前編では、「きんじょの本棚」のおまつりの様子と、取り組みのはじまりをきんじょうさんにお聞きしました。
後編では、このコロナ禍で毎年80店も出店が増えている本棚の謎について触れます。
おまつりに来た店主さんたちに、きんじょの本棚の実情を突撃インタビュー。
バラエティに富む本棚の店主さん
どんな方が、本棚の店主さんになっているのでしょうか。
本棚を設置したきっかけなどを聞いてみました。
のづたやくしどう店さん(野津田薬師堂の副住職さん)
のづたやくしどう店さん「きっかけは本棚を設置しないかと知人に誘われたことです。ちょうど学習机を処分しようしていたので、本棚として再利用しました。
それに、読み終わった本を貸し出すのはいいなと思って。本棚を設置してみたら、お散歩の人とかが借りてくれているみたいです。
私の場合は、店主どうしの自主的なイベントやミーティングに参加するのが楽しいですね。今まで出会えなかった人と知り合いになれるので、世界が広がりました」
副住職さんは、今ではきんじょの本棚の取り組みに賛同し、お寺の境内をおまつりに貸してくれるほど積極的です。
絲子店さん
絲子店さん「町田の玉川学園に遊びに行ったお店で本棚に出会ったのがきっかけです。本棚の設置は簡単にできると人づてに聞いて、自分もやってみたいと思って。自宅の外に本棚を設置しています」
絲子店さん「本棚に読書用のノートを置いておくんです。そうすると、近所のお子さんが感想などを書いてくれて、交換ノートを書いているような感覚になっています。
もっと早くに本棚を開けてくださいというメッセージに対して、ランドセル置いて来てね、とか。
近所の人とも挨拶だけだったのが、本好きな人とお喋りするようになって親しくなりました」
絲子店さんは、今では全国に広がっている沖縄や安曇野の本棚を訪ねるのを楽しみにしているそう。
小学4年生のHさん
Hさんは、近所のパン屋さん・なかまちパン店さんから本棚の管理を任されて、小学1年生のころからお手伝いしているそう。
Hさん「本を読むことや、小説を書くことが好きです。毎日学校から帰ってきて、本が貸し出されて少なくなったら家にある本を補充しています。
いろんな店主さんと交流できるのが楽しいです。
自分の本を他の本棚で見つけると、本が旅していると思って嬉しくなるんです」
しっかりもののHさんと、名刺交換をしました。
お父さんも、お子さんをきっかけにきんじょの本棚の活動に引き込まれて、地域の方たちとつながって楽しいそうです。
きんじょの本棚では、本棚の店主さんだけでないつながりもできています。
ふっかーさん
「本棚は持っていませんが、読書会できんじょうさんと知り合いになり、読書アドバイザーとして活動しています。
きんじょの本棚のイベントは、自分のペースで参加できるのがよいところ。それぞれ得意なことや、やりたいことを持ち寄ってできる『実験室』みたいなところなんです。
いろいろなところで読書会があるので、読書会ツーリズムができています。本のように人もシャッフルするんです」
本好きな人が、また違う形でつながるんですね。
この活動を支えている岡さんにもお話を伺いました。
きんじょの本棚番頭(事務局)・岡さん
岡さん「きんじょの本棚には会員規約などのルールがないんです。だから皆さん続けていけるんでしょうね。
本が好きな人、本棚を作るのが好きな人、本を通してのコミュニティが好きな人、イベントのときだけ参加する人など関わり方はさまざまです。皆さんいろんな楽しみ方をしてますね。
店主がそれぞれ自立して、商売ではなく自分が面白いからやっている方ばかりなんです」
まとめ
店主さんに取材をして、本棚を設置することで人とのつながりを深めている様子が伝わってきました。
強制されずに、自分がやりたいことに無理しないで参加するのが続ける秘訣なんですね。
きんじょうさんの「いろいろな店主さんがいて、それぞれの個性が本棚に表われているんですよ」という言葉が心に残ります。
玄関先に1冊だけ入る本棚に、貸出用の本を出している方もいるんだとか。
そう聞くと、自分でも気楽に参加できそうな気がします。
本を通して、今まで関わりのない地域の人との交流のきっかけになる。
ちょっとの工夫で本や人と関われる。
そのうちに本棚が広がって、日本中を当たり前のように本が旅している世界になっているかもしれませんね。
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