皆さんは「樹木医」と言う言葉を聞いたことがありますか。
文字通り、樹々のお医者さんです。しかし、その実際の仕事内容は「治療」だけではないのです。
今回、第41回全国都市緑化かわさきフェアで行われた「樹木医と散策する、生田緑地樹木ガイドツアー」に参加してきました。そのレポートをお伝えします。
国内最大級の花と緑の祭典「全国都市緑化かわさきフェア」とは
「富士見公園、等々力緑地、生田緑地。3つの公園をコア会場として、『多様性』『体験・体感』『歴史・文化』という様々な概念とみどりをかけあわせ、新しいみどりの価値として、川崎らしく一人一人に」を掲げて行われてきたイベントです。(パンフレットより)
取材当日は最終日で日曜日、しかも快晴ということもあり、通常より入場者が多く、今回のツアーも満員でした。
参加者層: 女性が多く、主にシニア世代、ガーデニング愛好家、樹木医の仕事に興味を持つ人など。
内容: 樹木ガイドツアー(樹木の健康状態の見分け方解説、診断方法の実演・体験、桜の土壌環境悪化と影響の説明など)
講師は「一般社団法人 日本樹木医会神奈川県支部」からやってきた10人の樹木医です。参加者25人の誰もが近くにいる樹木医に質問できる体制が整えられていました。
一本の桜の木から見えてくること
①まずは外観から診断
この桜の木は、幹に苔が生えていて、元気がない状態でした。
樹木医は、この桜の木が元気がない理由として、土壌環境が悪いことを挙げました。
人が通ったりすることも、根周辺の土壌が締め固められていることの原因の一つです。
土壌環境が悪いと、根が十分に生育できないため、木が弱ってしまいます。
すると、根が傷む原因となり、強風によって倒れてしまう危険性が出てきます。
また、苔やキノコが付着していると樹皮が剥がれ落ちにくくなっているので、木が弱っていると気付くことができます。
元気な木は成長すると幹が太り、本来は樹皮が剥がれ落ちて(新しくなって)苔は見られないのですが、弱っていると樹皮の入れ替わりが進まず、付着した苔が落ちにくくなると考えられています。
まるで聴診器!?木の中を調べる
②実際に調査してみる。
外観観察に加えて、鋼棒(こうぼう)を使って木の内部の状態を調べることも重要な仕事です。
鋼棒の感触を頼りにしますので、豊富な実務経験が重要です。
穴の開いた部分に鋼棒を指し、中がスカスカだったり、柔らかくなっていないかを確認します。
そして次は木槌を使って木を叩きます。
叩く部分によって音が違います。感触も違います。手の肌触りなども、重要なポイントです。
軽い音、重そうな音、その判断は経験がものを言います。
実際に参加者の皆さんも木槌を使って叩いてみました。それぞれの箇所で音が違うことを実感し、うなづく人、感嘆の声を上げる人、さまざまでした。
今回は、樹木医という視点から「木の健康診断(診断と調査)」という仕事の一部を見せてもらいました。診断と調査の後は、剪定したり、支柱で支えたり、適切な処置を行うそうです。(今回はそこまでの実演はありませんでした)
あっという間の1時間半でした。参加後の皆さんに感想を頂きました。
・園芸関係の仕事をしているので、仕事に今回の知見を生かせそうだ
・植物の異変に気付くようになれた
また参加したいという方も複数おり、充実した有意義な時間になったと言えるでしょう。
次回、後編は今回ご協力いただいた樹木医の方にインタビューして参ります。
帰り道、会場出入り口は竹で作られたランタンが並び、美しいイルミネーション。
クリスマスの訪れを感じました。
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