
「サボテンって可愛くないですか?いろいろな模様や形のサボテンがあります。こちらのサボテンはカボチャみたいで可愛いですよね」
サボテンについて熱く語るのは、滋賀県長浜市で『はっぱとトゲトゲのお店 each-one(以下、each-one)』を経営する奥村さん。元々は趣味で多肉植物を集めていたそうですが、気がつけばジャングルくらいの状態になっていることに気がつき、販売を始めることにしたといいます。
あなたも「好きなことを仕事にしたい」と考えたことがあるのではないでしょうか。『each-one』は好きなものに囲まれていたら、いつの間にか仕事になっていたという興味深い事例です。
今回は、そんなサボテン好きの奥村さんに『each-one』を開業したきっかけや具体的な取り組みについて伺いました。多肉植物好きな人も、「多肉植物ってなに?」という人も、ぜひ最後まで記事をご覧ください。
『each-one』開業のきっかけ

現在『each-one』の店舗がある場所は一般家屋としては広い土地で、建物も町工場を思わせる様相です。じつは、店舗は奥村さんの父が管理している農機具店の一部を改装して利用しているとのこと。
店舗がオープンしたのは2023年11月。それまで奥村さんは、趣味として多肉植物や観葉植物を収集していました。
「父が経営している農機具店の規模を縮小したため、『ここを使ってもいいよ』と言われたのが始まりです。持っていた植物を移動させてみたら、ジャングルのような状態になってしまいました」
当時はまだ販売を考えていなかったという奥村さん。その後、多肉植物の魅力を伝えようと考え始めたと語ります。
「多肉植物の愛好家だけでなく、初心者の方もふらっと立ち寄れるようなお店が理想です。ただ、場所がわかりづらいと言われることが多くて……」

店舗の駐車場入口には大きなアガベが設置されているため、店舗の目印になっています。こちらのアガベは生産者さんから分けていただいたもので、商品ではないとのこと。
「先日も表のアガベの価格を聞かれたのですが、『売り物ではないので値段はつけられません』と答えました。みなさん気にしていただいているようです」
大きな多肉植物は、通行人の視線を釘付けにする魅力があります。
観葉植物やデザイン豊富な鉢も販売中

『each-one』の商品は多肉植物だけでなく、観葉植物やオリジナル鉢なども販売しています。
お祝い事には見栄えのいい観葉植物を

『each-one』を訪れるお客さんのなかには、お祝いに贈るものを求めて来店される方もいらっしゃいます。そのために観葉植物も販売しているとのこと。
「どうしても多肉植物だけだと素朴な感じになってしまいます。それに、多肉植物は大きさの割に値段が高く、見栄えのよいものは高額になってしまうので、贈り物にはあまり選ばれません。ですので、大きくて見栄えのよい観葉植物もお客様のニーズに合わせて置いています」
店内を見渡してもそれほど大きな金額の多肉植物は無いように感じましたが、たしかに大きさを考慮するとかなり高額に感じるかもしれません。
「多肉植物は種類が多くて、成長速度もそれぞれ全然違います。値段の高いものは、成長速度の遅いものです。たとえばこれ。いくらだと思いますか?」
指し示された先にあったのは、鉢を含めた高さが50cm程度の「アガベ パリー」でした。特別大きい印象ではなく、高くても2~3万円程度と予想しましたが、答えは予想をはるかに超える価格とのこと。

最近では、大きめの多肉植物を庭に植栽し、ドライガーデンとして楽しんでいる人も増えているとのこと。黒色のトゲが特徴的で高級感のある「アガベ パリー」はドライガーデンの主役になるかもしれません。
狸だけではないおしゃれな信楽焼も知ってほしい

『each-one』では多肉植物に最適な鉢も販売しています。なかでも人気があるのが『信楽焼』と3Dプリンターで製造したものです。
「信楽焼というと置き物の狸やシンプルな焼き物のイメージがあるかもしれませんが、おしゃれなデザインの鉢もあって人気です。3Dプリンターで製造した鉢は形が面白いので興味を抱かれます」

信楽焼の鉢は、奥村さんが滋賀県甲賀市の信楽町まで買い付けに行っているとのこと。また、3Dプリンターで製造された鉢は近代的なイメージのデザインのものが多く、ガジェット好きの男性は好奇心をそそられるかもしれません。
多肉植物の魅力をもっと知ってもらいたい

先日は『森のハジマリ』にて寄せ植えのワークショップを開催した奥村さんですが、まだまだ多肉植物の認知度は低いと言います。
「もっと多肉植物の魅力を知ってもらいたいですね。とくにサボテンを。サボテンを好きになってもらえたら、それをきっかけにして多肉植物にも興味を持っていただけると思っています」
サボテンは種類によって模様や姿、棘の色がさまざま。また、胴切りをすると予想外の成長を見せてくれるのも魅力です。
しかし、どうして多肉植物の認知度は上がらないのでしょうか。じつは、魅力を感じても上手く育てる自信が持てず、購入を諦める人も多いことに原因がありそうです。
「多肉植物は花より育てやすいのは確かですが、きちんと管理しなければうまく育てられません。じつは、私自身も何度も失敗を経験しているので、いつでも気軽に相談してほしいです」
購入を迷っている人は、まずは相談してみてください。
『each-one』とは

多肉植物は種類が豊富です。誰一人として同じ人がいないように、植物も同じものはありません。店舗名の『each-one』には、「それぞれが個性的で可愛い」という意味が込められています。
多肉植物好きな人たちを「タニラー」と呼ぶそうです。ぜひ、あなたもお気に入りの多肉植物を見つけて、タニラーの仲間入りをしてみてはいかがでしょうか。
ショップ詳細
店休日:月・水・金(不定休)
詳細はInstagramをご確認ください。
- 公式サイト:はっぱとトゲトゲのお店 each-one
- Instagram:each_one.11

アクセス
〒529-0142 滋賀県長浜市田町98
JR北陸線虎姫駅から徒歩5分