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スポット  |    2025.03.11

郷土資料館でベーゴマ遊び!?川口市の伝統が地域産業を未来へつなぐ

川口市立郷土資料館
お話ししてくださった川口市郷土資料館職員の井出さん(左)、出野さん(中央)、星野さん(右)

日本の伝統的な遊び「ベーゴマ」が、再び注目を集めています。

その中心地となっているのが川口市立文化財センター「郷土資料館」です。この施設は、地域の歴史や文化を伝えるだけでなく、産業・教育・地域交流の場としても地域貢献を目指しています。

郷土資料館職員の井出さん、出野さん、星野さんに、施設を紹介していただきながら今後の展望についてお話を伺いました。

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ベーゴマ専門メーカー「日三鋳造所」と郷土資料館の伝統産業を未来へつなぐ取り組み

ベーゴマがつなぐ交流と伝統産業の復活

川口市立郷土資料館ベーゴマ
寄贈されたベーゴマの中には戦前に作られた貴重なものもあります

郷土資料館が注目される理由の一つが、ベーゴマ文化の復活です。

日本で唯一のベーゴマ専門メーカーである株式会社日三鋳造所が、自社の資料として集めていたベーゴマを郷土資料館に寄贈したことから、伝統を守るための新たな取り組みが始まり盛り上がりを見せています。

「ベーゴマの展示数は、公立の資料館ではおそらく日本一です。展示だけでなく、実際に遊べるスペースを設けていて、週末は親子連れや友達同士などで100人近い人数が訪れる交流スポットにもなっています」(井出さん)

交流の場としてのベーゴマ

川口市立郷土資料館ベーゴマ
週末などは子どもたちで賑わい、ミニ大会が行われることも

郷土資料館は、地域を超えた交流の場としても機能しています。異なる学校や学年の友達を作るきっかけになったり、不登校の生徒が教室に入れるようになったりした例も報告されています。

「川口市の小学校では、3年生の社会科で地域学習の一環として、ほとんどの学校が鋳物工場を見学しています。コロナ禍以降は、実際に工場へ行くことはできなくなっていますが、代わりにオンラインを通じてライブ配信で工場見学に参加する取り組みが広がっています。その工場見学に参加した児童へは全員、川口鋳物工業協同組合からベーゴマとひものセットが贈られます」(井出さん)

そのベーゴマを持って郷土資料館に遊びに来る子どもたちがたくさんいるそうです。

「ベーゴマの貸し出しもしているので、持っていなくても安心して遊びにきてください。遊び方も教えています。初めてでも、少し練習すれば回せるようになりますよ。ベーゴマの勝敗は運です。経験者も初心者も一緒になって遊べるところが人気を呼んでいます」(井出さん)

川口市立郷土資料館、ベーゴマ
回せるようになったらミニサイズのトコ(ベーゴマを回す台)にも挑戦!

回す楽しさを知ったら、コマをデコレーションしたりコレクションしたりするのも現代の楽しみ方だとか。

「ベーゴマは昔から、加工して遊ぶのがキホン。昔のルールは、負けたら相手に取られたので、子どもたちは削ったり磨いたり、中には鉛やロウを溶かして乗せて重さを増したり…工夫して強いベーゴマを作り上げました。郷土資料館では、負けて取られることはありませんが、子どもも大人もベーゴマの加工にハマる人が増えています」(井出さん)

「さらに最近では、自分のベーゴマに色を塗ってデコレーションを楽しむ子どもたちもいるんですよ。両親や祖父母が子どもに誘われて一緒に郷土資料館を訪れることもあります。ご家族で遊んでいる姿を見ると、本当に微笑ましいですね」(井出さん)

産業としてのベーゴマ

川口市立郷土資料館キューポラ
鋳鉄鋳物を製造するための鋳鉄溶解炉キューポラ(実物のミニチュア)

ベーゴマの活性は、鋳物の町として栄えた川口市の産業維持という観点でも重要な役割を果たしています。

川口市にある日三鋳造所は、現存する最も古い金型を継承してベーゴマ製造を続けている企業です。ベーゴマが注目されることで近年需要が増え、伝統的な鋳物技術の存続にも貢献できるのです。

「最近は、大手メーカーと提携して特別デザインのベーゴマを制作・販売するなど、日三鋳造所は新たなマーケット開拓にも成功しています」(井出さん)

地域の歴史と文化を伝える川口市の拠点

川口市立郷土資料館展示
歴史的価値のある文化財が所狭しと並んでいます

郷土資料館の役割は、地域の歴史や文化を守り伝え、次世代へとつなぐことです。

川口市の発展に貢献してきた鋳物産業や地元の文化が展示され、訪れる人々にその魅力を伝えています。

「郷土資料館では、文化財の常設展示や毎年1、2回開催する企画展を通じて、地元の歴史や文化を伝える活動を行っています。川口市を知るために一番最初に訪れてほしい場所です」(出野さん)

2024年度の企画展『大熊★氏廣』で近代彫刻を学ぼう

川口市立郷土資料館
川口市の偉人コーナー(大熊氏廣)

日本最初の西洋彫刻家『大熊氏廣』に関する企画展を、2025年2月15日から開催します。

大熊氏廣は、靖国神社に設置された東京最初の西洋式銅像として知られる大村益次郎像の制作者です。

地元の偉人を取り上げることで、川口市の歴史・文化がどのように影響を与えてきたのかを学ぶことができます。

「今回の企画展は来年度と合わせた2部構成を企画しています。まずは今年度の入門編をご覧いただき、作品集から川口に生まれた近代彫刻の先駆者を知ってほしいですね。歴史を知ることで、地元により愛着を持ってもらえたら嬉しいです」(出野さん)

「大熊★氏廣 ー入門編:『大熊氏廣作品集』の世界ー」
2025年2月15日(土)〜5月11日(日) 9:30〜16:30

埋蔵文化財の展示

川口市立郷土資料館
井戸の中から出てきた500年以上前の烏帽子(左)

埋蔵文化財の展示も充実しており、縄文時代の出土品や戦争遺物など歴史を物語る貴重な品々が紹介されています。

「戦時中、川口市には3機のB-29爆撃機が墜落しました。爆撃機の破片や発掘された銃剣などを展示しています」(出野さん)

川口市には歴史的に価値のある文化財が多く残っているそうで、展示しきれない埋蔵文化財も多くあるなか、選りすぐりの展示品を公開しているのだそうです。

「木簡(紙が貴重だった時代の筆記用具)は、関東ではなかなか見られない貴重な展示物です。また、井戸の中で泥に守られて分解されずに発掘された烏帽子は全国的にみても大変珍しいです」(出野さん)

「展示を通じて、川口市の歴史がどれほど豊かであるかを伝えたいです。歴史を知ることは、未来を創る私たちにとって大切なことだと考えています」(出野さん)

未来へつなぐ川口市の歴史と文化

川口市立郷土資料館、土器
発掘された欠片をひとつひとつ洗って組み合わせて復元

郷土資料館は、歴史を学ぶ場所であると同時に、未来へ文化をつなぐ場でもあります。

特に近年は、ベーゴマを通じて、川口市の教育・地域交流の場としての役割も大きくなっていることがわかりました。

「歴史を学ぶことが未来を創ることにつながるように、ベーゴマも単なる懐かしい遊びではなく、地域の活性化や新たな文化の創造に貢献する存在となっています。川口市が『ベーゴマの町』と呼ばれるほどに、子どもたちと地域産業の未来を郷土資料館から活性させていきたいです。県内外問わず、気軽に遊びに来てください」(井出さん)

川口市立文化財センター「郷土資料館」

住所:埼玉県川口市鳩ヶ谷本町2-1-22

電話番号:048-283-3552

営業時間:9:30~16:30

休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌平日)、年末年始(12月28日~1月3日)
※その他、特別展、施設整備に伴う臨時休館あり

料金:一般100円、小・中学生50円
※障害者減額制度や、20人以上は団体割引あり

公式サイト:https://www.kawaguchi-bunkazai.jp/kyoudo/index.html

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この記事を書いた人

まな

関東在住。フリーランスでWebマーケティングサポート全般を行っています。20年以上におよぶ会社員生活で得た、さまざまな地域や人との出会いが人生の財産になっています。Mediallでは、地元や旅行先などで出会う「オンリーワン・ナンバーワン」をお伝えしていきます。

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