愛知県豊橋市にある総合動植物公園『のんほいパーク』。子どもから大人まで楽しめる複合施設として、愛知県内でも随一の人気を誇る観光スポットです。
のんほいパークにある自然史博物館は、恐竜の化石や骨格標本が人気を集める施設です。そんな自然史博物館の魅力や取り組みについて、学芸員の西さんにお話を伺いました。
自然史博物館って、どんな場所?
豊橋市にある自然史博物館は、おもに「生物の進化」と「郷土の自然史」がテーマの博物館です。太古に生命が誕生した時代から恐竜の時代を越え、人間が暮らす現代までの進化の歴史を紹介しています。
愛知県内でも最大級の展示規模を誇り、さまざまな化石や骨格標本などが充実しています。見て・ふれて楽しめる展示もあり、子どもから大人までわかりやすく学べる博物館です。
「のんほいパークのように、動物園・植物園・博物館が揃った複合施設というのは全国でもめずらしいです。お互いが同じ公園内にあるので、生きている動物を観察した後に博物館で骨格標本を見られるなど、学びがより深くなるのではないかと思います」(西さん)
進化の歴史を学べる展示
自然史博物館は、化石と骨格標本の展示がとても充実しています。大きなティラノサウルスの全身骨格を見ると、大人ながらに興奮してしまうほどの迫力とカッコよさでした。
「小さなお子さんであれば、まずは恐竜の大きさにドキドキしてもらうのもアリだと思います。そこから化石や生き物、あるいは自然に興味をもってもらえるといいですね」(西さん)
迫力ある恐竜の化石・骨格標本
館内には実物大の骨格標本や歯など、さまざまな恐竜の化石が展示されています。恐竜の大きさや姿を実感できる展示は、力強さや躍動感が伝わってくるのも魅力です。
「合計12体の恐竜の骨格標本を展示しているので、お客さんからは恐竜博物館なんて呼ばれたりすることもあります」(西さん)
筆者である私自身も幼少期から自然史博物館に訪れており、当時見た恐竜の展示がいまだに強く印象に残っています。
ゲームや動画で知った化石の実物が見つかるかも?
展示されている化石は、恐竜だけではありません。鳥・魚・昆虫・植物など、大小さまざまな化石を見て楽しめます。
ときには、テレビゲームやYouTubeなどで見たり聞いたりしたことのある化石が見つかることも。ゲームや動画で知ったものが実物で見られるのも、博物館の大きな魅力です。
「最近ではYouTubeや教育番組もたくさんあるとは思いますが、やっぱり本物にふれられるのが博物館のいいところだと思います。本物の質感や大きさのように、実物でしか得られないものを体感してほしいです」(西さん)
本物の貴重な化石!エドモントサウルス
西さんに「注目してほしい展示」をお伺いしたところ、エドモントサウルスの化石を紹介していただきました。自然史博物館には12体の骨格標本がありますが、唯一レプリカではない「実物」の貴重な展示だそうです。
「実は自然史博物館ができるきっかけになったのは、エドモントサウルスの化石なんです。この化石を展示するための博物館として、いまの自然史博物館がつくられました。約90%が本物の実物化石はとても貴重なので、ぜひじっくりと見入っていただきたいです」(西さん)
エドモントサウルスの展示室には、ミイラ化した化石(こちらはレプリカ)も展示されています。カッコよく整列された骨格標本とは違った雰囲気があり、太古の時代に生きていたリアリティをより実感しました。
郷土の自然史を学べる展示
自然史博物館には、地元の豊橋市をはじめとする郷土の自然史が学べる展示も豊富です。地元に生息している生き物や発見されたモノなど、展示を見ると意外な発見がありました。
生物の名前(和名)の由来を見ると、地元ならではの地名や命名者の感性が盛り込まれていることも。たとえば「ミカワ」や「ホウライ」といった地名があると、地元で発見されたことがわかります。
地元には意外に「すごい場所」がある
また、地元の何気ない場所が「実はすごい場所だった」なんて発見もあります。
陸貝の専門である西さんにお伺いしたところ、地元にある石巻山は「カタツムリの聖地」のような場所だそうです。そこで見つかった新種もあるようで、実は独特の自然がある貴重な山だと知りました。
「豊橋市には、石巻山や葦毛湿原をはじめとする自然豊かな場所が多数あります。実際に現地で自然を見るのも理想的ですが、季節の変化や希少な生き物は容易には観察できません。そんなときには、博物館に来て学んでみるのもよいかと思います」(西さん)
身近なものをコレクションしてみるのも楽しい
自然史博物館を見学したことで、地元の海や山にさまざまな貝が生息していると知りました。そう言われてみると、たしかに地元では貝殻をよく見かける気がします。
何気なく見ていた貝殻ですが、綺麗に展示されていると美術品のような美しさを感じます。海や山に遊びに行くときは、子どもと一緒に貝殻拾いをしてみると楽しいかもしれませんね。
子どもが楽しく学べる展示
自然史博物館の展示は、大人も子どもも学びやすい工夫が施されているのも特徴です。化石の展示を見ると、レイアウトが上段・下段に分かれています。
上段にレイアウトされているのは、大人向けの展示です。実物の化石や詳しい解説など、展示の知識をより深く学べます。
一方で下段には、子ども向けの展示が施されています。化石を復元したイラストやふれて遊べる展示など、楽しみながら学べる展示が特徴的です。
「展示室のレイアウトは、大人と子どもの目線にあわせた工夫が施されています。下段は台になっていて、実際にふれて楽しめる展示もあります。お子さんにも手でふれながら楽しんでいただければ嬉しいですね」(西さん)
館内にはクイズやゲームを楽しめる展示もあり、子どもが夢中になって遊んでいました。お母さんが「もう行くよ」と促しても「まだ終わってない!」と怒るほどに。
館内を回ってみると、四コマ漫画を使った展示解説も目立ちました。わかりやすいイラストで子ども向けと思いきや、大人の私自身も「参考になる」と感じる展示です。
初めて学ぶ知識については、子ども向けのわかりやすい展示から見るとスムーズに理解できました。
子どもから大人まで楽しく学べる博物館
今回は愛知県豊橋市の「のんほいパーク」にある自然史博物館を紹介しました。自然史博物館は、進化の歴史や郷土の自然史を学べる貴重な施設です。
また、解説会やワークショップなど、さまざまな体験イベントも実施しています。年齢問わずに参加できるイベントもあるので、自然や生き物に興味のある人はぜひ参加してみてください。
博物館は教育的な施設ではありますが、個人的には子どもでも楽しめるような展示やワクワクするような恐竜の化石に魅力を感じました。ふれたり考えたりしながら楽しく学べるので、子どもが生き物や自然に興味をもつきっかけになるはずです。
施設情報
豊橋市自然史博物館
住所:愛知県豊橋市大岩町字大穴1-238
電話番号:0532-41-4747
営業時間:9:00~16:30
休園日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/1