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もの・こと  |    2025.10.24

「北浦和をもっと楽しい町に」たった一人の思いから始まったイベント『ボンフェス』の歩み【前編】

「私の町をもっと楽しいところにしたい!」という、たった一人の熱い思いは少しずつ周囲へと広がっていき、大きくつながる「輪」へと成長していきました。

今年で17年目になる、北浦和の個人店が出店するイベント『ボンフェス』。

これまでの歩みを、主催者の世古口まりかさんにお伺いしました。

北浦和という町を楽しい場所にしたい!

「北浦和の町へ越してきて、感じたことがありました。それは、『活気がないな』『住んでいる人の笑顔が少ないな』ということ。老若男女、いろんな人たちが住んでいたけれど、受ける印象は同じでした。どうしたらいいんだろう?と考えた結果、町が楽しいところになることで笑顔が増えるんじゃないかと思いつき、イベントをしてみようと思ったんですよね」

当時、子育て中の主婦だったまりかさんは、そのアイデアを友人である田中あやさんに話します。そこで、あやさんの店舗『orange blossom(オレンジブロッサム) 爪+』でイベントを開催することになりました。

イベント初期開催の様子(中央に田中あやさん) 画像提供:世古口まりかさん

それが『ボンフェス』の始まりです。

「その時はまだ、『ボンフェス』という名前じゃなかったんですよ。『わたしたちにできること』と名付けていました」

『ボンフェス』が『わたしたちにできること』というイベント名だった頃のチラシ

まさに、「わたしたちができること」からスタートしたまりかさんとあやさんでした。

7店舗が参加!第1回目の『ボンフェス』

第1回の『ボンフェス』は『オレンジブロッサム』に7店舗が集まって参加するスタイル。まりかさんも出店されたそうです。

「何をしたらいいか、色々考えて…。ガレージセールをしたり、風呂敷に手形をつけて作品作りをするというワークショップを考えてやってみました。色々と試行錯誤しましたね」

ワークショップを開催するまりかさん 画像提供:世古口まりかさん

小さな子どもから大人までが集まった第1回目のイベントを終え、手応えを感じたまりかさんは、翌年もイベントを開催することを決意しました。

『ボンフェス』という名前の由来

途中から、イベント名が『ボンフェス』に変わりました。この名前には意味があります。

「“bond”というのは、英語で“つながる”という意味。そして、フランス語で“楽しい”という意味の“bon”。とにかく楽しさが大事ってことです! 楽しいことをすることで、人がつながっていってくれればいいな。そう思って続けているから」

そう話すまりかさんは、実に楽しそう。まるで文化祭当日を楽しみに待つ学生のように、キラキラと輝いています。

そのフレッシュな思いを17年持ち続けていることに、感動すら覚える私です。

チラシは手書き!アナログにこだわる理由

「今年も、チラシを手書きで作りました! イベントに関わる人たちから『デジタルで作ろうか?』『QRコードをつけようか?』と、優しく手を差し伸べてもらうんですけどね。でも、手書きで作りたいんですよねぇ」

全て手書きで作られているイベントのチラシ

「手書きならではの“温かみ”とか、インクの匂いとか…。アナログだからこそ感じる良さというか。それに、手書きで一発で書くときの緊張感とか(笑)。あやさんとふたりで表と裏をそれぞれ担当するんですけれど、これを書くと『今年もやるぞ〜!』というスイッチが入るんですよ!」

そう話すまりかさんは、今年も手書きのチラシを完成させ、地域のコミュニティセンターで5,000枚を印刷。センターの職員さんに一枚2円の代金を支払うときに「1万円って出てますけど、本当にそんなに印刷しましたか?」と、びっくりされたのだそう。

「今、そんなに大量の印刷物を作る人はいないんでしょうね。でも、そんなやりとりが職員の人とできるのも楽しかったりするんですよ」

まりかさんは、その場で刷りたてのチラシを職員の人に渡したのだそうです。

「このチラシを今年の出店店舗さんに置いてもらって、あとは店頭にそれぞれの出店内容を記したチラシを掲示してもらって。それで、事前の準備がひとつ終わります」

今年、59店舗が参加する『ボンフェス』。その主催者であるまりかさんの収益はゼロ。ボランティアで全ての仕事を遂行するまりかさん。

それは、ひとえに「北浦和を楽しい町にしたい」からです。

17回目を迎える『ボンフェス』。7店舗だった参加店舗は、今や59店舗となり、約8倍もの大所帯となりました。

A4のチラシには、ぎっしりと店舗紹介が書き込まれています。

「店舗が増えたから、そろそろA4で書くのは限界かもしれないですね」と、茶目っ気たっぷりに笑うまりかさんです。

16年という長い時間をかけて、北浦和の町に「笑顔の輪」を広げてきた『ボンフェス』。
その中心には主催者・世古口まりかさんの変わらぬ情熱と、人とのつながりを大切にする想いがありました。

後編では、そんな『ボンフェス』を支える地元個人店の歴史や、まりかさんが思い描く“これからの北浦和”についてお話を伺います。

後編はこちら

後編はこちら

「北浦和をもっと楽しい町に」たった一人の思いから始まったイベント『ボンフェス』17年のつながり【後編】

イベント情報

ボンフェス vol.17

主催:一般社団法人LO&PE365
代表:世古口まりか
副代表:田中あや

問い合わせ:090-1263-8805

当イベントは、参加店の売上金の10%を「3.11甲状腺がん子ども基金」へ寄付することに賛同し、参加していただくことにより開催しています。

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この記事を書いた人

はる

さいたま市在住の取材ライター。地元民だからこそ知り得る、個人店やマルシェ等のイベントをこれまでに200ヶ所以上訪れる。地元民でも意外と知らない「ヒト・モノ・スポット」をお届けします。趣味は「ひとり呑み」「カフェ巡り」お酒とコーヒーが私をこよなく幸せにしてくれます。

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