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もの・こと  |    2024.12.17

地方で輝く企業が集まる『どうだい?サミット』に見る地方創生の可能性【前編】|愛知県常滑市

2024年11月15日、愛知県常滑市にあるAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)にて「どうだい?サミット in FIELDSTYLE EXPO 2024」が開催されました。

「応援される事業の秘訣とは」を主題に、元人気Youtuberから小さな旅館の経営者まで、様々な分野で事業を伸ばした方々によるトークセッションが行われました。中でも地方で輝く企業の経営物語は、今後の地方創生や環境問題について深く考えさせられるものでした。

この記事では、前編として「捨てられていた物をビジネスの柱にした次世代経営者」と題し行われた、株式会社リングスター 取締役 マーケティング室長 唐金祐太さんとOcean Leather 代表 高橋大海さんのトークセッションの様子をお届けします。

廃材を活用して新しいビジネスを創出した二社によるトークセッション

(画像提供:どうだい?サポート窓口)

株式会社リングスターは、奈良県生駒市に営業本部を構える明治20年から続く老舗工具箱メーカー。主力製品「SUPER BOX」は、プラスチック製品ながら20年経っても壊れないと職人の間で人気の逸品です。現在はこの製品を足がかりに、釣り用品やアウトドア用品といった一般向けの商品も発売しています。

そんなリングスターが新たに販売しているのが、長崎県対馬市の海洋ごみをリサイクルした「対馬オーシャンプラスチックバスケット」です。

(画像提供:どうだい?サポート窓口)

この製品を発案した張本人である唐金さんは、海洋プラスチック問題に対し「本当に解決しなければいけない課題が放置されている」という強い気持ちから本事業を開始しました。

Ocean Leatherは水産加工会社興洋フリーズの跡継ぎである高橋大海さんが「刺身などで余った魚の皮がただ捨てられている現状を何とかしたかった」と開始した、魚の皮=フィッシュレザーを使用した皮革製品を扱うブランドです。

フィッシュレザーは、牛革などと同じように鞣す(なめす)ことで、牛革に匹敵する頑丈さと鱗模様が美しい独特なデザイン性を併せ持つエコな素材です。
材料となる魚の皮を水産業者や漁師から調達することで、漁業者の収益の改善にも一役買っています。

ここから新しいビジネスが生まれるかも?

廃材を活用しているという共通点を持つ両社の紹介が終わったところで、唐金さんはフィッシュレザーに既に興味津々のご様子。

「フィッシュレザーならこの商品(対馬オーシャンプラスチックバスケット)のテーマ的にもぴったり」「今すぐにでも協議したい」と、バスケットの持ち手部分にOcean Leatherの製品を使えないかと高橋さんに話しかけていました。

すると「僕も実際にリングスターさんの製品を持っている」と、高橋さんが釣り用品としてリングスターの製品を愛用していることが発覚。初対面ながらここから新しい商品が生まれるのでは?と思えるような和気あいあいとしたムードでトークセッションが進められました。

社内、社外に理解してもらうための苦労

唐金さんが対馬オーシャンプラスチックバスケットの開発をスタートする際、社内は猛反対の嵐でした。

「お土産を持ってきたと思ったらゴミを持って帰ってきた」「海洋ごみを自社製品に混ぜたいと言ったらふざけるなと返ってきた」と散々な言われよう。

とくに唐金さんが商品に使いたいといった海洋プラスチックは、海外から漂着し汚れや破損がひどいもの。必然的にコストは従来製品の2倍ほどかかり、社内的にも社外的にも理解を得るにはかなりの説得が必要でした。

本当の意味で環境に良いものを選ぶ

同じ廃材を活用している事業でも、環境問題へのスタンスは画一的なものではありません。

高橋さんは「ただ捨てているだけでは誰も得しない魚の皮を、何かに活用できたら」という思いと「魚が好きだから、魚の革ってカッコイイと思った」というシンプルな思いが先立っており、環境へのアプローチは売り出し方としてついて来た部分があるよう。

対して唐金さんは「環境問題について、消費者側もちゃんと理解して選球眼を持って商品を正しく選んで欲しい」という思いが強く、海洋プラスチック問題について学校で啓発活動も行っています。

(画像提供:どうだい?サポート窓口)

ビジネスを考えた結果環境に良いものになったのか、環境を良くするためにビジネスを考えるのか。
どちらのスタンスが正しいというものではありませんが、環境問題に対する正しい理解を持っておきたいと感じさせられました。

講演後、実際に高橋さんのブースに伺いフィッシュレザーに触れさせていただきました。臭いやぬめりなどは全くなく、本当に普通の皮革製品と変わらない品質であることに驚かされました。「ネットで見るだけでは中々伝わらないから実際に触って欲しい」と語るのにも納得です。

環境問題に対する正しい知識を身につけたい

本セッションにて、日本にはまだまだ環境問題への意識が根付いていないことを実感すると同時に、その問題に正面から立ち向かう中小企業の存在を知ることができました。

「エコ」を謳った製品は多く存在しますが、本当の意味でエコなのかをしっかり吟味し環境への意識を高めていきたいものですね。

「どうだい?サミット in FIELDSTYLE EXPO 2024」では、他にも様々なトークセッションが行われました。

後編では、和歌山の醤油蔵「湯浅醤油」と大分の旅館「山城屋」、田舎から世界を魅了する老舗経営者2人の成功の秘密に迫ります。

後編はこちら

地方で輝く企業が集まる『どうだい?サミット』に見る地方創生の可能性【後編】|愛知県常滑市

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この記事を書いた人

桐田 えこ

大阪から愛知に引っ越してきた主婦ライターです。趣味はカメラとスポーツ観戦で、阪神タイガースの大ファン。金魚やカメなど水生生物が大好きです。おもに名古屋市緑区のローカル情報をたくさん発信していきます。

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