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スポット  |    2026.03.26

桃と水、見ずには春は終わらない

茨城県内で『梅』の名所と言われれば、水戸の偕楽園や筑波山などが思い浮かびます。『桜』と言えば、日立など。…では『桃』の花、花桃の名所と言えば、どこでしょう?

「桃の花って、三月三日は桃の節句!というわりに、三月初めには咲いていないことも多いんですよね…」

これには理由があります。桃の節句は「旧暦」の三月三日に行われました。これは、新暦の四月上旬。その頃に桃の花は満開になることが多い。ところが、明治時代に旧暦から新暦に変わっても、桃の節句は変わらず三月三日のままです。ゆえに、桃の節句なのにまだ桃の花が咲いていない…ということがしばしば。

そんな花桃ですが、茨城県には立派な名所があります。それが古河市にある『古河公方公園(古河総合公園)』。「こがくぼうこうえん」と読みます。

「古河公方…。日本史の授業で習ったような…」

公方とは「将軍」などを指す言葉です。室町時代、足利将軍は主に京都にいましたが、鎌倉には「鎌倉公方」と呼ばれる実力者がいました。東から西に本拠地を移したので、東の鎌倉を押さえさせるために「鎌倉府」を置いたのです。鎌倉公方は、そこの長官でした。…ところが1455年、関東での戦乱の影響により、第五代の鎌倉公方、足利成氏(あしかがしげうじ)は鎌倉を放棄、古河に本拠地を移します。これが「古河公方」の起こり。古河公方公園は、そんな古河公方の館跡の周辺につくられた公園です。

では、早速、行ってみましょう!

桃林の由来と桃まつり

古河公方公園の入り口には「古河公方広場」があります。水路があり、その向こうに横長の管理棟。

古河公方広場

それらを越えて進んでいきますと、『古河総合公園桃林の由来』と書かれた桃色の案内板が見えてきました。なぜ、桃林がつくられたのでしょうか? 案内文の文章を部分的に引用してみます。

桃林の由来

『江戸時代のはじめ、徳川幕府の要職にあった土井利勝が古河藩十六万石を拝領した頃、領内で薪が不足していました。そこで江戸藩邸にいた利勝は一計を案じ、江戸市中の子供たちに桃の種を集めさせ、それを俵に詰めて古河に送り、野畑や農家の屋敷周りに植えさせました。桃は成長が早く、枝は薪になったといわれます。江戸時代後期の絵画には、古河城東方に桃林が描かれ、古河藩士も春には家族で桃見物に訪れていることが知られています。』

土井利勝。どいとしかつ。1573年に生まれ、江戸幕府の老中・大老を務めた実力者です。主に二代将軍徳川秀忠・三代将軍徳川家光の下で辣腕を振るい、武家諸法度に「参勤交代」の制度を組み込んだ人。深い智謀を持っていた土井利勝は、古河にあえて桃の種を送ることで、現在にも残る「花桃の街」をみんなにつくらせたんですね…!

桃林は大正時代に一度、炭素病によって壊滅したものの、昭和時代に復活したそうです。公園の中で咲き誇る、六種類の花桃…。特に三月下旬から四月中旬までは「桃源郷」のような風景が広がっていきます。

花桃

私がここを訪れたのは、三月上旬の穏やかで暖かい日でした。少し早いかな…?と思いましたが、すでに花が少しずつ咲き出しており、「古河の桃まつり」に備えているようでした。2026年は3月14日(土)から、3月29日(日)までの開催。『第50回目』の桃まつりになります。

花桃以外の魅力

ではここからは、花桃「以外」の古河公方公園の魅力を紹介していきます!

まず園内を巡って気が付くのは、「花は桃『だけ』ではない」ということです。例えば、見事な菜の花畑がありました。緑の草に黄色の花が映えて、とても綺麗!

菜の花

公園の東側には、水がたたえられた「蓮池(大賀蓮池・浄円坊池)」カキツバタ園などを通る道が伸びていました。蓮やカキツバタの花が咲く季節には、さぞ水に映えそう…。犬の散歩にも良さそうです。

水の間の道

大賀蓮は「古代ハス」とも呼ばれており、1951年に発見された「約二千年前の蓮の実」から花を咲かせた蓮のこと。大賀一郎という博士が発掘にあたったため、彼の名前がつけられました。この大賀蓮の地下茎(いわゆる蓮根)が公園に植えられ、どんどん増えて、3,000平方メートルもの蓮田が広がっています。

古代ハス

「入口の広場といい、池や蓮田といい、水が多い公園なんですね…」

その通り! 古河公方公園の特徴の一つに、素晴らしい「水の景観」が多い、ということが挙げられます。公園の各地に趣のある池や沼、水路があって、涼やかで癒される風景が広がっているのです。

水路

御所沼と鳥たち

しばらく歩くと、大きな沼が見えてきました。『御所沼(ごしょぬま)』と呼ばれる沼です。ここは「星湖」とも呼ばれています。

御所沼

「…星の形をしているんですか?」

いえ、今ではアルファベットの「C」のような形をしています。かつては河川とつながって星型だったそうですが、戦後の食糧難の際に部分的に干拓されて田んぼになったそうです。そこを公園を整備する際、沼として復元させ、現在は公園のシンボル的な存在になっています。

御所沼の「御所」とは、公方の拠点のこと。古河公方館、あるいは鴻巣御所と呼ばれていました。「鴻」とはヒシクイなどの大型の水鳥。御所沼の近くには緑も多く、水鳥たちの姿を見かけることができます。散策やバードウォッチングにも良い公園…。

しかし、水鳥ばかりでもありません。この公園には、何と「クジャク」も住んでいる!

クジャク

通りかかった子供が、羽を大きく広げたクジャクを見つけて歓声を上げていました。遊具があるゾーンもあります。大人はもちろんのこと、遊び回りたい子供達にもぴったり…! 水が多く、起伏に富んでおり、回っていてとても楽しい公園なのです。

はなももソフトで一休み

それぞれの地形には、ユニークな名前がつけられていました。例えば、入口の管理棟の近くの坂は『芋ころがし坂』と名付けられています。芋を置いたら、ころころと転がっていきそうな坂…。

芋ころがし坂

「地形的にアップダウンもあって、運動不足解消にも良さそうな公園ですね。…となると、ちょっと一休みできる場所などもあるのでしょうか?」

ええ、ご安心ください。御所沼のほとりの売店では、とても美味しい「はなももソフトクリーム」などを味わうことができます。

はなももソフトクリーム

…さあ、いかがでしょうか?

本記事で紹介したのは、この広い公園の魅力のほんの一端です。花桃「だけ」を見に来たのではもったいない。歴史遺産や自然があふれている公園。たくさんの魅力が詰まっているのです。

古河総合公園地図

ぜひ、花桃の季節はもちろんのこと、他の季節にも訪れてみてくださいね!

古河公方公園 (古河総合公園)
〒306-0041 茨城県古河市鴻巣399−1

◆公共交通機関:
古河市は「茨城県の西の端」の街です。JR古河駅には、東北本線などが通っています。
古河公方公園は古河駅から南西、タクシーで約10分、徒歩で約30分の場所にあります。梅まつりの期間中には、古河駅と古河公方公園間で「臨時バス」が運行されています。

◆自動車:
最寄りの高速インターは圏央道の「境古河インター」です。
インターを降りた後、利根川方面、古河方面に向かい、国道354号線を北西の方角に向かいます。東北本線の高架下を通り、鴻巣交差点を南に曲がり、公方通りと呼ばれる道路を進むと、公園の入口の看板が見えてきます。
駐車場には700台ほど駐車できますが、桃まつりの開催期間・時間には有料になります。まつり中の土日祝には、特に混雑が予想されますのでご注意ください。

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この記事を書いた人

ヒストジオいなお

茨城県、水戸市、またその周辺の情報をシェアしていきます。歴史と地理が好きです。食べ歩きも好きです。

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