毎年夏に滋賀県彦根市の琵琶湖で行われる「鳥人間コンテスト」。2025年大会の人力プロペラ機部門で、結成20年目にして悲願の初優勝を飾ったのが大阪大学飛行機制作研究会albatross(アルバトロス)です。

本記事では、albatrossの普段の活動内容から、鳥人間コンテスト初優勝を達成した舞台裏や、今年7月25・26日に行われる「第48回鳥人間コンテスト2026」への出場を控えた今の心境などについて、インタビューも交えながらご紹介します。
大阪大学飛行機制作研究会albatrossって?
大阪府吹田市内にある大阪大学吹田キャンパスで活動している大学公認サークルです。部員71名(2026年6月現在)が、制作部位やポジションごとに翼班・フレーム班・プロペラ班・電装班・駆動班・フェアリング班・パイロット班の7班に分かれて活動しています。
班によって活動頻度は異なりますが、忙しい時期は毎日集まることも。新機体の設計を詰めていく秋ごろから、コンテスト出場の申請や最初のテストフライトをする春頃までが特に忙しい時期。パイロット班は体力作りが必須となるため、自転車部との兼部をしているメンバーもいるそうです。

albatrossの歴史
大阪大学飛行機制作研究会albatrossは、2005年に「鳥人間コンテスト」滑空機部門への出場と優勝を目指して設立されました。2012年からは人力プロペラ機部門へと移行し、2013年には世界初となる「人力無尾翼機(尾翼を持たない人力飛行機)の定常飛行」に成功。その後も人力無尾翼機への挑戦を続けていましたが、さらに記録を伸ばすため2023年に尾翼機の制作へと方針を転換しました。
「鳥人間コンテスト2025」人力プロペラ機部門では、前年のチーム記録である3930mを大幅に更新した15,473.51mという記録で初優勝を飾り、彦根市長賞もあわせて受賞するという快挙を成し遂げました。
制作は自分たちで
albatrossでは、外注する一部のパーツを除き、基本的には機体の設計から制作まで全てを自分たちの手で担っています。

コンテストに出場した機体は着水の際に壊れてしまうため、1年でその役目を終えます。パイロットの体格に合わせるためにも毎年新しい機体を作る必要があり、制作はスケジュールとの勝負。忙しい時には徹夜で作業することもあるそうです。

機体は、過去のフライトデータや先輩たちの資料などを参考にしながらも、常に新たなブラッシュアップが求められます。軽さと強度(安全性)を両立させることが永遠の課題だといいます。
資金面での難しさも
機体の制作や修理にかかる費用は約300万円。テストフライト(試験飛行)では県外まで遠征に行く必要があり、大学からの助成金や会費、OB・OGからの寄付、コンテストの賞金などを活用しても不足する年もあり、活動継続への目下の課題となっています。
資金面をクリアするためには、より多くの方に知ってもらい、応援してもらうことが不可欠。コンテスト自体の知名度はあっても、大阪大学飛行機制作研究会が活動・出場していることはまだまだ知られていない現状があります。

大阪大学では、未来基金によりさまざまな活動への寄付を受け付けています。albatrossへの寄付はこちらのページから行うことができます。
albatross19期代表インタビュー

ここからは、普段の活動の様子やコンテストにかける想いなどについて、albatross19期代表で工学部3年生の古橋功誠さんにうかがいました。
普段の活動の様子

――部員の所属学部は?
(古橋さん、以下同)工学部が多いですが、2026年は経済学部の新入生もいるなど、コンテストの出場が続いていることが新入部員の増加にもつながっていると感じます。基礎工学部など豊中キャンパスから通っている部員もいます。
――普段の活動の雰囲気は?
楽しみながらも真剣にやるときはやる、という感じです。
――メリハリをつけて活動されているのですね。制作する中で、班や部員同士で意見がぶつかることもありますか?
意見が食い違うこともありますが、その都度話し合い、どちらかが引く形で前に進むことが多いです。
――繁忙期はかなり忙しいとお聞きしましたが、学業との両立は皆さんどうされているのでしょうか?
単位取得が難しいと言われる大阪大学ですが、頑張っている人は両立していますし、できていない人はサークルがなくてもおそらく難しいのかなと。結局人によるのかなと思います(笑)。
「鳥人間コンテスト」連覇への挑戦

――2025年の鳥人間コンテストでは、人力プロペラ機部門で初優勝かつ前年のチーム記録を大幅に更新されました。結成から20年間積み重ねてきた歴史とノウハウを生かしつつ、無尾翼機からの転換などの新たな挑戦が実を結んだ結果だと思いますが、皆さんの考える勝因や、新たな挑戦についてお聞きしたいです。
2025年の勝因としては、パイロットの体格や持久力の強さに加え、操縦方式を変えるなど前年の課題点を一つずつクリアし制作に生かしたことが結果につながったのかなと思います。
機体制作では、過去のデータや経験をもとに、より良くするためはどうすれば良いかを常に考えながら新しい挑戦も取り入れています。これまで積み上げてきたものを引き継いでいくだけでなく、変えるべきところは変えていかないといけないと感じています。
――2026年の鳥人間コンテストはディフェンディングチャンピオンとしての出場となりますが、率直な今の心境やコンテストへの意気込み、注目してほしいポイントなどをお聞きしたいです。
プレッシャーはもちろんありますが、まず20km飛ぶこと、そして人力プロペラ機部門での連覇を目指しています!2026年の機体は、特に軽量化に力を入れ、見た目にもスマートなかっこいい機体に仕上がっているので、そこにもぜひ注目して見てもらえたらと思います。

応援が力になる
――目覚ましい活躍の一方で、地域ではまだあまり認知度が高くない現状があるように思います。さらに地域の方に知ってもらい応援に繋がれば素敵だと感じますが、そのあたりを踏まえて今後取り組んでみたいことなどはありますか?
直近では、吹田市内の千里ニュータウン情報館で応援展示をしていただくことになりました。ほかにも、地元の子ども達にも活動を知ってもらえるような機会が作れたら嬉しいなと思います。また、今後の課題として、テストフライトができる場所をより近くで確保できればと考えています。そのためにも地域の方達にalbatrossの活動を知ってもらい、応援していただけるよう頑張りたいです。
――古橋さんが考える人力飛行機の魅力とは?
人力で、かつ一人の力だけでプロペラを回して飛ぶ、というのが率直にかっこいいなと。飛ぶと頭では分かっていても実際にその光景を目にすると「こんなことできるんや」という感動がいつもあります。「人類の夢を形にしている」ところが魅力といえるかなと思います。
――albatrossへの入部を検討している新入生や人力飛行機の研究を夢見る子ども達、読者の方へのメッセージがあればお聞きしたいです。
ものづくりや工学、運動などそれぞれの好きなことを生かして活躍できる場所なので、ぜひ一度見学に来てみてください。応援してもらえるだけでも励みになるので、動画や配信、テレビ放送などを見て少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
おわりに
コンテスト連覇を目指しながらも、あくまで一番の目標はチーム最高記録の20km飛行を目指すこと。ライバルよりもまずは過去の自分達を超えたい、という姿が印象的でした。

一年間の制作と調整を経て、まだ見ぬ新たな景色を見るために琵琶湖の空を飛ぶ人力飛行機。乗せているのはパイロットだけでなく、部員達の、そして歴代の先輩達の夢でもあります。
伝統を引き継ぎながらも、後輩達に夢のバトンをつなぐためにalbatrossは新たな挑戦を続けます。
9月の日本テレビ系列での放送に先立ち、7月25日(土)、26日(日)のコンテスト開催日にはリアルタイムでの動画配信が予定されています。
大きなプレッシャーと期待の中、2026年のalbatrossはどのような姿を見せてくれるのか、ぜひその勇姿を見届けてください。
詳細情報
大阪大学人力飛行機制作研究会albatross
Iwataniスペシャル鳥人間コンテスト(読売テレビ制作)




