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もの・こと  |    2024.09.19

緑児泣きたるは万歳楽「一心泣き相撲」|東京都練馬区石神井氷川神社

「『緑児泣きたるは万歳楽』という言葉は、先代が作った言葉なんです。『赤ちゃんが元気に泣いたことがおめでたい』という気持ちを込めて、行司が赤ちゃんの成長と健康を祈願します」そう語ってくれたのは、一心泣き相撲実行委員会代表の別所敬介さん。

一心泣き相撲とは、赤ちゃんのすこやかな成長と健康を祈願する日本の伝統行事です。赤子の泣き声が邪を祓った故事を由来とし、400年以上の歴史があります。

「赤ちゃんが泣けばなくほど逞しく健やかに育つ」

今回は乳幼児期の記念におすすめしたい「一心泣き相撲」についてご紹介します。
長女長男を参加させた筆者が、当日あると便利なグッズもご案内しているのでぜひ参考にしてくださいね。
(一心泣き相撲は各地域で開催されていますが、本記事では筆者が参加した2024年8月18日に開催された東京都練馬区石神井氷川神社の内容を掲載しています)

一心泣き相撲とは

400年以上の歴史を有する泣き相撲は、赤ちゃんの泣き声やしぐさに合わせて行司が勝負を預かり『緑児泣きたるは万歳楽』と、すこやかな成長と健康を祈願する日本の伝統行事です。

化粧廻しと紅白綱を締めた赤ちゃんが人生の初土俵へあがる姿は可愛らしくも逞しくもあり、その成長をご家族皆様で感じられることから、『赤ちゃんの卒業式』と呼んでいます。

取組は1対1で、化粧廻しを締めた赤ちゃんが、力士に抱かれて土俵に上がります。
赤ちゃんの泣き声を競う「泣き相撲」ですが、最初に泣いたら勝ちなどの勝敗は付けません。
参加条件は首の座っている、生後半年から二歳半までの赤ちゃんで女の子も参加できます。
(一心泣き相撲公式サイトより)

一心泣き相撲に参加するには公式サイトより申し込みが必要です。
開催場所・開催時期は各地域の神社で異なります。詳しくは、一心泣き相撲公式サイトをご確認ください。

当日の流れ

開催場所によって若干異なりますが、大まかな流れとしては下記の流れとなります。
1.受付
2.お着換え
3.御祈祷
4.泣き相撲(土俵)
5.四股ふみ(力足)
6.背伸び太鼓
7.記念手形

全て回るとおおよそ1時間程度かかります。
(一心泣き相撲公式サイトより)

まず当日受付で参加料を支払い、飾り兜や四股名入りの番付表などの記念品をもらいます。
受付を済ませると、赤ちゃんは服を脱いで化粧廻しを締めます。用意された約50種類の化粧廻しから好きな柄を選びます。

飾り兜はすべてスタッフの方の手作りで、子どもの四股名が印刷されたシールを貼るとオリジナルの兜になります。化粧廻しは後で返却しますが、飾り兜と番付表は記念に持ち帰ることができます。

着替えが終わると、神主による御祈祷を受けます。神主が祝詞をあげて健やかな成長を祈願します。
御祈祷の次は、いよいよ土俵入りです!

境内に作られた本格的な土俵は、すべてスタッフの方の手作りです。

行司から四股名を呼ばれて赤ちゃんは力士の手に移ります。力士の方は暑い中、何人もの赤ちゃんを笑顔で抱っこしてくれていました!
赤ちゃんは何が起こっているかわからずきょとんとする子、ママの手を離れるだけで泣きだしてしまう子も。

力士に抱かれた赤ちゃんが土俵に入り「みあってみあってーはっけよいーのこった!」
行司の声に合わせて取組が始まると、力士が赤ちゃんを高く掲げます。行司は鬼のお面を被り、大きな声を出して赤ちゃんを驚かせます。
「わー!」と行司の大きな声に、赤ちゃんは一瞬びくっとして、次の瞬間顔をゆがめて大きな声で泣きだします。

赤ちゃんの泣き声が境内に響き渡り、土俵の外の家族も「〇〇ちゃん頑張れ!」と応援に熱が入ります。パパやママだけでなく、祖父母も一緒に観戦している家庭もあり会場は大盛り上がり。筆者の家庭でも、以前一心泣き相撲に参加した長女が弟を必死に応援していました。

ひとしきり泣いたら、最後に力士が赤ちゃんを高く抱き上げて取組終了です。一心泣き相撲に勝敗はありません。元気な声で泣いた全ての赤ちゃんが勝ちなのです。

保護者のもとに戻ると、泣き疲れた顔やほっとしたような表情を見せてくれる赤ちゃん。我が子に「頑張ったね」「お疲れ様」と声をかけ、思わず強く抱きしめます。

ここまでで既に胸がいっぱいですが、一心泣き相撲には他にも楽しみどころがあります。
その一つが赤ちゃんを抱っこした状態で行われる四股踏みです。力士が赤ちゃんを抱っこして四股を神前に奉納します。

泣き相撲での四股踏みは、まだ定着していない赤ちゃんの魂をその体にしっかりと定着させるための所作と伝えられていて、四股を踏むことで健康に丈夫に育つよう祈願します。

もう一つが背伸び太鼓です。
赤ちゃんに背伸び太鼓の上に乗ってもらい、太鼓の音で成長を祈願します。太鼓をどんどん叩くことで、赤ちゃんもどんどん大きく育つと言われています。

最後に記念手形を取って終了です。

当日あると便利な物3選

我が子2人が一心泣き相撲に参加した経験から、当日あると便利なグッズもご紹介します。

1.ヒップシート
一心泣き相撲公式サイトでは、全て回るのに約1時間程度かかります。取組以外の間は、赤ちゃんをずっと抱っこすることになりますが、化粧廻しで抱っこ紐が使いにくいので、ヒップシートがあると便利です。

2.日傘や小型扇風機などの暑さ対策グッズ
夏に開催される一心泣き相撲に参加すると、どうしても強い日差しの中にいることになります。赤ちゃんは上半身裸なので、日傘があると安心です。また、暑さ対策として小型扇風機やうちわもあるとよいでしょう。

3.マグや水筒などの水分補給グッズ
取組が終わった後に水分補給をはさむことで、赤ちゃんの気持ちを整えてあげられます。当日の暑さ対策としても、こまめな水分補給ができると安心です。

「赤ちゃんは泣くことが仕事」一心泣き相撲は、地域の方との繋がりも感じられるイベント

一心泣き相撲は、土俵に入って取組に参加するほかに、四股踏みや背伸び太鼓など楽しみどころ満載な催しです。

暑い中汗をぬぐいながら快く赤ちゃんを抱っこしてくださる力士の方、受付や誘導の方、祝詞をあげてくださる神主はじめ神社の方々、多くの方の協力で一心泣き相撲は開催されています。

普段は我が子が泣くと、周りの迷惑にならないか焦ったり、申し訳なく感じる方が多いのではないでしょうか。ですが、一心泣き相撲では「赤ちゃんは泣くことが仕事」と改めて感じることができます。
赤ちゃんが泣くことで周りが笑顔になり、「いっぱい泣いて頑張ったね」「偉かったね」と温かい声をかけてもらえる。多くの人に支えられながら子どもが育っていくことを実感します。
大きな泣き声は成長の証。親の手を離れ逞しく泣く我が子を見て、きっとこれまでの成長に想いを馳せる時間になるでしょう。

乳幼児期の家族の記念として、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

一心泣き相撲公式サイトはこちら
公式Instagramはこちら

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この記事を書いた人

めぐみちゃん

東京都在住、アラフォー駆け出しママライターです。取材エリアは西武池袋線沿線。物・人・子育てイベントなど、住んでいるからこそわかる「地元のちょっといいところ」を発信します。

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