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スポット  |    2024.05.23

「信じて任せる」学生と社会人が共に創る空間|シェアスペースmocco加古川【後編】

前編では、運営する株式会社ワンピース社員・山本裕介さんと学生スタッフの小原柚葉さんにmocco加古川が商店街の中でどのように活用されているのかについて伺いました。

学生スタッフの小原さんが企画した「持ち寄りランチ会」など、利用者同士がゆるくつながるアイデアが生まれていました。

▼前編の記事はこちら

実はこのシェアスペースは、前の事業者が閉店を考えていたところを引き継いで運営してきた経緯があります。mocco加古川がなぜ再び人が集まる場所となったのか。その秘訣を伺いました。

閉店の危機「地元加古川を面白くしたい」想いで引き継ぐ決意

事業を引き継いだ当初、本棚の本は社長が自宅から持ってきた本で埋め尽くされていたそう。「社長の頭の中が垣間見えるようで、興味深かったです」(山本さん)

「mocco加古川を引き継いだのが、2022年10月でした。当時社長(現会長)の久本が『地元加古川を面白くできたら……ワンピースとして何か還元していきたい』という想いから運営を引き継ぎました」と話す山本さん。

過去に一度コミュニティ事業に参入しましたが、事業撤退した苦い経験がありました。シェアスペースを引き継いだタイミングは、再度チャレンジできる好機。社長の想いを汲み、山本さんをはじめとした運営メンバーで、コンセプトづくりから取りかかりました。

「『ゆるくつながる学びの秘密基地(サードプレイス)』は、家でも学校でも職場でもない、落ち着く場所だからこそ秘密にしたい。自分だけの秘密の第三の居場所。やりたいことに取り組み、お互いに程よくつながって良い刺激が循環されていく場所になればと決めました」(山本さん)

「自立自走型」の組織風土

社員の山本さんと学生スタッフの小原さん

mocco加古川では、一人ひとりが自立し、お互いに切磋琢磨しながら会社を自走させる”自立自走型”の組織文化があります。

「会社自体が独自のアメーバ経営を採用しており、一つのチームを一つの会社と見立て、ディレクターを中心にチームを運営するスタンスがあります。また、ティール組織として、上下関係がなくそれぞれが意思をもってチームを運営していくスタイルになっています。

moccoの運営は、ディレクターが1名、それ以外は学生や主婦のインターン生(時給制メンバー)に任されています。

私たちの会社には、現状”アルバイト”や”パート”の枠はありません。学生の時給制メンバーであっても、福利厚生は月給制のメンバーと同じで、給与体系だけが違う「時給制のメンバー」としてスタッフは働いています。

なので、責任をもって自分から仕事に関わっていくことで、お互いに共創していく文化があります。

その中で仕事は『信じて任せる』ことを大切にしています。社員の自分がやったほうが早いと思えるようなことでも、まずはスタッフがやってみる。うまくいかなければ後からサポートしますから、怖がらずに挑戦してもらっています」(山本さん)

ディレクターとスタッフは共にシェアスペースを創るメンバー

失敗を恐れずチャレンジできるのは、社員も学生スタッフも対等に意見を交わし「信じて任せる」組織文化があるからこそ。その信頼関係が、スタッフに自由な発想で新しい挑戦ができる環境を生み出しています。

コワーキングエリアの無料開放の提案

新しい挑戦を歓迎する風土が結びついた企画もたくさんあります。前編の記事で紹介した「持ち寄りランチ会」もそのひとつ。発案者の小原さんは、利用者をもっと呼び込みたいとコワーキングエリアの無料開放を提案しました。

「私自身が、高校生のときmocco加古川を利用していました。入ってみたら、すごくいいところだなって分かるんですけど、入るまでがちょっと……自分がスタッフの立場になって、お客様が入りやすくなるにはどうしたらいいのかを考えて提案しました」(小原さん)

2023年12月から始まった小原さん提案の企画。実施してから新規の利用者も増えているそう(写真提供:mocco加古川)

立て看板を出したところ、前を通りがかる人にも目に留まるようになり、スタッフから声をかけてみると中に入ってもらえるようにもなってきたそう。

「無料開放は、moccoを知ってもらうきっかけのイベントです。木曜日のニコニコおむすび結さんのシェアキッチンの日に設定したり、かわのまちマーケットという商店街のイベントの日に設定してみたり。


今はいろんな人が来てもらえるように日程を工夫しています。利用者同士がゆるくつながり、リピーターになってくれたら嬉しいですね」(小原さん)

開催2か月前に決定?!ボードゲーム大会予選会

子どもと大人が一緒に楽しめるボードゲーム「ラミィキューブ」(写真提供:mocco加古川)

最近では、ボードゲーム「ラミィキューブ」の日本大会予選会の開催など、新しい試みも始めています。

実は、加古川はボードゲームのまちとしても有名で、日本選手権の会場にも選ばれたりするほど、地域で盛んになっています。

「加古川に『駒の時間(こまのとき)』というボードゲームのお店があります。数年前から小学校の児童クラブや公民館などで普及活動に尽力されていて、駒の時間さんを通して、子どもたちからこのゲームが広まっていきました。

子どもから大人まで楽しめるラミィキューブは、地域に密着した取り組みとしても注目されています。実は、2023年の日本チャンピオンは加古川出身なんですよ」(山本さん)

日本チャンピオンの西村さんは、山本さんと小学校の頃からサッカーをしている仲間です。ある日、山本さんは、西村さんと食事に行った帰りに「駒の時間」さんに立ち寄り、ラミィキューブを体験したところその魅力にハマってしまいました。

「4人対戦で、年齢を問わず対等に遊べるコミュニケーションツールとしてすばらしい。moccoが目指す大人と学生の交流にピッタリだと思い、ラミィキューブとのコラボを決めました」(山本さん)

ラミィキューブ予選会の様子(写真提供:mocco加古川)

2024年4月、ラミィキューブ日本選手権予選会がmocco加古川で実現。シェアスペースの座席が満席になる盛況ぶりでした。

「子どもの思考力を高めるのにも効果的で、小中学生から日本チャンピオンを目指せます。5月の本選が加古川で開催されますが、勝ち上がれば、ポーランドで行われる世界選手権大会にも出場できるかもしれません。子どもたちにとっても夢の舞台になるでしょう」(山本さん)

シェアスペースmocco加古川のこれから

「0円本の交換会」本棚の本は、利用者が持ってきた本と無料交換で循環しています。

地元加古川で地域のつながりを大切にしながら、スタッフが上下分け隔てなく協力して新しい交流の場を創出できるのは、「共に創る」というあり方がmocco加古川に浸透しているから。

その背景には、スタッフ一人ひとりが責任を持ち協力し合う「信じて任せる」組織文化があるからこそ、新しい価値観が生まれ、チャレンジできるのだと感じました。

加古川で『人・モノ・コト』全てが集まる場所にしたいとメンバーとも考えています。ここを起点に、出会った人同士がビジネスパートナーになったり、学生考案のメニューでカフェを起業するなど、新しい価値が生み出されることを期待しています。mocco加古川は、人々のスタートを応援する場所でありたいのです」(山本さん)

mocco加古川は、学生から社会人まで多様な人々が出会い、切磋琢磨し合う場所。地域に根差したかけがえのない存在として、今後の展開が楽しみです。

シェアスペースmocco加古川

住所:兵庫県加古川市加古川町篠原町13-3 加古川まるいビル1階

電話:079-497-5959

定休日:年末年始のみ

駐車場:近隣コインパーキング有

営業時間:

月額会員/ゲスト会員 9:00~21:00

店頭支払の方 9:00~19:00※予約ブースの利用不可

カフェ 10:00~16:00

※19:00以降無人営業となります(会員のみ21:00まで利用可)

mocco加古川公式HP

mocco加古川公式Instagram

株式会社ワンピース

住所:兵庫県加古川市別府町石町77

電話:079-436-0511

株式会社ワンピースHP

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この記事を書いた人

澤 優歌

兵庫県神戸市在住の取材ライター|神戸市西区・北区・明石・加古川近郊地域の人・物・コトの価値魅力を中心にお届けします。趣味は映画鑑賞・ドライブ・阪神の応援。3人姉妹子育て中。

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