2021年3月から大規模改修工事を行い、2025年2月に全館オープンした横浜美術館は、観光地としても人気の「みなとみらい」にあります。
今回は、全館オープンを記念した記念展「おかえり、ヨコハマ」を取材してきたので、展示の魅力をたっぷりご紹介します!
横浜美術館とは?

横浜美術館は1989年に開館しました。
2021年3月1日に大規模改修工事のため全館休館し、2024年3月15日に横浜トリエンナーレ開催のため、一時的にオープン。
そして、2025年2月8日に全館オープンと同時にリニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」が開幕しました。
横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」開幕

横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」は、「横浜」をキーワードに美術館のコレクションに立ち返る展覧会です。
横浜は長い歴史があり、観光地としても有名な場所。
本展では、かつて横浜で暮らしていた人々が使っていた土器から現代アートまで、幅広いジャンルの作品を展示し、昔から今に繋がるような横浜の歴史をアート作品で感じられる展覧会になっています。

館内には、全館オープンに合わせて、展示を楽しむためのさまざまな工夫も。
作品の一部を切り取った図から該当する作品を探す探検カードや、こどもミッションシートなど、お子様でもアートを楽しめる取り組みがされています!
今回は筆者が特に素敵だと思った作品を紹介していきます!
絵画で知る横浜の歴史

横浜は、開港前もたくさんの人が住んでいたそう。そんな歴史を知れるのが土器や土偶です。
実際に横浜から出土されたものを展示しています。



ペリーが来日し、横浜港開港後はたくさんの外国人が訪れるようになり、海外の文化も入ってくるようになります。
そんな横浜の流れを作品を通して知ることができます。
横浜ゆかりの作品

石渡江逸は、川瀬巴水に弟子入りした版画家で、横浜や東京近郊の風景を描いていました。
横浜に住んでいた時期もあり、横浜にゆかりのある版画家と言われています。
こちらに描かれているのは横浜の風景。右の作品は現在も残る万国橋です。
現在の万国橋は1940年に制作されたコンクリート造りのものですが、絵に描かれているのは1904年に架けられた初代の万国橋です。

こちらは、眞葛焼(まくずやき)。京都出身の陶芸家、宮川香山氏が横浜に工房を構え、制作を始めたのが眞葛焼です。
眞葛焼は繊細かつ優美な魅力で外国人から人気があり、欧米諸国へ輸出されていきました。
日本人に人気な猫と繊細で美しい表現は必見です!
作品について考えてみる



本展では、お子様や美術に苦手意識がある方でも、アートを楽しめるような工夫がされています。
その一つが、作品について考えてみるための質問があったり、作品の前に座って考えられるようなスペースです。


たくさんのカードが置いてあり、お題に合うような作品を探したりなど、アートを通して新たな楽しみ方もできます!

こちらでは、東北の東日本大震災後に描いた少女の作品や、2001年に横浜美術館で開催した展覧会「奈良美智展 I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」で、横浜の子どもたちへ残したメッセージ作品を展示しています。
土器など大昔の表現から、油絵などの古典的な作品、そして有名な現代アートまで一堂に見られる展覧会はなかなかないでしょう!
コレクション展

同時開催しているコレクション展では、休館中に収蔵した新しい作品を展示しています。
《八百万の森へ》は「横浜」のために制作された作品です。
大きな作品ですが、近づいてみてみると、たくさんの動物がいたりと面白い作品です!

こちらも筆者が面白いと思ったアート作品。たくさんのキャンバスが連なり立体作品になっているのですが、絵画は平面的。
上から見ると人の絵が見えるのですが、角度を変えてみると、渦を巻いている立体作品としても見えて、新しい表現方法です。
コレクション展(じゆうエリア)

ギャラリー8、ギャラリー9でも同時にコレクション展を開催しています。
基本的に、ギャラリー8、ギャラリー9はじゆうエリアなので無料で入場可能です。

こちらは、展示テーマ「ひっくり返す・ひっくり返る」に合わせて、様々な仕掛けのある作品が展示されています。
柄澤齊の作品では、東に西の要素、西に東の要素を織り込んだ面白い作品を展示しています。
ほかにも、錯覚を使った作品で、いわゆるだまし絵で有名なエッシャーの作品も!
エッシャーの作品が3作品も見れるのは珍しいので、ぜひエッシャーの不思議な世界に浸ってみてください!



《風の道》は緑色が特徴的ですが、よく見ると黄色やピンク色が混じっています。
形も花のような、貝のような不思議な形をしていて、柔らかくも可愛らしい印象があり、様々な角度から見るとより面白い作品です!

《印象派》は、印象派の作品からインスピレーションを受けた作品。
色の重なりや透かしなどは、ガラスの特徴をうまく生かしているように感じます。
こちらも連なっている層なども含め、様々な角度から見てほしい作品です!
新しい横浜美術館でアートに触れる

大規模改修工事の後、全館オープンした横浜美術館。
横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」では、アート作品から横浜について知ることができ、さまざまな楽しみ方ができる工夫がされていました。
ほかにも、横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」に関連したギャラリートークや、新しくなった横浜美術館の建築についてのトークイベントなども開催!
同時開催のコレクション展でも、個性的な作品含め、様々な表現の現代アートを楽しむことができます。
新しくなった横浜美術館で、さまざまなアートを楽しんでみませんか?
横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
電話番号:045-221-0300(代表)
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜日、年末年始 ※「おかえり、ヨコハマ」展については3/20(木)は開館、3/21(金)は休館
観覧料:「おかえり、ヨコハマ」は一般1800(1700)円、大学生1500(1400)円、高校・中学生900(800円)、小学生以下無料※
( )内は有料20名以上の団体料金(要事前予約、美術館券売所でのみ販売)※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※休館日と料金は展覧会によって異なります。詳しくはHPの各展覧会リンク先よりご確認ください。