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もの・こと  |    2026.07.31

「社員が動かない」のはなぜ?識学が説く“誤解と錯覚”、そして仕組みづくり | 意識調査から見えた若い世代の仕事観にも注目 

「もっと主体的に動いてほしい」
「何度言っても同じミスを繰り返す」
「社員が育たない」

経営者や管理職であれば、一度はそんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
こうした課題に対して、多くの企業は研修や面談、モチベーション向上施策などを行います。

しかし、「誤解と錯覚」を取り除く独自理論「識学」を用いて、自走する組織づくりを支援する株式会社識学の考え方は少し異なります。
なぜなら、識学では組織のパフォーマンスを下げる大きな要因の一つを「誤解と錯覚」だと考えているからです。

2026年4月29日、福岡市で開催された「組織の造り方・変え方」では、株式会社識学 代表取締役社長の安藤広大氏が、同社独自の理論と組織づくりの考え方について語りました。

関連書籍の累計発行部数は185万部を超え、多くの企業が導入する識学。
その考え方の根底には、人の意志やモチベーションに頼るのではなく、「誤解と錯覚」を防ぐ仕組みづくりによって組織の成長を目指すという発想がありました。

識学が着目する「解と錯覚」とは

識学は、モチベーション理論ではありません。

人がどのように誤解し、どのような錯覚を起こすのか。そして、その誤解や錯覚をどのように防ぐのかを体系化した理論だということです。

安藤氏は、人はまず環境を認識し、その認識に基づいて行動すると説明します。
環境認識が正しければ望ましい行動につながりますが、認識が誤っていれば結果も変わってしまいます。

例えば、社員が「自分の役割」を正しく理解していなかったり、「誰が責任者なのか」が曖昧だったりすると、本人は一生懸命に行動していても組織全体としては成果につながりません。

識学では、こうした認識のズレが組織のパフォーマンス低下につながると考えています。
だからこそ識学では、人の意識改革よりも、誤解や錯覚が起きにくい環境づくりを重視しています。

なぜ「頑張れ」では組織は変わらないのか

今回のセミナーで印象に残ったのは、個人のモチベーションに期待するのではなく、成果につながる仕組みを整えるという考え方でした。

私たちは何か失敗すると、
「次から気を付けよう」
「もっと頑張ろう」
と考えがちです。

しかし、その決意だけで行動が変わり続ける人は多くありません。

例えば運動不足を解消したいときも、「頑張って運動しよう」と決意するだけでは長続きしないことがあります。
むしろ、運動する時間を予定に組み込むなど、続けやすい環境を整えた方が習慣化しやすいものです。

識学が重視するのも、個人の意志の強さではなく、行動しやすい環境づくりです。

自走する組織をつくる5つの仕組み

識学が目指しているのは、「自走する組織」です。
社長や管理職が常に現場へ行き、細かく指示を出さなくても組織が成果を生み続ける状態を指します。

そのために識学では、主に以下の5つの仕組みを整備していきます。

  • 姿勢のルール
  • 組織図
  • 週次会議
  • 評価制度
  • 競争環境

まず重視するのが「姿勢のルール」です。
識学では、社員一人ひとりが「自分は会社の一員である」という認識を持つことが組織運営の前提だと考えています。

会社と自分を切り離して考えるようになると、組織全体の方向性を揃えることが難しくなるためです。
そのうえで組織図によって役割や責任、権限を明確にし、週次会議や評価制度、競争環境を機能させていきます。

なかでも印象的だったのが、「責任と権限」の考え方です。
識学では、責任と権限は一致していなければならないと考えます。
責任だけ与えて権限を与えない状態も問題ですが、逆に責任を負わずに発言権だけが大きい状態も問題です。

また、上司が部下の仕事に過度に介入すると、本来は部下の責任である領域に上司が入り込むことになります。

すると部下は、
「上司も関わっていたので」
「自分だけの責任ではないので」
と考えやすくなります。

安藤氏は、部下が言い訳できる環境では成長は望めないと指摘しました。

責任範囲を明確にし、その責任を果たすための権限も与えることが、人材育成につながるというのが識学の考え方です。

会議は報告の場ではなく「約束の場」

識学が重視する仕組みの一つが週次会議です。

多くの企業では、
「こんなに電話しました」
「こんなに訪問しました」
といった活動報告が行われています。

しかし識学では、それを「頑張ったこと報告会」と捉え、結果につながる行動変化が生まれにくい状態だと指摘します。

重要なのは、過去ではなく未来です。
来週どのような結果を出すのか。
そのために何を変えるのか。

識学では、会議を「結果を約束する場所」と定義しています。

また、会議の中でよく聞かれる
「意識します」
「頑張ります」
という言葉も評価しません。

必要なのは具体的な行動変化だからです。
結果を出すために何を変えるのかを明確にし、その約束を積み重ねることが成長につながります。

評価制度が成長を後押しする理由

識学の考え方の中で、賛否が分かれそうだと感じたのが評価制度でした。
評価制度もまた、識学らしさが色濃く表れるポイントの一つです。

識学では、マイナス評価を明確にすることを重視しています。
安藤氏はこれを「必要な恐怖」と表現しました。

人は危険を回避するために恐怖という機能を持っています。
ところが、会社の中では、自分が成長できていないことや求められる水準に達していないことに気付けない場合があります。

そのまま何年も過ごし、ある日突然「会社の業績が悪いので退職してください」と言われる方が残酷ではないか。
だからこそ、今の状態を明確に示し、変わるべきタイミングで変われるようにする仕組みが必要だというのです。

また、評価基準が明確になることで、「何を目指せばよいのか」「どの方向に努力すれば成果につながるのか」が分かりやすくなります。
社員が迷わず成果を出せる環境をつくることも、評価制度の役割の一つだということです。

ここでも、人を変えようとするのではなく、成果を出しやすい仕組みを整えるという識学の考え方が貫かれていました。

調査から見えた若い世代の仕事への意識

株式会社識学では、2026年2月に20〜50代の正社員1,000人を対象に、「ワークライフ“ニュー”バランス」に関する意識調査を実施しました。(※)

調査では、約7割の人が「人生には仕事を優先すべき勝負時がある」と回答しています。特に20代男性でその割合が最も高く、女性でも20代、30代が高い結果となりました。

この結果から見えてくるのは、若い世代が単に「楽な働き方」を求めているわけではないということです。
自分の成長や将来のためであれば、努力を惜しまないと考える人も少なくありません。

識学では、若い世代に対する経営側の思い込みや先入観が、責任ある仕事を任せる機会を減らし、力を発揮するチャンスを奪ってしまう場合もあるとしています。
だからこそ、役割や責任を明確にし、一人ひとりが成果を出しながら成長できる環境を整えることが大切だとしています。

一方で、仕事そのものに対する考え方にも興味深い結果が見られました。
仕事で成果が出ているとき、75.1%の人が「私生活にも良い影響がある」と回答しました。
さらに、「働くことは人生をより豊かにするための原資になる」という考えにも73.7%が共感しています。

仕事と私生活は対立するものではなく、仕事で得た成果が人生全体を豊かにするものと捉える人が多いことがうかがえます。

※調査概要
調査機関:株式会社識学
調査対象:20歳~59歳の会社員(正社員)/従業員数10人以上の会社に勤務している
有効回答数:有効回答者数…1,000サンプル(内訳:管理監督者:500s・非管理監督者:500s)
調査期間:2026年2月5日(木)~7日(土)
調査方法:インターネット調査

人を変えるのではなく、仕組みを変える

今回のセミナーを通して感じたのは、識学が目指しているのは、人の頑張りや気合いに頼るのではなく、仕組みによって成果を生み出せる組織づくりだということです。

誤解や錯覚が起きにくい環境を整え、責任や役割を明確にすることで、社員一人ひとりが力を発揮しやすい状態をつくる。
その積み重ねが、組織全体の成長につながるという考え方は、多くの経営者にとって新たな視点になるかもしれません。

社員が動かないのは、本人の問題なのか、それとも組織の仕組みの問題なのか。

組織づくりに悩む経営者にとって、その問いを改めて考えるきっかけとなるセミナーでした。

会社情報

株式会社識学

住所:〒141-0032
東京都品川区大崎2-9-3 大崎ウエストシティビル1階

公式HP:https://corp.shikigaku.jp/

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この記事を書いた人

副島 かよこ

徳島出身、佐賀在住のフリーライター。 「コトバを編みココロ届ける取材ライター」として愛用のCanon EOS Kiss X7と一緒に、さまざまな取材をしています。クラウドファンディングをしたい方に取材をして、クラファン本文も執筆。今まで執筆したクラファンの総支援額は1800万円・支援者数1600名以上です。 佐賀は知名度が低いですが、住んでみるととても住みやすい場所。そんな佐賀の魅力を発信していきます! 夫とセキセイインコの雨、ウロコインコの晴と一緒に暮らしています。 WEBライター検定1級|メンタル心理カウンセラー|ボイジャータロット国際認定ティーチャー

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