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自然  |    2023.08.17

眺めるだけじゃない!体験するから面白い桜島

鹿児島のシンボルといえば、桜島だ。

進学や就職で鹿児島を離れる県民が帰省したときに「あ、鹿児島に帰ってきたんだな」と実感するのは桜島を見たときだとよく口にする。

特に、鹿児島空港に着いて、車やリムジンバスで鹿児島市街地に向かう道中、九州自動車道や国道10号線を走行していると、だんだんと桜島が見えてくる瞬間や市街地に近づくときに桜島が大きくなっていく過程でそれを強く実感するという。

県民の心に強く深く根づいている桜島は、現在も噴火活動を行う活火山だ。噴火によって降灰することがあり、車や洗濯物が灰だらけになったり、シャワーを浴びると泡が灰色になったりするほど私たちの暮らしに影響している桜島。

ちなみに、地元のテレビ番組や新聞の天気予報コーナーでは今日(もしくは明日)の風向きを取り上げている。それを気にして「明日は洗濯物の外干しを控えよう」などといった行動の指針とするのは鹿児島の独特な県民性だろう。

そんな県民と深い結びつきのある桜島について紹介したい。

桜島の成り立ち

桜島の噴火(写真協力:©ken.n.miffy.752)

今から約29,000年前に、現在の鹿児島湾の奥部にあたる位置で巨大噴火が発生した。それによって姶良カルデラが形成された。

その約3,000年後に、この姶良カルデラの南端から新たに始まった噴火活動によって桜島が誕生したといわれている。

桜島は北岳と南岳の2つの山が連なる複合火山で、今は南岳が活発に活動している。

市街地から桜島への渡り方

桜島港と桜島フェリー(写真協力:鹿児島市)

鹿児島市街地から桜島までは、車などを利用して陸回りで行くこともできるが、特に観光客には鹿児島港と桜島港を結ぶ桜島フェリーの乗船をおすすめする。

自動車やバス、自動二輪などの乗り入れが可能(写真協力:鹿児島市)

鹿児島港―桜島港の乗船時間は約15分と短い。年中無休、24時間運行しているから利便性も高い。その上、自動車やバス、自動二輪などの乗り入れが可能。

鹿児島港―桜島港の乗船時間は約15分(写真協力:鹿児島市)

旅客運賃は大人200円、小児(1歳〜小学生)100円と手頃な料金設定だ。また、自動車の航送運賃は車長3m未満だと1,070円、車長3m以上4m未満で1,400円というように、車両の種類によって異なるので、詳細は桜島フェリーの公式ホームページでご確認を。

桜島の噴火の脅威を物語る「黒神埋没鳥居」

黒神埋没鳥居(写真協力:公益社団法人 鹿児島県観光連盟)

桜島は、現在も活発に噴火活動を行う活火山だが、約26,000年前の誕生以来、これまでに17回の大噴火を繰り返してきた。

この大噴火の度に形を変え、大正噴火では大量の溶岩が流れ、それまで島だった桜島と大隅半島は陸続きになった。

1914(大正3)年1月12日に発生した噴火によって、噴煙が約18,000mまで上がり、黒神地域一帯は火山灰や軽石などで埋め尽くされたという。さらに、この影響でマグニチュード7の地震も発生し、58名の死者と行方不明者を出す惨事となってしまった。

その凄まじさを生々しく感じさせるのが、黒神町にある腹五社神社(黒神神社)の黒神埋没鳥居だ。ここの鳥居は高さ3メートルもあったというが、この噴火によって鳥居の上部・笠木だけを残して埋没された。

笠木だけを残して埋没された鳥居(写真協力:鹿児島市)

当時の東桜島村長が噴火の脅威を後世に伝えるため、鳥居は掘り起こされることなく、被害に遭った当時の姿を残している。この埋没鳥居を訪れ、背比べしてみると、地上に見えている鳥居は大人の肩や胸の高さほどしかない。噴火の脅威を強く実感することだろう。

桜島をもっと知りたいならガイドを付けるべし

桜島ジオサルクがさまざまなガイドやツアーをご用意(写真協力:鹿児島市)

桜島には「ワクワク」と「学び」を届けるコンシェルジュ・桜島ジオサルクという団体がいる。桜島ジオサルクは、ガイドやツアーを提供している。自然、防災、観光、教育など多面的な観点から地域の魅力を発掘し、自然が語りかけるメッセージを分かりやすく伝えてくれる。

溶岩ウォッチ

夏休み期間限定のお手軽ジオツアー。大正噴火でできた溶岩原へ向かい、ミニトレッキングを行いながら、溶岩や火山について説明。事前予約不要の、30分完結型なので、夏休みの自由研究や思い出づくりにサクッと楽しめそうだ。

ガイドと行く!ジオ満喫コース

アイランドビューバスに乗車して、ガイドと一緒に、火山のミニ博物館「桜島ビジターセンター」や最高地点の展望所「湯之平展望所」など桜島の名所を巡るコース。自分たちだけでスポットを回るより100倍楽しめるに違いない。

桜島へ行こう!ガイドと一緒に

鹿児島中央駅に集合して、そこから市電とフェリーを乗り継ぎ、桜島まで同行してくれる手厚いツアー。鹿児島市内の中心部から桜島までのプチトリップをガイド付きで同行してくれるから安心して旅ができそうだ。

SABOトレッキングツアーコース

約100年前の溶岩原に続く細道を行き、素敵な風景を一望できるスポットへ案内。松林をくぐり抜け、桜島の大地を歩き進めると、今でも活火山と共存する町民たちの暮らしを守る砂防を目の当たりにできる。

所要時間や集合場所、料金、予約方法などについては桜島ジオサルクの公式サイトにてご確認を。

桜島は体験するから面白い

桜島を散策してみよう(写真協力:鹿児島市)

薩摩半島と大隅半島の間に位置する桜島は、私たちが立っている場所によって異なった姿をしている。「市街地からみる桜島はこんな形をしているけれど、別の地方からみる桜島はこんな形をしている」と比較するのも楽しい。

遠くから眺望して満足してはいけない。桜島は行って、体験するから面白いのだ。

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この記事を書いた人

きゃんまり

鹿児島出身、関東在住。広告代理店に勤務し、ライターとしても活動中。取材ありの記事執筆やイベントレポートの作成が得意。一歩鹿児島を出ると、「鹿児島の本当の魅力が知られていない」「鹿児島と無縁の人が多い」と痛感しています。大好きなふるさと鹿児島を一人でも多くの人に知ってもらい、ファンになってもらうために、鹿児島のモノ・コト・ヒトに関する情報をお届けします。

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