【前編】では、泡盛酒造所である「神村酒造」の社長・中里さんから、泡盛づくりの歴史や、ビギナー向けの泡盛の楽しみ方と魅力について伺いました。
ビギナー向けの飲み方を中里さんから教えていただいたことで、筆者の頭の中にあった「泡盛はキツくて強い」というイメージは一掃! 今では、さまざまなアレンジをして楽しむようになりました。
すると今度は、神村酒造ならではの泡盛の魅力と楽しみ方も知りたくなった筆者。
【後編】では、神村酒造を代表する泡盛「暖流」「守禮」の特徴や、食事との合わせ方を中心にお伝えします!
社長が教える!泡盛の豆知識
神村酒造の泡盛の魅力を知るには、泡盛の基本的な知識を学ぶ必要があると感じた筆者。そこでまずは、日本にある他のお酒と泡盛の違いや、泡盛の基本的な知識について中里さんにお聞きしました。
泡盛と日本酒の違い
泡盛は日本酒と同様に、お米を原料としてつくるお酒。そして、その製造工程も似ていることはご存知でしょうか。
しかし、風味や香りがまったく異なるのは不思議ですよね。その秘密は、次のような原料や製造工程の違いにあります。
簡単に言うと、お米のでんぷん質を黄麹菌で糖に変え、糖を酵母でアルコールに変えて搾ったものが日本酒。
黒麹菌で糖に変え、糖を酵母でアルコールに変えて蒸留したものが泡盛だといいます。※厳密に言うと、酵母もまったく違う種類を使っているため風味に違いが出るそうです。
泡盛に使用する黒麹菌は発酵するときにクエン酸を出し、雑菌をやっつけてくれるそう。
さらに、泡盛では国産米ではなく、より水分量の少ないインディカ米を使用するため、温暖な沖縄でも腐敗しにくいそうです。
そのような原料や製造工程の違いが、風味や香りに違いを出しているとは驚きですね!
古酒とは?
古酒とは、3年以上貯蔵した泡盛のこと。沖縄では「クース」とも呼ばれます。
アルコール度数自体に定義はないそうですが、古酒と名乗るためには、容器の中身を“3年以上貯蔵した泡盛100%”にする必要があります(※ただし、泡盛には度数を45度以下にするルールがあります)。
つくりたての泡盛は飲んだ瞬間にアルコールの匂いや味も強く、ビリビリとした刺激を感じるそうです。
しかし、古酒になるとそれが一変。やさしい甘い香りを楽しめるようになるといいます。
神村酒造の泡盛のうまさは“ブレンド技術”にあり
神村酒造の暖流3年古酒40度は、令和5年度の沖縄県泡盛鑑評会で「沖縄県知事賞」と「沖縄国税事務所長賞」をW受賞しています。
これまでにこの賞を受賞した泡盛は、沖縄の伝統的な製法でつくられ10年や20年以上熟成させた古酒だったそう。
それに対し、神村酒造の暖流はウイスキー樽で熟成しているうえ、3年熟成の比較的若い古酒。そのため、暖流の受賞は泡盛業界の快挙だったそうです。
神村酒造が目指すのは「泡盛で人々の生活を豊かにすること」。そのため、熟成年数が若くても美味しく、より多くの人が手に取りやすい価格の泡盛をつくることを目指したといいます。
その目標を実現させたのが、神村酒造が培ったブレンド技術。芳醇酵母という酵母を使用してつくった泡盛や、様々な熟成年数の古酒をブレンドすることにより、長期熟成の泡盛に負けない芳醇な香りを生み出しています。
「暖流」と「守禮」の違いを堪能できる飲み方とペアリング
神村酒造を代表する泡盛といえば「暖流」と「守禮」がありますが、その味わいと楽しみ方には、どのような違いがあるのでしょうか。
中里さんに、2商品の明確な違いと、それぞれに合った食事のペアリングについて伺いました。
圧倒的な違いは“香り”
中里さん:圧倒的な違いは「香り」ですね。暖流は蒸留後にウイスキー樽で貯蔵しているので、ウイスキーのような香りがします。
一方で、守禮には伝統的な泡盛の香りがあります。3年以上熟成させた守禮の古酒に関しては、バニリン香という甘い香りが立つのが特徴です。
筆者:たしかに。暖流はウイスキーのような芳醇な香りがしますが、守禮はふんわりとした甘い香りとスッキリした味わいを感じます。
ぜひ試したいペアリング
筆者:それぞれ、どのようなお料理と相性が良いのでしょうか。
中里さん:暖流の場合は、ウイスキー的な香りがするので洋食が合いますね。暖流SHIP30度でしたら、暖流が1に対して、炭酸を2か3の量で割った暖流のハイボール「暖ボール」にすると、ピザやパスタ、ハムやチョリソーソーセージなんかによく合います。
食後でしたら、暖流3年古酒40度のオンザロックは、カカオのきいたチョコレートと合わせると相性抜群です。
筆者:守禮はどうですか?
中里さん:守禮には、夏泡盛と冬泡盛という商品があります。夏泡盛のオンザロックやソーダ割りは、ゴーヤチャンプルーと相性がいいです。ゴーヤがなかったら、細切りにしたピーマンを塩昆布で和えてシャキシャキ感と合わせるだけで美味しいですよ。
筆者:夏泡盛は、苦味との相性がいいんですね!飲んでみましたが、ビギナーでも飲みやすい爽やかでスッキリした味わいでした。
中里さん:そうですよね。夏泡盛は、苦味のある野菜に限らず、さまざまな夏野菜料理に合うスッキリとした味わいの泡盛に仕上げています。
また、冬泡盛はおでんや煮物、鍋料理などと相性がいい、香ばしい香りとしっかりとした旨味が特徴の泡盛です。お湯割りにすると美味しいですよ。
筆者:冬泡盛は、おでんの出汁割りにしても楽しめるんですよね?
中里さん:はい。でも、出汁割りは出汁によって相性が変わってきますし、お好みもあるので、ちょっとハードルが高めです。でも、出汁と泡盛のほどよい割合をみつけると、ほっこりして落ち着きます(笑)。シメめのようなかんじですね。
“泡盛ファン”を増やすために今後チャレンジしたいこと
こんなにも、さまざまな魅力や楽しみ方ができる泡盛ですが、まだまだ沖縄県外における泡盛の味の認知度は低いようです。
最後に、泡盛ファンや暖流・守禮ファンを増やすために、中里さんがチャレンジしたいと考えていることを伺ってみました。
中里さん:これだけ大事に作ってきて、自信を持っている商品があるので、とにかく多くの方々に飲んでもらうためのイベントをして、ワイワイしたいですね!
沖縄県内だけではなく、全国でそういうイベントをしたいと思っています。やっぱり、飲んでくれるお客さんと関わるのが大好きなので。
筆者:東京でも開催してほしいです!
中里さん:実は、東京ではしょっちゅう飲み会をしているんですよ。以前は、有楽町の沖縄県アンテナショップの一角を使って、ショップ閉店後に僕がBARの店長みたいな感じで泡盛を出す「ハヤシBAR」を開催したことがあります(中里さんのお名前がハヤシさんなので、ハヤシBARなのだそう)。
こういった感じで、まず1杯飲んでもらう場があれば、泡盛の良さをもっと知ってもらえると思うんですよね。今後は、東京で200名規模の大きなイベントもやってみたいです。
筆者:私が泡盛の味の印象が変わったように、イベントを通して味を知ってもらえれば、泡盛ファンが増えそうですね!
中里さん:そうですね! 世界中に存在する“米”が原料の泡盛は、世界中に羽ばたけるお酒だと僕は思っています。だからこそ、泡盛は沖縄の基幹産業になれるだろうと期待しています。
そうなれば、沖縄に雇用が生まれて、沖縄の利益にもなってくる。まあまあ長い道のりだとは思いますが、僕は泡盛業界の規模を大きくして、沖縄を豊かにしていきたいですね。
まずは一杯飲んでみよう!
終始、「みんな知らないだけなんですよね」「1杯でも飲んでもらえたら美味しさが分かるはず」と、溢れんばかりの泡盛愛を語ってくださった中里さん。
初めは泡盛の美味しさを知らなかった筆者でしたが、暖流と守禮の美味しい飲み方を教えていただき、すっかり泡盛ファンになってしまいました。
今後は、泡盛ファンを増やすべく、全国でイベントを開催される予定だそう。泡盛に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ、神村酒造のブログからイベント情報をチェックしてみましょう!
※2024年3月23日(土)・24日(日)は、神村酒造の酒蔵にて「感謝祭」が開催される予定です。
神村酒造の暖流・守禮は、こちらのショッピングサイトからもご購入いただけます。
今回ご紹介した飲み方にチャレンジいただければ、あなたのお酒ライフがさらに充実するかもしれませんよ。
会社情報
・会社名:有限会社 神村酒造
・所在地:沖縄県うるま市石川嘉手苅570番地
・アクセス:石川ICから車で5分(県道6号線沿)
・電話:098-964-7628
※商品に関するお問い合わせは、0120-841-628まで(9:30~17:00 日曜休)
・お問い合わせメール:info@kamimura-shuzo.co.jp
・公式HP:https://kamimura-shuzo.co.jp/
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