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スポット  |    2025.11.01

冬師湿原で迎える朝のすすめ|秋田県にかほ市

秋田県にかほ市にある「冬師湿原(とうししつげん)」は、鳥海山のふもとに広がる自然豊かな高原地帯。

冬師湿原と書かれた看板横の砂利道を入っていき、ダートな道を進んで行くとそこには神秘的な光景が広がっています。

展望台から鳥海山を間近に見る事ができ、多数のため池が点在していてまるで日本のサバンナのよう。

特におすすめしたいのは、日の出前から湿原に光が入ってくる朝の時間帯です。

この場所は人がほとんどいないので、湿原がゆっくりと目を覚ます瞬間は感動的です。

朝露が描く幻想的な風景

日の出直前の気温がぐっと下がる時間帯に、草の葉先にはびっしりと朝露がつきます。

その粒が光を受けて輝く様子は、まるで無数の宝石を散りばめたよう。

見ているだけで心がワクワクします。

湿原を歩くと、秋の朝の空気感を感じる事ができます。

耳をすませば、鳥の鳴き声と風の音だけが響く。

その静寂の中で過ごす時間は、日常を忘れさせてくれる癒しのひとときです。

紅葉の季節は、湿原が黄金色に染まる

冬師湿原は10月中旬から下旬にかけて紅葉のピークを迎えます。

湿原の木々たちは赤や橙、黄といった色彩に染まり、まるで絵画のよう。

草原全体も柔らかく色づくため、紅葉の“じゅうたん”の上に立っているような感覚になります。

霧が出る朝には、幻想的な風景を見せてくれます。

「秋の静かな楽園」と呼ぶにふさわしい情景です。

人の少ない、穴場の絶景

観光地としての知名度が高いわけではない冬師湿原ですが、その分、人の少なさが大きな魅力でもあります。

早朝に訪れれば出会うのは数人のカメラマンか、地元の散歩を楽しむ人ぐらい。

観光バスもなく、展望台の喧騒もない。

ただ広大な湿原と、自分だけの時間がそこにあります。

朝早い時間は、湖で鳥たちが泳いでいる事も。

有名な観光地に行くとたくさんの人がいてゆっくり写真を撮っている時間がなかった、という事もありますが、冬師湿原は思う存分納得いくまで写真を撮れるのが魅力です。

誰にも邪魔されない空間で、ゆっくりと朝を迎える。

それが冬師湿原の最大の贅沢なのかもしれません。

この場所で日の出を見た時は1日がとても充実していたと、私は感じます。

時には湿原全体が朝露で覆われている事もあり、まるで夢の中にいるような感覚になります。

鳥海山とともに迎える朝

鳥海山と朝露

冬師湿原の魅力のひとつは、すぐ近くにそびえる鳥海山の雄大な姿です。

秋の澄んだ空気の中で、朝日を受けて黄金色に輝く山の稜線は、思わず息をのむほど美しい。

運が良ければ、鳥海山の姿が湿原の水面に映りこむリフレクションと毛嵐も見ることができます。

特に朝の時間帯は風が弱く水面が鏡のように静まりかえるため、反射の風景が最も美しくなる瞬間です。

まさに自然が創り出す、一期一会の光景です。

冬師湿原の魅力を味わうためのポイント

・訪れる時間帯:夜明け前〜午前8時頃がベスト。光の変化と霧の演出が楽しめます。

・服装:朝は冷え込みが強いため、秋でも防寒対策を。足元は防水靴が安心です。

・アクセス:由利本荘市から国道7号を経由し、冬師湿原方面へ。紅葉の時期は車窓からの景色も見どころ。

・持ち物:カメラ・双眼鏡・温かい飲み物。撮影だけでなく、観察や読書にも最適です。

おわりに

冬師湿原で迎える朝は、派手な観光名所にはない、深い感動があります。

朝露に光る草原、鳥海山に染まる朝焼け、そして誰もいない静けさ。

そのどれもが、訪れる人にとって特別な思い出となるでしょう。

もし忙しい毎日に少し疲れたときは、早起きをして、冬師湿原の朝へ出かけてみてください。

自然の中で迎える新しい一日のはじまりが、きっと心の奥まで優しく染みわたるはずです。

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この記事を書いた人

Akari

秋田を拠点に活動するライター、風景写真家です。 風景や文化、人々の暮らしをテーマに、写真と言葉の両面から地域の魅力を発信しています。 撮影ツアー講師や写真教室講師としても活動しており、撮影・取材・執筆を一貫して行うことができます。 自然の中にある“静かな物語”を見つけ、 丁寧に伝えていきたいです。 Instagram:@landscape_ririy

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