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もの・こと  |    2024.05.14

兵庫県加古川市|将棋ブームにも乗って地域の輪を広げる活動「棋士のまち加古川」の取り組み

神戸市と姫路市の中間に位置する加古川市は、ソウルフードの「かつめし」以外にも市民に愛されている名物があります。それは「将棋」。

将棋界では近年、藤井聡太八冠の活躍で「観る将」が新語流行語大賞にノミネートされたほど話題になり、棋士を応援するファンも全国的に増えています。

実は、加古川市は古くから将棋が盛んな地域で、関西有数の「棋士のまち」として知られており、子どもから大人まで熱心な愛好家が多く、将棋イベントや将棋教室などが各地で開かれています。

若手の指導育成に熱心な井上慶太九段をはじめ、アマチュア竜王戦を制した慶田義法アマ七段など、ゆかりのある現役プロ・アマ棋士が加古川市の将棋の発展に貢献してきました。

一般財団法人加古川市ウェルネス協会(以下、ウェルネス協会)は、市民の総合的なウェルネスに貢献する団体として、スポーツ、文化・芸術、コミュニティ活動で加古川市や地元の企業と協力し、地域活性化を目指してさまざまな活動に取り組んでいます。特に力を入れているのが、この将棋です。

ウェルネス協会の芳本和尚事務局長に具体的な取り組みについてお話を伺いました。

多くのプロ棋士を輩出。世代を超えた将棋愛好家が集う「棋士のまち加古川」の活動

JR加古川駅前には将棋盤のベンチがあり、実際に将棋を指せます。

―「棋士のまち加古川」を掲げて具体的にはどのような活動をされていますか?

大きなものでは、将棋の公式戦「加古川青流戦」の開催運営があります。

四段棋士全員とプロ棋士を目指す奨励会三段の上位陣、女流棋士2名、アマチュア棋士数名が参加できるこの大会は、若手の登竜門とも呼ばれ、平成23年から日本将棋連盟公式戦として日本将棋連盟と加古川市と共に主催しています。

今年は第14期で、トーナメント戦は5月18日に開幕します。トーナメントを勝ち抜いた2名の棋士が10月13日、14日に加古川の鶴林寺で決勝戦の対局を行うのですが、全国から集まったファンに対し、「大盤解説会」で加古川ゆかりのプロ棋士が実況解説を行います。見ごたえある贅沢な時間ですよ。

かこがわ将棋プラザは、「棋士のまち加古川」の活動拠点ープロ棋士直筆色紙や扇子などを展示

将棋ファンが集う場所としては、加古川駅前のヤマトヤシキ7階に「かこがわ将棋プラザ」があり、将棋教室のスペースや自由対局コーナーを設けています。

第36回アマチュア竜王戦優勝の慶田義法アマ七段による指導対局会が人気で、慶田さんが来られる日は老若男女の将棋ファンが集い、対局を楽しんでいます。

自由対局コーナーの案内。慶田アマ棋士の指導対局日は将棋愛好家の行列ができるほど

また、「棋士のまち加古川将棋フェスタ」は、地元ゆかりのプロ棋士が出演するイベントで、今年で10回目の開催となりました。子どもから高齢者まで参加でき、会場の商業施設には将棋ファンが詰めかけます。

そのほか、兵庫県内の将棋部の高校生を対象にした「ウェルネス杯 棋士のまち加古川高校将棋大会」を開催しています。こちらは令和4年度に開設しました。

プロ棋士や高校の先生方とも連携しながら、高校生の交流と棋力の向上を支援する目的で、兵庫県内の将棋部約50校を対象に実施しています。

加古川は将棋だけじゃない。スポーツ・文化など多様なニーズに応えるウェルネス協会の活動支援

―ウェルネス協会では、幅広い世代に向けた活動を支援されているんですね。

我々は、将棋以外にも、「スポーツ」「文化・芸術」「コミュニティ」を柱に、市民の総合的な健康づくりを応援する団体です。市民と行政の間に入って活動を橋渡しする役割があると考えています。

スポーツ活動事業としては、5月に市内在住の小中学生を対象に「ニシカワ食品株式会社パニーちゃんカップ加古川俊足王決定戦」(短距離走)を実施し、今年で10回目を迎えています。

文化・芸術活動では、将棋のほかにも「音楽のまちづくり」を推進しています。加古川市や近隣地域は、昔から吹奏楽が盛んな中学校が多く、高校生では音楽に親しむ土壌が出来上がっています。

ただ、残念ながら、義務教育を終えた学生向けの行事や大会が加古川市にはほとんどなく、発表の場が限られている課題がありました。そこで、高校生の実行委員会と協会の職員が協力して、近隣の高校吹奏楽部や軽音楽部の演奏会に向けた活動を支援しています。

ボードゲームを通じた市民交流の促進

―コミュニティ活動を支援する事業として具体的にどのようなものがありますか?

コミュニティ推進事業は、今年度から、加古川市のボードゲームのお店『駒の時間(こまのとき)』さんに協力していただき、「ママボードゲーム体験会」を始めました。

2024年4月に行われた「ママボードゲーム体験会」(写真提供:加古川市ウェルネス協会)
ボードゲームを楽しむためのおやくそく。駒の時間のkomaさんとTokiさんの進行で和やかに会が進みます。

我々は加古川市のまちづくりの拠点として、「加古川まちづくりセンター」を運営し、ホールや会議室など地域の人々が集まる場所を提供しています。

今まで会議室の貸館で昼間の時間帯に空室があるのが課題で、ずっとここを地域の遊び場作りに活用したいと考えていました。

昨年度、加古川市で活動している駒の時間さんが貸館の相談で、たまたまここに来られたんです。「これはぜひとも!」とお願いしたのがきっかけです。

※駒の時間さんのボードゲームについては、こちらの記事にも掲載されています。ぜひご覧ください。

―参加者の反響はどうですか?

まだ始まったばかりですが、参加者も楽しんでくれていて、良い手応えを感じています。一回遊びに来てもらって加古川まちづくりセンターを知っていただく機会にもなりますし、日中未就学児を子育てするママ達が集まれる場としても活用していただけるように、今後もいろいろと楽しいイベントを企画していきます。

―最後に今後の活動について、一言お願いします。

「ウェルネス」はさまざまな形で、一人ひとりが心身の健やかさや豊かさを実現していくことをいいます。これからも当協会では、総合的なウェルネス実現のため、体験型のイベントを増やしていきたいと考えています。

我々は今後さらにノウハウのある団体や企業とどんどんコラボレーションし、加古川市とも連携して市民に還元していきたいと考えています。どうぞご期待ください。

一般財団法人 加古川市ウェルネス協会(加古川まちづくりセンター)

兵庫県加古川市加古川町溝之口507サンライズ加古川ビル5階

加古川市ウェルネス協会HP

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この記事を書いた人

澤 優歌

兵庫県神戸市在住の取材ライター|神戸市西区・北区・明石・加古川近郊地域の人・物・コトの価値魅力を中心にお届けします。趣味は映画鑑賞・ドライブ・阪神の応援。3人姉妹子育て中。

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