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地域応援ブランド  |    2024.02.16

「泡盛=キツイ」は損してる!知ればきっと好きになる、酒蔵の社長が教える泡盛の楽しい始め方【前編】

泡盛=「キツイ」「強い酒」。そんなイメージを持っているお酒好きな方は、お酒ライフを少し損しているかもしれません。

お酒が大好きな筆者も、「泡盛=キツイ」と思っていたその1人。

以前にオンザロックで泡盛を飲んだ瞬間、アルコールのガツンとした感覚が喉に突き刺さり、お酒好きな筆者でも「キツイな」という印象が残ってしまったのです。

しかし今回、泡盛酒造所の社長・中里さんに泡盛の魅力をお聞きし、イメージが一変!キツイと感じてしまったのは、ビギナー向けの飲み方を知らなかったからだということに気づかされました。

本インタビュー【前編】では、泡盛の美味しさとその魅力に気づけるビギナー向けの“泡盛の正しい始め方”や、戦後の泡盛復活を支えた神村酒造がつくる泡盛「暖流」の歴史にせまります。

中里迅志さん
プロフィール:中里 迅志(なかざと はやし)
生まれも育ちも沖縄県。高校卒業後に東京都八王子市の大学へ。改めて沖縄の良さに気がつき、沖縄に戻る。奥様のご親族が経営する神村酒造に入社し、2020年に社長就任。ウイスキー樽で貯蔵した泡盛「暖流(だんりゅう)」や伝統的な製法でつくる泡盛「守禮(しゅれい)」などを製造しながら全国を飲み歩き、泡盛交流イベント等を開催して泡盛の魅力を伝え続けている。

神村酒造とは

神村酒造の空撮写真
提供:神村酒造

神村酒造は、明治15年(1882年)に神村盛真さんが創業した泡盛酒造所です。

沖縄本島中部に位置する、うるま市石川嘉手苅の緑豊かな場所で、酒造や製造工程の見学事業、神村酒造の泡盛を購入できる蔵元直売店「古酒蔵」を営んでいます。

神村酒造を代表する泡盛は、沖縄の伝統的な製法でつくられた米の甘い風味のする守禮(しゅれい)と、ウイスキー樽で貯蔵した暖流(だんりゅう)

暖流と守禮
出典:神村酒造HP

伝統製法を守りながらも、独自のブレンド技術を活かし、時代のニーズに合わせた味の開発にチャレンジしつづけています。

令和5年度には暖流3年古酒40度が沖縄県泡盛鑑評会で「沖縄県知事賞」と「沖縄国税事務所長賞」をW受賞

さらに、工場長の渡久地洋平(とぐち ようへい)さんは2023年に「泡盛ブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。

暖かいご縁をつなぐ”を会社のミッションとし、泡盛を通じて人々がつながることを大事にしています。

戦後、沖縄の泡盛離れを救った「暖流」

戦後の酒造所風景
提供:神村酒造(戦後の酒造所)

今では、沖縄だけにとどまらず、全国の人々の心を癒す存在になっている神村酒造の泡盛。しかし、戦後の沖縄はアメリカの統治下にあったことで、ウイスキーやビールなどのアメリカ産のお酒が好まれるようになり、泡盛離れが進んだ時期もあったそうです。

さらに、戦後は原料不足や資金不足で、十分に熟成ができない泡盛を製造せざるを得ない苦しい時代を経験。かつての美味しい泡盛の味を知っている沖縄の人々には「泡盛は美味しくないお酒」というイメージが定着してしまい、沖縄の泡盛離れがさらに進んでしまったそうです。

戦後の酒造風景
提供:神村酒造(戦後の酒造風景)

そんな苦しい時代の中、3代目の神村盛英さんは「どうにか泡盛を飲ませたい」という強い想いを持ち、「飲まれているウイスキーと飲ませたい泡盛の良さを兼ね備えた泡盛を作ったらどうか」と考えます。

ウイスキー樽
出典:神村酒造HP

構想から商品開発まで10年がかりで1968年(昭和43年)に暖流(だんりゅう)が誕生。ウイスキー樽で貯蔵するという革新的な泡盛「暖流」を飲んだ沖縄の人々は、「これ何?美味しいね」と驚いたそう。沖縄の泡盛ニーズは徐々に回復し、暖流は沖縄の泡盛離れを救ったのでした。

「泡盛=キツイ」を覆す美味しい飲み方は、“割り方”と“酒器選び”にアリ!

お湯割りと水割り

人って、美味しいと思えば飲み始めてくれるので、美味しいと思ってもらえるきっかけをどう作るかが大切なんだと思います」と語る中里さん。

「ならば!」と、まだ泡盛の美味しさを知らない読者の方々へその魅力を知ってもらうべく、中里さんからビギナー向けの「泡盛の美味しい飲み方」を徹底的にお聞きすることにしました。

食中に飲むなら“10度”になるように割るのがおすすめ

筆者:泡盛ビギナーの方には、どのような飲み方がおすすめですか?

中里さん:まず、食事をしながら飲みたい場合は、絶対的にやってほしいのが“割る”ことですね。

筆者:え! そうなんですか? 泡盛はストレートで一気にクイッと飲むものだと思っていました(笑)

中里さん: いやいや、それはテキーラの飲み方です(笑)。なぜ割るかというと、基本的に食べながら飲むお酒ってアルコール度数が10度以下なんですよ。ビールや酎ハイもそうですし、日本酒やワインも15度くらいでしょ。

筆者:そういえば、そうですね!

中里さん:どうしても、「泡盛=キツイお酒」というイメージがあるので、そのイメージをなくすためにも、水割りお湯割りにしたり、ハイボールが好きな人は炭酸で割ったりするのがおすすめです。

暖流3年古酒は40度あるので、「お酒1」に対して「水を3」入れれば大体10度くらいに仕上がるんですよ。30度の泡盛でしたら1:2ですね。

筆者:水やお湯で割ると、泡盛の印象はどう変わるんでしょうか。

中里さん:飲んだ時に「え、強い!」という印象がなくなります

筆者:(実際に飲んでみた筆者)確かに! アルコールの強い刺激が取れて、食事の味を邪魔しない程度に泡盛の甘い香りを楽しめますね。

無限の可能性を秘めた、泡盛のアレンジ方法

神村酒造には、女性スタッフが泡盛をおいしく飲む方法フードペアリングを紹介するInstagramアカウント「あわもり女子」があります。

こちらのアカウントを参考にすると、泡盛の無限の可能性を感じられますよ!

あわもり女子Instagram
出典:あわもり女子Instagram

例えば、こちらの「泡盛×シークワーサージュレカクテル」は、見た目もおしゃれな女性向けのアレンジ。泡盛と炭酸水にシークワーサージュレを混ぜ、氷の代わりにフローズンパインを使ったカクテルです。

その他にも、ホットココアに泡盛を合わせたホットココアマッシュや、泡盛とバナナシェイクを合わせたデザート酒など、目から鱗のさまざまなアレンジ方法を紹介しています。

こういった楽しみ方を知れば、女子会も盛り上がりそうですね!

酒器にも気を配れば、度数が高めでも飲みやすくなる

中里さん:泡盛の味わいの魅力がわかってきたら、オンザロックやストレートで飲める人も出てくると思いますが、酒器にもこだわると飲みやすくなりますよ

筆者:そうなんですね。でも、それはどうしてですか?

中里さん:大きなグラスで飲むのと、お猪口で飲むのとでは、口に入ってくるお酒の量が変わるからです。日本酒用の小さなお猪口くらいの大きさがおすすめですね。 

筆者:なるほど。

中里さん:というのも、日本酒の飲み方と泡盛の飲み方は違うんですよね。日本酒はアミノ酸や糖質を感じながらゴクっと飲むんですが、泡盛のような蒸留酒は口の中に広げて香りの余韻を楽しむお酒なんです。

ですから、日本酒と同じような飲み方を度数の高いままの泡盛でしてしまうと、嫌いになってしまうんですよね。

筆者:わたしはウイスキーグラスで飲んでいました(笑)。これからは、日本酒用の小さなお猪口に入れて、口の中でよく味わってから飲んでみようと思います!

泡盛は経済的で、体型を気にする女性にもおすすめ!

お酒を飲む女性

泡盛の魅力は、豊かな香りや、さまざまなアレンジを楽しめる点だけではありません。中里さんがおっしゃる、泡盛のお財布と健康にやさしい点とは?

泡盛は実はとっても経済的なお酒だった

中里さん:日本酒やワインを飲んでいる人の中には、泡盛も早く飲まないといけないと思っている人が実は多いんです。

筆者:はい! わたしも思っていました!

中里さん:泡盛を1本買っても「こんなに強いお酒、すぐに飲みきれないよ」と思っている人が多いんです。ですが、泡盛のような蒸留酒は水とアルコールがメインのお酒なので、常温保存をしても劣化しないんですよ。

だから、瓶の底に2センチしか入っていない状態のまま常温で10年間置いたとしても、劣化しないんです。

筆者:え! そうなんですか? ということは、急いで飲まなくてもいいんですね。泡盛は度数が高いですから、色んな飲み物で割れば少しずつ長く楽しめて経済的ですね。

夏泡盛と冬泡盛

中里さん:そうなんですよ。皆さん知らないだけなんですよね。だから、泡盛マニアの人の中には、泡盛を買ってもすぐ飲まずに、わざと置いておく人もいるんですよ。

筆者:どうしてですか?

中里さん:何をしてるかって、自分で貯蔵してるんですよ(笑)。泡盛は長く置けば置くほど熟成して美味しくなるお酒で、瓶の中でも美味しくなるんですよ。

筆者:自家熟成して楽しんでるんですね! 熟成して、自分だけの好みの味わいの泡盛をつくる楽しみもあるとは…。泡盛って奥深いお酒ですね。

泡盛が女性にやさしい理由

中里さん:その他にも、泡盛のような蒸留酒は体型を気にする方にも飲みやすいお酒です。というのも、蒸留酒は糖質やプリン体がゼロなんですよね。

筆者:え!そうなんですか!それも、アルコールと水でできた蒸留酒だからなんですね。お酒は太るイメージがあるので女性はちょっと気にしがちですが、糖質やプリン体がゼロなら安心ですね。

中里さん:そうなんですよ。食事の食べ過ぎには注意しないといけないですけどね(笑)。

【前編】では、神村酒造の歴史や、社長の中里さんから泡盛の楽しみ方や魅力を伺いました。

【後編】では、神村酒造の代表的な泡盛「暖流」「守禮」とお料理のペアリングや、神村酒造が今後チャレンジしたい取り組みについてお伝えしますので、お楽しみに!

有限会社 神村酒造

・所在地:沖縄県うるま市石川嘉手苅570番地
・アクセス:石川ICから車で5分(県道6号線沿)
・電話:098-964-7628
 ※商品に関するお問い合わせは、0120-841-628まで(9:30~17:00 日曜休)
・お問い合わせメール:info@kamimura-shuzo.co.jp
・公式HP:https://kamimura-shuzo.co.jp/
・公式Instagram:https://www.instagram.com/kamimurashuzo/
・公式YouTube:https://www.youtube.com/@kamimurashuzo

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有限会社 神村酒造

神村酒造は、1882年創業の沖縄県うるま市にある泡盛酒造所です。戦後の泡盛離れを救った「暖流」や伝統的製法の「守禮」が代表銘柄です。独自のブレンド技術を活かし、時代のニーズに合わせた味の開発に挑戦し続けています。2023年には工場長が「泡盛ブレンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。"暖かいご縁をつなぐ"をミッションとし、泡盛を通じて人々がつながることを大切にしています。見学や直売店も運営しており、泡盛の魅力を広く伝える活動も行っています。

この記事を書いた人

髙橋 ユミエ

取材・SEOライティングをする30代フリーライター(2児の母)。雑誌サイゾーのWebメディア『Wezzy』・Webメディア『東京フリーランス』など、数々のメディアで執筆。 結婚と同時に引っ越してきた東京都東久留米市の住み心地の良さに魅了され、実家よりも大好きな土地に。東久留米市を中心に、その周辺地域や家族で訪れた場所の魅力を発信します!

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