Mediall(メディアール)

オンリーワン・ナンバーワンをキュレーションする地方創生メディア

もの・こと  |    2024.01.31

化粧品づくり50年、美容業界のレジェンドが繰り出す処方設計「これまでの私の集大成」

前編では、美容業界のレジェンドとお呼びするにふさわしい、佐々木さんの経歴、会社員時代の活動、現在に至るまでをお伝えしました。

現時点で、美容業界の長い歴史について、貴重なお話を伺えたつもりでした。

しかし、完全にわたしが浅はかであったと痛感しております。美容業界の傾向、自作する化粧品へのこだわり、今後の展望。
どれも非常に興味深く、あっという間の取材時間でした。

後編では、以下の3点についてお話を伺っています。

  • 化粧品づくりの基本概念
  • 化粧品づくりは『何か』と共通している
  • 地元との関わり合い

楽しみながら50年間、化粧品づくりに没頭した、藤沢在住の美容業界のレジェンドから溢れ出る、仕事と化粧品への情熱を、余すことなくお伝え致します!!

ではじっくりと、ご堪能ください。

化粧品づくりの基本概念

筆者撮影。

佐々木さん

「50年もこの業界でやっていると、美容液を作るのなんて、あっという間。笑
難しいことを考えなければ。このサロンだけでつかうのであれば。処方を飾らないということを基本にして」

美容液を作ることは、佐々木さんにとっては造作もないことだとおっしゃいます。
加えて、

ささっとできて効果があることが重要」と教えて下さいました。

佐々木さん

「大手化粧品メーカーの製品には、(原料表示に)何とかエキス、何とかエキスとかいっぱい並べてある。流行りの成分を使いたいのが大手メーカー。『この成分入ってますよ』と謳い文句にしたいわけ。
大手は、ヒットしたものを踏襲するばかり。

例えば、有名なシェフとか料理人は、別に(食材や調味料を)たくさん入れないでしょ?例えれば刺し身。素材を存分に活かす料理方法じゃない?
(美容液に入れる原料として)本当に有効なものって何だ?ってやった時に、結局”酒粕エキス“と”ヒアルロン酸“(保湿成分)と肌荒れを予防する納豆菌から摂った”エンザミン“、それらだけをたっぷり入れて作り上げたのが、今回のエッセンス(美容液)。

ぐじゃぐじゃ入れるよりも基本的な原料をたっぷり入れるほうが効果的で、これにした。
これまでの”私の集大成“とした処方設計」

・・・中国の化粧品メーカーの顧問を務められた経験から、このようにおっしゃいました。

中国へ招かれた時に作られたパネル。ご家族より提供。

「色々OEM会社(自社工場を持たない会社)を見てきたけれど、配合成分が50??なんだこれは!?笑。

自分がやるだけなら、2、3の成分を測ればいいけど、(作る時に配合成分の)50個も測らないといけない。なんだこれは!?笑」

・・・藤沢市辻堂のエステサロンで使われる美容液について、佐々木さんのからのご説明は以下の通り。

「とにかく酒粕エキスを高濃度で入れる。だいたい半年くらい使えば効果は出る。(期待できる効果を)わかっているから効果が出る。だから良いと言える」

なるほど、とパッケージを拝見すると、ふと疑問が湧きました。

筆者撮影。

ーー疑問なのですが、今回のエッセンスのパッケージには、製造販売元や発売元に、社名が入っていませんよね?

佐々木さん

「ノーブランドでやっているのは、モノで勝負するため。お客様には製品そのものを使ってもらって、良いものは良いと感じてもらうのが一番。そう思ってやっている。

(だから)大量生産はできない。基本的な考え方は、有効な成分を、有効な濃度で入れて、早く効果を実感してもらいたいというのがひとつある。そして、この藤沢市辻堂のエステサロンだけで使うのを目玉とする」

化粧品づくりと共通する『何か』とは

サロンスタッフのお孫さんと、サロンで使うアイテムについて打ち合わせ。ご家族より提供。

次は、佐々木さんが続けてきた化粧品づくりと、共通するものについて。
独自の観点から、次のようにお話して下さいました。

佐々木さん

「ここ(藤沢市辻堂のサロン)では原材料を選んで、手作りでやっています。一流の料理人は自分で原料を探しに行くじゃない?人から聞くだけではなく自分で探しに行く。料理もそうだけど、自分で作って自分で使わないと良さがわからない。料理に近い。

素材をきちんと選んで、『美味いなあ』ていうのと『効く〜!!』ていうのと一緒

ーー化粧品づくりは料理に似ている、とお考えなのですね。わたしは料理を20年仕事としてまして。感覚が理解できるような気がします。

「(うんうん、と大きく頷き)面白いのがね、化粧品作ってる奴は、料理好きが多い。素材の選び方なんかは料理と一緒。

(化粧品づくりをして)労働の対価として貰いたかったのなら、(伸びしろなんか無くて)それまで。
素材、原料をチョイスして、作って。作りから洗いまでの流れが一緒なんです。そこが似ている。よく孫たちにも言ってるんですよ、『食べっぱなしで終わるな、食べたら洗え、食べたら洗え』ってね」

立ち食いそば屋なんかに行っても、その流れを眺めてるんですよ。オーダーが入って、作って、食べられて、最後洗われる。

寮住まいの時代に、おれは化粧品作ってるのに、なんで料理作ってるのかなんて思ってたけど、なんか化粧品作りに似てるなと」

ーー料理を作ることが好きだと伺い知りました。では、”食べる”としてお好きな食材はございますか?

佐々木さん

「アジ・サバなどの青魚が好き。相模湾は青魚が昔はよく釣れてた。あ、聞いたことあるの?笑。
釣りが好きでねえ、当時は寮に住んでたんだけど。休みの日に大量のアジ・サバを持って帰っては、寮母さんに『あなたそれどうするのよ』って。笑
それを刺し身なんかにして、料理をおぼえた」

・・・当時を懐かしそうに振り返りながら、続けて下さいました。

「昔はね、工場の衛生管理とかは、まあ緩かったわけで。釣ってきた魚を工場の屋上で捌いて、料理して、みんなで食ってた。料理はね、そうやって覚えたねえ」

地元との関わり合い

佐々木さんは、湘南の造り酒屋の酒粕を使うことをお考えとのこと。現在は、新潟の銘柄酒の酒粕を使用されているそうです。

佐々木さんが、大船の食堂で見かけた湘南のお酒について、わたしに質問されました。

佐々木さん

「あの(銘柄名)って酒、どこで作られているか知ってる?」

ーーああ、(銘柄名)なら、確か茅ヶ崎の造り酒屋さんだと思います。今ホームページお探ししますね。

佐々木さん

「なんてとこ??〇〇酒造さんね、へ〜!!地ビールも作ってるんだね。飲んだことあるの?〇〇スーパーでも売ってるかな??」

「それの酒粕、手に入らないかな。試しに使って作ってみたい。それだけでも違うのかなと。

将来的には『湘南の造り酒屋の酒粕』、または海でとれる『あかもく』という海藻、湘南のものを使った化粧品を作る予定。『湘南素材』でね。

『あかもく』の使い方はね、一度乾燥させて、粉末にして、そこから創り出すの」

とある日の佐々木さん。お好きであるお酒を楽しまれているご様子。ご家族より提供。

佐々木さんの頭の中では、すでに湘南素材での化粧品づくりが始まっています。
化粧品づくりは「やってて楽しい」と振り返られました。

佐々木さん

楽しくてやってる。じゃなきゃこんなに続けてないね。

(化粧品づくりの創り手としての)究極は、家でお客さんの目の前で配合して、『はい、これ。あなた専用』ていう美容液を渡したい。オンリーワンの。やりたいけど薬機法って法律があるからできないけどね。笑」

「私はね、化粧品づくりをやって名前を売りたい訳では無い。藤沢市辻堂、こういうところで静かに使って欲しい。たどり着いた販売手法だね。

今年が出発点だから、2年目には先の展望、3年後には店販。そんなこと考えてますよ。ここで働いたスタッフが独立してお店を出して、そこで販売してもらう戦略は考えてる。地元に定着させるのを目指していますよ」

自身の集大成として取り組まれている、サロンで使われるアイテム作成で感じられることを、次のように述べられました。

佐々木さん

「今の仕事ではストレスが無い。(化粧品メーカーの顧問など)他は、この世になかった成分や、目新しい成分を使って作れと言う。使ったところで配分が多いと「高い!!」と言われる。笑
それはストレス、ストレスだね。

自分で作ったものは、家族もそうだけど、自分も家で使う。自分でわからないとね。料理作って味見する。それと同じじゃないかな。

顧問をさせてもらった会社の中に、自分で工場を持たないOEM会社があるんだけど。その担当者は(配合成分が50とかある)自社のものは使わず、佐々木さんの(自作した)ものは使う、とか言われたね」

ーーそりゃそうですね。私も担当者であれば、そうすると思います。

・・・再び、”食と化粧品づくりの共通点”に話が戻ります。

佐々木さん

「日本酒、大量生産すると品質が落ちたと感じる。

(前述の使用されている酒粕とは違う銘柄酒を例に挙げ)あれは、出た当初はホントに美味かったんですよ。流通量が少なかった時代は。それが売れに売れて、今度は大量生産し始めた。そうするとね、やっぱり品質が落ちてきたんですよ。あれ、なんだろうね」

・・・大量生産に移行する過程の中で、効率を上げるために、それまでやってきた手間を端折るということが発生したのではないか。

化粧品を手作りから始める佐々木さんにとって、その銘柄酒の味の変化は、腑に落ちないご様子です。

酒粕だけでなく、お酒を楽しむのも好きな佐々木さんへの取材は、取材する側であるわたしの趣向も合い、話は尽きることはありません。

こちらも、ある日の佐々木さん。提供された料理に興味津々のご様子です。ご家族より提供。

佐々木さん

「なんかごめんね。笑
化粧品の営業なんかでは、成分がどうのこうのとか、そっちにまっすぐだけど、今日は(違う)ね。楽しいですよ。

これはまた次の機会に。酒でも飲みながら」

とおっしゃっていただけるほど、楽しく取材させていただきました。

取材を楽しそうに行う筆者。佐々木さんのご家族より提供いただきました。

では、実際に体験させていただきたく存じます

創り手である、佐々木さんのお話を存分に聞き、当然ながら佐々木さんの作られたアイテムに大きな関心を持ったわたし。

もはや、体感する以外の道は閉ざされました

取材させていただいた場所であり、佐々木さんのお嬢さん、お孫さんが働く『This is Me』

こちらでは、男性こそ美容体験して欲しいとの思いで、誰でも気軽に体験できるお試しコースを充実させているとのこと。

次回は『This is Me』での美容体験をご紹介いたします。

取材場所を提供いただき、わたしが人生初の美容体験をさせていただくのがこちらの施設

アクセス:辻堂駅北口 徒歩13分

住所:神奈川県藤沢市辻堂新町3丁目2-35

公式サイト:https://www.this-is-me.site/

記事をシェアする

この記事を書いた人

TomokazuYamaoka

湘南に移住し3年。 コミュティに馴染み、つながり、地域のオンリーワン・ナンバーワンを執筆させて頂いております。 いち早く良好なコミュニケーションを築きあげるのが得意。 "取材"の概念より、もう一歩踏み込む「ここでしか聞けない話」を記事にするのがモットーです。 太い"サーフィンつながり"は、余すことなく駆使します。 また、料理経験で舌が肥えました。 能登半島への思いを込めて、能登&加賀料理作りました。

関連記事