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もの・こと  |    2026.02.19

【福岡・警固】弁護士たちが居場所「イルタテエ」を作った理由|いじめ・自傷・DVに悩む若者を救う

天神の警固公園の一角。そこには、学校や家庭で居場所を失った若者たちが集まる場所があります。ドラムやギターの音が響き、ボードゲームを囲む。その「イルタテエ」を立ち上げたのは、現役の弁護士を含む有志の仲間たちです。

なぜ法律の専門家が、公園で子どもたちと向き合っているのか。その真意について、弁護士であり、NPO法人イルタテエの理事長も務める後藤富和さんに伺いました。

きっかけは中学校でのPTA改革

きっかけは、地元の中学校でPTA会長を務めたことだったそうです。そこで目にしたのは、強制的な委員会活動や、時代にそぐわない理不尽な決まりの数々。「こんなにきつい、近代的な社会とは思えない組織がまだあったのか」と衝撃を受けたといいます。

「やりたい人が集まればいい。強制ではなく自由参加に

そう声を上げ、PTAを「任意加入」へと改革しました。この取り組みは全国的にも注目されましたが、同時に、学校という組織が抱える「決まりは絶対」「黙って従え」という強固な空気感、そしてその中で押しつぶされる子どもたちの人権を痛感することになったのです。

「決まりを疑う」のが弁護士の仕事

「ポニーテール禁止」「スカートの長さを男性教師が測る」
学校には今も、目的の不明な校則が溢れています。

「日本国憲法の肝は、理不尽な決まりに対して声を上げ、変えていくこと。でも学校では『とにかく守れ』と教えられます。疑問を持った生徒が先生に理由を聞いても、納得のいく答えは返ってこない。それはとてもおかしいことです」

弁護士の仕事は、単に決まりを守ることではありません。「その決まりは、何のためにあるのか?」と目的を問い、手段が不適切であれば疑い、戦うこと。その信念が、学校問題やいじめに悩む親子を救う活動の軸となっています。

「非行」が減り、「自傷」が増えた。子どもたちの異変

かつての子どもたちは、暴走や喧嘩など「外」に向かってエネルギーを発散していました。しかし、弁護士として活動する中で、後藤さんはある変化に気づきます。

「今の少年事件は激減しています。でも、子どもたちが幸せになったわけではない。エネルギーが『自分を傷つける方向(自傷や自殺未遂)』に向かっているんです」

表面化する事件に対処するだけでは、根本的な解決にはなりません。彼らが自分を傷つけなくて済む場所、大人を信じられる場所が必要だと考え、たどり着いたのが「公園でドラムを叩く」ことでした。

「ドラムに興味を持った子が遠巻きに見ていたり、寄ってきたりする。それが最初の接点になります」
そうして少しずつ打ち解けていくうちに、彼らはポロっと心の内を明かしてくれるのだそうです。

「おにぎり」を知らない子どもたち

活動の中で、時に「彼らがどれほど多くのものから切り離されてきたか」を痛感する瞬間に直面します。

例えば、大学生の友達が一人もおらず「大学へ行く」という選択肢が最初から存在しない環境。あるいは、コンビニのおにぎりしか知らず、誰かが自分のために握ってくれた温かい『おにぎり』という存在が、生活の実感として結びつかない。そんな日常を生きている子が実際にいます。

これは、その子たちの問題ではありません。家庭や地域という安全網からこぼれ落ち、「当たり前の日常」や「未来の選択肢」を、社会が彼らから奪ってしまった結果なのではないでしょうか。

一方で、大学生という肩書きを持っていても、キャンパスの中で孤独に押しつぶされ、ここへ辿り着く子もいます。

彼らに必要なのは、同情でもレッテルでもありません。公園で共に過ごし、おにぎりを食べ、語り合う。そんな「奪われてきた当たり前」を取り戻すための、ささやかな繋がりなのです。

心のケアから生活基盤まで解決する、専門家チーム

「イルタテエ」の役割は、ただ話を聞くだけではありません。

弁護士だけでなく、性の問題に寄り添うカウンセラーや、安全に暮らせる住まいを確保する不動産業者など、各分野の専門家が協力。法的なトラブル解決から生活基盤の確保まで、多面的に若者たちを支えています。

ただ寄り添うだけでなく、法的・社会的な手段を駆使して「明日を生きるための実利」を提供する。それが「イルタテエ」の強みです。

あなたの500円が、子どもたちの「明日」になる

現在、「イルタテエ」は福岡市内の3箇所で活動を続けていますが、その運営はボランティアと寄付に支えられています。

子どもたちの食事代、夜を過ごす場所を確保するための費用。そして、彼らがまた一歩踏み出すための教育支援。これらを維持し、広げていくためには、皆さんの協力が欠かせません。

  • 月額寄付: 500円〜(※単発の寄付も可能)
  • 支援の方法: Syncableより寄付いただけます。寄付の停止はいつでも可能です。

「決まりを疑い、理不尽なことには声を上げる。それが人権を守るということです」

誰も否定されない、安心して過ごせる場所を守るために。まずは活動を知り、支援の輪に加わってみませんか。

お問い合わせ

学校問題やいじめ、生活に関するご相談は、以下の窓口で受け付けています。

【寄付はこちらから】
Syncable「イルタテエ」支援ページ ※500円から簡単にご寄付いただけます。

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この記事を書いた人

Tamao

生まれも育ちも福岡の、福岡県在住ライターです。 元銀行員 → 元看護師 → 現在はフリーライターという、少しユニークなキャリアを歩んできました。 地元・福岡の魅力を、生活者の目線から丁寧にお届けします♪

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