の皆様、ありがとう&お疲れ様でございました。

施設の情報
  • 施設名・所在地:
    • 都立神代植物公園
    • 調布市深大寺元町2・5丁目、深大寺北町1・2丁目、深大寺南町4・5丁目
  • 開園時間:
    • 午前9時30分~午後5時(入園は午後4時まで)
  • 休園日:
    • 毎週月曜日(月曜日が国民の祝日や振替休日、都民の日の場合はその翌日が休園日)
    • 年末年始(12月29日~1月1日)
  • 入園料:
    • 一般・大人 500円(団体:400円)
    • 65歳以上 250円(団体:200円)
    • 中学生 200円(160円) ※都内在住・在学の中学生は無料
    • 小学生以下無料
  • 年間パスポート:
    • 一般・大人 2,500円
    • 65歳以上 1,250円
  • アクセス:
    • 京王線調布駅から小田急バス(12番乗り場)吉祥寺駅行き・三鷹駅行き、または京王バス(11番乗り場)深大寺行きで「神代植物公園」下車
    • 京王線つつじヶ丘駅北口から京王バス深大寺行きで「神代植物公園」下車
    • JR中央線三鷹駅(2番乗り場)または吉祥寺駅(4番乗り場)から小田急バス調布駅北口行き・深大寺行きで「神代植物公園前」下車

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この記事を書いた人

青井なの

東京・多摩地区出身のフリーライター。大学卒業後、第一次産業関連の飲食店立ち上げ・運営や食品メーカーの商品企画職、D2Cプラットフォームの立ち上げを経験。その過程でwebメディアの魅力にハマり、今に至る。資格:食品衛生責任者、星空準案内人、二級愛玩動物飼養管理士 趣味:畑、星空撮影、猫の世話

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