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もの・こと  |    2024.09.07

ものからヒトへ想いを繋ぐ「くるくるはんのう」|埼玉県 飯能市

“農のある暮らし”を求めて、移住先として人気のある埼玉県飯能市。

自然環境に恵まれた飯能市内には、季節の野菜や旬の果物をはじめとする多くの農作物があります。生産量はそこまで多くありませんが、種類が豊富という「少量多品種」が特徴。

写真提供:くるくるはんのう 飯能市内にある小久保果樹園

その飯能市で、飯能産の農作物を軸に生産者とクリエイターをマッチングさせる面白い活動を行っているのは「くるくるはんのう」

今回は「くるくるはんのう」のユニークな取り組みと、9月に開催される飯能産の美味しいものが集まるイベント「くるくるはんのうマルシェ」についてご紹介します!

農業を軸に、人と人をつないで生まれた「くるくるはんのう」

「くるくるはんのう」は、飯能市内の生産者や飲食店などのメンバーで構成されています。その中心的な役割を担っているのが、飯能市農業振興課の片野陽介さん。

公務員として働きながら、農家さんやつくり手の想いを集めて届けることに日々取り組んでいます。

写真提供:くるくるはんのう(photo by @sauyaru

農業振興課に異動してくる前は、エコツーリズム事業を担当していた片野さん。その当時から、飯能市内の観光資源となるような食材や農家を探しては訪れ、農家さんとの関係性を築いてきました。

実際に農家を巡ることで、果物だけでもキウイ、梨、ブドウ、イチゴといった様々な品類が市内で作られていることを知ったそうです。同時に、農家によって想いやこだわりの違いに気づき、こうしたつくり手の魅力も伝えていきたいと思うようになっていきます。

写真提供:くるくるはんのう

「くるくるはんのう」の活動につながるきっかけは、市内の飲食店から『梨を使ったBBQソースを作りたいから農家さんを紹介してほしい』という相談を受けたこと。

“農家さんの負担にならないかたちで、農産物のPRに少しでもつながれば”という想いから、ご紹介したそうです。

農家だけでなく、市内の飲食店も熱心に訪れていた片野さん。『飯能産の食材を使いたいけど何があるか分からない。一人で農園に行くには少しハードルが高い』といった、飲食店側の声にも耳を傾けます。

市内で新しく事業を始めたいと考えている方や農家と面識がない方にとっては、こうしたご紹介はありがたいですよね。寄せられる声に応えていくうちに、生産者と飲食店などをマッチングさせるという現在の「くるくるはんのう」に繋がる動きが始まっていったそうです。

生産者を直接訪問!マッチングツアーを実施

一対一でのマッチングを行っていくなかで、地域と業界の垣根を超える必要性を感じ始めた片野さん。令和4年ごろから、飲食店や様々なクリエイターを集めて生産者を回るというマッチングツアーを実施するようになりました。

写真提供:くるくるはんのう 飯能市内にある小島農園

一見、農業や食に関わりがない業種の方でも、ツアーに参加してもらうことで何かしらのコラボが生まれるかもしれない。「生産者×クリエイター」と定義付けているのは、こうした想いからだそうです。

参加したら絶対にその農産物を使わないといけない、というわけではなく、飯能市内の農家さんを知ってもらうこと、参加されたクリエイター同士が新たな繋がりを持つことも大切にされています。

こうした繋がりを間近で見られることも、活動を続けていて楽しい瞬間だと片野さんは話します。

写真提供:くるくるはんのう(photo by @sauyaru

学びと交流を楽しむワークショップも定期的に開催

「くるくるはんのう」の活動はマッチングツアーだけではありません。定期的に開催されているワークショップも注目を集めています。

先日開催された「美味しい冷茶の淹れ方&ティーペアリング」のワークショップでは、講師に狭山茶の生産・販売を行う池乃屋園の池谷 英樹さんを迎え、狭山茶の基礎知識と実践形式での試飲会が行われました。

写真提供:くるくるはんのう(photo by @sauyaru) 狭山茶とお菓子のペアリングワークショップ

参加メンバーは、市内外から集まった異業種のクリエイターたち。お茶を飲むだけでなく実際に淹れてみたり、味を比べてみたり。自分になかった視点から新しい気付きを得て、学びと交流の機会を楽しんでいました。

狭山茶 池乃屋園

HP https://ikenoyaen.com/

Instagram  https://www.instagram.com/japanesetea_ikenoyaen/

生産者目線でものづくりを学ぶ。養蜂場の見学会を実施

飯能市内で養蜂を営む「まほら屋」さん。市内のカフェやお土産屋さんなどでも販売されている人気のハチミツ屋さんです。そのまほら屋さんの養蜂場見学会に参加させていただきました。

一匹のミツバチが一生で集められるハチミツは、たったのスプーン一杯。養蜂には、花や木を植えたりという養蜂場の環境づくりと、外敵から蜜蜂を守りながら飼育する細やかな管理が大切なのだそう。ハチミツが作られるまでの工程と、生産者さんの弛まない日々の積み重ねを、身をもって実感する機会となりました。

「商品ができるまでに、どれだけの工程を踏んで作られているかを知ってもらいたい。その大変さを知ることで、使う人たちはストーリーを乗せられるし、会話の広がりにもなっていく」と片野さんは言います。

まほら屋

https://mahoraya.com

Instagram  https://www.instagram.com/mahraya.honey/

このように生産者とクリエイターをつなぐ色々な機会をつくり出している「くるくるはんのう」。想いに賛同して、活動に関わっていきたいという方も増えてきています。

これまでのマッチングによって生まれた新しい商品も数知れず。今秋は、飯能産の食材をふんだんに使った、美味しいものが集まる期待のマルシェも開催されます!!

美味しいものに出会える「くるくるはんのうマルシェ」!

飯能産のお野菜やくだもの。それらを使ったメニューを扱うカフェやお菓子屋さん。「くるくるはんのう」の活動に関わる生産者とクリエイターが勢揃いするイベント「くるくるはんのうマルシェ」!

会場は「飯能駅改札前」と、駅から徒歩5分ほどにある「日替わりシェフのお店」の2か所で行われます。生産者やクリエイターさんから直接お話を聞けるこの機会にぜひ、飯能産の美味しいものを楽しんでください。

くるくるはんのうマルシェ

日程:2024年9月29日(日) ※今回は1日のみ開催

時間:12:00~16:00

詳細:https://www.instagram.com/kurukuru_hanno/(くるくるはんのう)

※出店者の詳細情報は、Instagramからご確認ください。

◆飯能駅改札前

写真提供:くるくるはんのう(photo by @sauyaru) 前回開催されたマルシェの様子

◆日替わりシェフのお店(飯能銀座商店街内)

写真提供:くるくるはんのう(photo by @sauyaru) 前回開催されたマルシェの様子

市内のカフェで、お菓子屋さんで、パン屋さんで。いろいろな場所で楽しめる商品の背景には、こうした生産者さんの想いをつなごうと毎日向き合っている人がいます。

「食べることに限らず、暮らしにつながるような農産物の在り方を探っていきたい」と話す片野さん。

暮らしを豊かにすることは、知ることからはじまる。

飯能を知り、ものからヒトへ想いを繋いでいく「くるくるはんのう」。

この先もずっと続いていってほしいですね。

くるくるはんのう

Instagram  https://www.instagram.com/kurukuru_hanno/

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この記事を書いた人

ハネジユキエ

沖縄出身、埼玉在住のフリーライター。30代、二児の母。ものづくり、伝統芸能、暮らしを豊かにするモノ、地域を元気にするヒト、大人からこどもまで楽しめるコトを取材しています。

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